この記事では、健康保険法における傷病手当金についての調整を解説しています。
(傷病手当金そのものの解説は、こちらをご参照ください)
社会保険労務士試験の独学、労務管理担当者の勉強などに役立てれば嬉しいです。
記事中の略語はそれぞれ次の意味で使用しています。
- 法 ⇒ 健康保険法
- 令 ⇒ 健康保険法施行令
- 則 ⇒ 健康保険法施行規則
当記事は条文等の趣旨に反するような極端な意訳には注意しております。ただし、厳密な表現と異なる部分もございます。詳しくは免責事項をご確認ください。
報酬を受けられるケース

- 疾病にかかり、又は負傷した場合において報酬の全部又は一部を受けることができる者に対しては、これを受けることができる期間は、傷病手当金を支給しない(法108条1項本文)
- ただし、その受けることができる報酬の額が、傷病手当金の額より少ないとき(*1)は、その差額を支給する(法108条1項ただし書)
(*1)傷病手当金が出産手当金、障害厚生年金又は障害手当金と調整され、かつ、報酬を受けられるケースを除きます(いずれも後述します)
傷病手当金の額より少額の報酬を受けられる場合は、報酬の分だけ傷病手当金が減額されます。
(傷病手当金支給申請書には、出勤していない日に対して支給した報酬があれば支給した期間に応じて事業主が証明を記載します。そのため、実際には「受けることができる」というより「受けた」報酬に基づいて傷病手当金の支給額を減額します)
出産手当金を受けられるケース

- 出産手当金を支給する場合(*2)は、その期間、傷病手当金は支給しない(法103条1項本文)
- ただし、その受けることができる出産手当金の額(*3)が、傷病手当金の額より少ないときは、その差額を傷病手当金として支給する(法103条1項ただし書)
- 出産した場合において報酬の全部又は一部を受けることができる者に対しては、これを受けることができる期間は、出産手当金を支給しない。ただし、その受けることができる報酬の額が、出産手当金の額より少ないときは、その差額を支給する(法108条2項)
(*2)傷病手当金が障害厚生年金又は障害手当金と調整され、かつ、出産手当金が支給されるケースを除きます(後述します)
(*3)出産手当金が報酬と調整される場合は、報酬を差し引く前の出産手当金の額です。
傷病手当金と出産手当金とが競合する場合は、出産手当金が優先です。
傷病手当金が出産手当金より多い場合でも、出産手当金(報酬と調整される場合を除く)は減額せずに支給し、差額を「差額としての傷病手当金」として支給するのがポイントです。
(以降の解説においても上記ポイントの考え方は同じです)
出産手当金についての調整は、こちらをご参照ください。
障害厚生年金を受けられるケース
- 傷病手当金の支給を受けるべき者が、同一の疾病又は負傷及びこれにより発した疾病につき障害厚生年金の支給を受けることができるときは、傷病手当金は支給しない(法108条3項本文)
- ただし、その受けることができる障害厚生年金の額(*4)につき厚生労働省令で定めるところにより算定した額(*5)が、傷病手当金の額より少ないときは、次の①~④に応じて差額を支給する(法108条3項ただし書)
(*4)障害厚生年金と同一の支給事由に基づき障害基礎年金の支給を受けることができるときは、障害厚生年金の額と障害基礎年金の額との合算額です。以下同じ。
(*5)障害厚生年金の額を360で除し(1円未満の端数切り捨て)て日額に変換します(則89条1項)。以下、障害年金の額といいます。
ちなみに、「障害厚生年金の支給を受けることができるとき」については、他の年金との併給調整により停止されている障害厚生年金は含まれず、現実に支給される障害厚生年金に限定されると解されています(平成7年7月27日保険発113号)
次の①~④は、「報酬」「障害年金の額」「出産手当金の額」が、傷病手当金の額より少ない前提で解説します。
(多いならば、原則どおり傷病手当金は支給されません)
①報酬なし、出産手当金なし

報酬を受けることができない場合であって、かつ、出産手当金の支給を受けることができない場合です。
次の上段から下段を差し引いた額を「傷病手当金」として支給します(法108条3項1号)
- 傷病手当金の額
- 障害年金の額
②報酬なし、出産手当金あり

障害年金の額が出産手当金の額より多いケース
報酬を受けることができない場合であって、かつ、出産手当金の支給を受けることができる場合です。
次の上段から下段を差し引いた額を「傷病手当金」として支給します(法108条3項2号)
- 傷病手当金の額
- 出産手当金の額と障害年金の額のいずれか多い額
あくまで「差額としての傷病手当金」を算定するための規定です。出産手当金と障害年金の額(障害手当金についても同様です)とは調整されません
③報酬あり、出産手当金なし

障害年金の額が報酬の額より多いケース
報酬の全部又は一部を受けることができる場合であって、かつ、出産手当金の支給を受けることができない場合です。
次の上段から下段を差し引いた額を「傷病手当金」として支給します(法108条3項3号)
- 傷病手当金の額
- 報酬の全部又は一部の額と障害年金の額のいずれか多い額
あくまで「差額としての傷病手当金」を算定するための規定です。報酬と障害年金の額(障害手当金についても同様です)とは調整されません。
④報酬あり、出産手当金あり

報酬の全部又は一部を受けることができる場合であって、かつ、出産手当金の支給を受けることができる場合です。
(報酬と出産手当金とを同時に受けることができるとは、調整前の出産手当金 > 報酬を意味します)
次の上段から下段を差し引いた額を「傷病手当金」として支給します(法108条3項4号)
- 傷病手当金の額
- 報酬の全部又は一部の額及び報酬との調整後に支給される出産手当金の額の合算額(つまり報酬との差額調整前の出産手当金の額)と障害年金の額のいずれか多い額
トータルでみると、「報酬」「報酬との差額としての出産手当金」「障害年金」「下段のいずれか多い額との差額としての傷病手当金」を受けることになります。
法108条3項そのもの(規定としての①~④)は、下のタブに格納しておきます。
健康保険法108条3項
3 傷病手当金の支給を受けるべき者が、同一の疾病又は負傷及びこれにより発した疾病につき厚生年金保険法による障害厚生年金の支給を受けることができるときは、傷病手当金は、支給しない。ただし、その受けることができる障害厚生年金の額(当該障害厚生年金と同一の支給事由に基づき国民年金法による障害基礎年金の支給を受けることができるときは、当該障害厚生年金の額と当該障害基礎年金の額との合算額)につき厚生労働省令で定めるところにより算定した額(以下この項において「障害年金の額」という。)が、第九十九条第二項の規定により算定される額より少ないときは、当該額と次の各号に掲げる場合の区分に応じて当該各号に定める額との差額を支給する。
一 報酬を受けることができない場合であって、かつ、出産手当金の支給を受けることができない場合 障害年金の額
二 報酬を受けることができない場合であって、かつ、出産手当金の支給を受けることができる場合 出産手当金の額(当該額が第九十九条第二項の規定により算定される額を超える場合にあっては、当該額)と障害年金の額のいずれか多い額
三 報酬の全部又は一部を受けることができる場合であって、かつ、出産手当金の支給を受けることができない場合 当該受けることができる報酬の全部又は一部の額(当該額が第九十九条第二項の規定により算定される額を超える場合にあっては、当該額)と障害年金の額のいずれか多い額
四 報酬の全部又は一部を受けることができる場合であって、かつ、出産手当金の支給を受けることができる場合 当該受けることができる報酬の全部又は一部の額及び前項ただし書の規定により算定される出産手当金の額の合算額(当該合算額が第九十九条第二項の規定により算定される額を超える場合にあっては、当該額)と障害年金の額のいずれか多い額
ここまでの解説をふまえて、「報酬」「障害年金の額」「(差額調整前の)出産手当金の額」のうち一番多い額と、傷病手当金の額とを比較し、差額を傷病手当金として支給すると整理してみてください。
障害手当金を受けられるケース

障害厚生年金に該当する状態(1級〜3級)よりも軽い障害が残ったときは、障害手当金(年金ではなく一時金を厚生年金保険法に基づいて支給する制度です)を受けられる場合があります。
- 傷病手当金の支給を受けるべき者が、同一の疾病又は負傷及びこれにより発した疾病につき障害手当金の支給を受けることができるときは、障害手当金の支給を受けることとなった日から傷病手当金の合計額(*6)が障害手当金の額に達するに至る日までの間、傷病手当金は支給しない(法108条4項本文)
- ただし、傷病手当金の合計額が障害手当金の額を超える場合における、次の①~④に応じた差額については、この限りでない(法108条4項ただし書)
(*6)障害手当金の支給を受けることとなった日以後に傷病手当金(法99条2項により算定された額)の支給を受けるとする場合の傷病手当金の合計額です。
以降、傷病手当金の額は報酬又は出産手当金の額より多い前提で解説します。
同一の傷病については、障害手当金の額に達するまでの間は、傷病手当金は支給されません。
言い換えると、傷病手当金の額が障害手当金の額に達した後は、傷病手当金が支給されます。
(達した日以後は、障害手当金とは調整されません)
また、法108条4項ただし書により、法108条4項本文の取扱い限りではなくなるため、傷病手当金の合計額が障害手当金の額に達する日(当日)についても、次の①~④に応じた差額が傷病手当金として支給されます。
(達する日の翌日(達した日)以後であっても、報酬や出産手当金を受けられる場合は、ここまで解説した各調整方法により減額されます)
なお、次の①~④は、記述の書き方は異なっても、考え方としては「障害厚生年金を受けられるケース」と同様です。
(次の①~④は、傷病手当金の合計額が障害手当金の額を初めて超える日に係る傷病手当金です。簡単にいうと、法108条4項ただし書はおつりを計算するイメージです)
①報酬なし、出産手当金なし

報酬を受けることができない場合であって、かつ、出産手当金の支給を受けることができない場合です。
次の上段から下段を差し引いた額を「傷病手当金」として支給します(令36条の2第1号)
- 傷病手当金合計額
- 障害手当金の額
「傷病手当金合計額」とは、傷病手当金の合計額が障害手当金の額に達するに至る日における当該合計額をいいます(令36条の2第1号。以下同じ)
②報酬なし、出産手当金あり

報酬を受けることができない場合であって、かつ、出産手当金の支給を受けることができる場合です。
次の上段と下段のいずれか少ない額を「傷病手当金」として支給します(令36条の2第2号)
- 傷病手当金の額と出産手当金の額との差額
- 傷病手当金合計額と障害手当金の額との差額
傷病手当金との差額が少ない方の選択は、傷病手当金の額により近い額(出産手当金と障害手当金のうちいずれか多い額)の選択に相当します。
(次の③④においても考え方は同じです)
③報酬あり、出産手当金なし

報酬の全部又は一部を受けることができる場合であって、かつ、出産手当金の支給を受けることができない場合です。
次の上段と下段のいずれか少ない額を「傷病手当金」として支給します(令36条の2第3号)
- 傷病手当金の額と報酬の全部又は一部の額との差額
- 傷病手当金合計額と障害手当金の額との差額
④報酬あり、出産手当金あり

報酬の全部又は一部を受けることができる場合であって、かつ、出産手当金の支給を受けることができる場合です。
次の上段と下段のいずれか少ない額を「傷病手当金」として支給します(令36条の2第4号)
- 傷病手当金の額と、報酬の全部又は一部の額及び報酬との調整後に支給される出産手当金の額の合算額(つまり報酬との差額調整前の出産手当金の額)との差額
- 傷病手当金合計額と障害手当金の額との差額
トータルでみると、この日(障害手当金との調整の最終日)は、「報酬」「報酬との差額としての出産手当金」「障害手当金(最終日に相当する額)」「いずれか少ない差額としての傷病手当金」を受けることになります。
法108条4項そのもの(規定としての①~④)に関しては、下のタブに格納しておきます。
健康保険法108条4項
4 傷病手当金の支給を受けるべき者が、同一の疾病又は負傷及びこれにより発した疾病につき厚生年金保険法による障害手当金の支給を受けることができるときは、当該障害手当金の支給を受けることとなった日からその者がその日以後に傷病手当金の支給を受けるとする場合の第九十九条第二項の規定により算定される額の合計額が当該障害手当金の額に達するに至る日までの間、傷病手当金は、支給しない。ただし、当該合計額が当該障害手当金の額に達するに至った日において当該合計額が当該障害手当金の額を超える場合において、報酬の全部若しくは一部又は出産手当金の支給を受けることができるときその他の政令で定めるときは、当該合計額と当該障害手当金の額との差額その他の政令で定める差額については、この限りでない。
健康保険法施行令36条の2
法第百八条第四項ただし書の政令で定めるときは次の各号に掲げる場合とし、同項ただし書の政令で定める差額は当該各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める額とする。
一 報酬を受けることができない場合であって、かつ、出産手当金の支給を受けることができない場合 傷病手当金合計額(厚生年金保険法による障害手当金の支給を受けることとなった日以後に傷病手当金の支給を受けるとする場合の法第九十九条第二項の規定により算定される額の合計額が当該障害手当金の額に達するに至る日における当該合計額をいう。以下この条において同じ。)と障害手当金の額との差額
二 報酬を受けることができない場合であって、かつ、出産手当金の支給を受けることができる場合 法第九十九条第二項の規定により算定される額と出産手当金の額(当該額が同項の規定により算定される額を超える場合にあっては、当該額)との差額又は傷病手当金合計額と障害手当金の額との差額のいずれか少ない額
三 報酬の全部又は一部を受けることができる場合であって、かつ、出産手当金の支給を受けることができない場合 法第九十九条第二項の規定により算定される額と当該受けることができる報酬の全部若しくは一部の額(当該額が同項の規定により算定される額を超える場合にあっては、当該額)との差額又は傷病手当金合計額と障害手当金の額との差額のいずれか少ない額
四 報酬の全部又は一部を受けることができる場合であって、かつ、出産手当金の支給を受けることができる場合 法第九十九条第二項の規定により算定される額と当該受けることができる報酬の全部若しくは一部の額及び法第百八条第二項ただし書の規定により算定される出産手当金の額の合算額(当該合算額が法第九十九条第二項の規定により算定される額を超える場合にあっては、当該額)との差額又は傷病手当金合計額と障害手当金の額との差額のいずれか少ない額
老齢退職年金給付を受けられるケース

ポイントとしては、被保険者(任意継続被保険者を除く)として受ける傷病手当金は、老齢退職年金給付とは調整されません。
(継続給付そのものは、別の記事で解説します)
- 傷病手当金の支給を受けるべき者(*7)が、老齢又は退職を支給事由とする年金給付(老齢退職年金給付)の支給を受けることができるときは、傷病手当金は支給しない(法108条5項本文)
- ただし、その受けることができる老齢退職年金給付の額(*8)につき厚生労働省令で定めるところにより算定した額(*9)が、傷病手当金の額より少ないときは、その差額を支給する(法108条5項ただし書)
(*7)法104条の継続給付を受けるべき者であって、法135条の傷病手当金を受けられる日雇特例被保険者(日雇特例被保険者であった者を含む)に該当しないものに限ります(令37条)
(*8)老齢退職年金給付が二つ以上あるときは、当該二つ以上の老齢退職年金給付の額の合算額です。以下同じ。
(*9)老齢退職年金給付の額を360で除し(1円未満の端数切り捨て)て日額に変換します(則89条2項)
任意継続被保険者は「継続給付としての傷病手当金」を受けられるケースがあるため、老齢退職年金給付と傷病手当金の調整の対象になり得ます。
(特例退職被保険者については、継続給付としても傷病手当金を受けられません)
なお、全額につき支給を停止されている給付は「老齢退職年金給付」から除かれます(令38条)
「老齢退職年金給付」の具体的な範囲(老齢基礎年金、老齢厚生年金は含まれます)は、下のタブに格納しておきます。
健康保険法施行令38条(傷病手当金の併給調整の対象となる年金である給付)
法第百八条第五項の老齢又は退職を支給事由とする年金である給付であって政令で定めるものは、次のとおりとする。ただし、その全額につき支給を停止されている給付を除く。
一 国民年金法による老齢基礎年金及び同法附則第九条の三第一項の規定による老齢年金並びに国民年金法等の一部を改正する法律(昭和六十年法律第三十四号。次号及び第三号において「昭和六十年国民年金等改正法」という。)第一条の規定による改正前の国民年金法による老齢年金(老齢福祉年金を除く。)及び通算老齢年金
二 厚生年金保険法による老齢厚生年金及び特例老齢年金並びに昭和六十年国民年金等改正法第三条の規定による改正前の厚生年金保険法による老齢年金、通算老齢年金及び特例老齢年金
三 昭和六十年国民年金等改正法第五条の規定による改正前の船員保険法による老齢年金、通算老齢年金及び特例老齢年金
四 被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律(平成二十四年法律第六十三号。以下「平成二十四年一元化法」という。)附則第三十六条第五項に規定する改正前国共済法による職域加算額のうち退職を給付事由とするもの及び平成二十四年一元化法附則第三十七条第一項に規定する給付のうち退職を給付事由とするもの
四の二 平成二十四年一元化法附則第四十一条第一項の規定による退職共済年金
五 平成二十四年一元化法附則第六十条第五項に規定する改正前地共済法による職域加算額のうち退職を給付事由とするもの及び平成二十四年一元化法附則第六十一条第一項に規定する給付のうち退職を給付事由とするもの
五の二 平成二十四年一元化法附則第六十五条第一項の規定による退職共済年金
六 平成二十四年一元化法附則第七十八条第三項に規定する給付のうち退職を給付事由とするもの及び平成二十四年一元化法附則第七十九条に規定する給付のうち退職を給付事由とするもの
七 厚生年金保険制度及び農林漁業団体職員共済組合制度の統合を図るための農林漁業団体職員共済組合法等を廃止する等の法律(平成十三年法律第百一号)附則第十六条第三項の規定により厚生年金保険の実施者たる政府が支給するものとされた年金である給付のうち退職を給付事由とするもの
八 厚生年金保険法附則第二十八条に規定する共済組合が支給する年金である給付のうち退職を支給事由とするもの
九 旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法(昭和二十五年法律第二百五十六号)によって国家公務員共済組合連合会が支給する年金である給付のうち退職を支給事由とするもの
併給調整と支給期間について
併給調整と傷病手当金の支給期間については、次のように解されています(令和3年12月27日事務連絡)
- 報酬、出産手当金、障害年金、障害手当金との併給調整により、傷病手当金が不支給とされた期間については、傷病手当金の支給期間は減少しない。
- 併給調整がされても、傷病手当金の一部が支給される場合には、支給期間は減少する。
- 出産手当金を支給すべき場合において傷病手当金が支払われたことにより、出産手当金の内払とみなされた場合には、支給期間は減少する。
- 併給調整により傷病手当金が不支給となった期間に、傷病手当金付加金(健康保険組合の付加給付)のみ支給されても、傷病手当金の支給期間は減少しない。
- 障害厚生年金の支給を受けているために傷病手当金が支給停止となっている場合でも、資格喪失日の前日までに引き続き1年以上被保険者であって、資格喪失時点において、被保険者として傷病手当金を受給できるはずであった期間が残存している者は、資格喪失後の継続給付を受けることができる。支給期間については、障害厚生年金の減額(停止)により、傷病手当金の継続給付が開始された時点から減少する。
また、一つの傷病について傷病手当金の支給を受けている期間中に、別の傷病についても傷病手当金の支給要件を満たして、さらに報酬等を受けられる場合については、次のように解されています(令和3年12月27日事務連絡)
- それぞれの傷病に係る傷病手当金と報酬等との併給調整を行った上で、なお支給可能な傷病手当金があるかを判断する(傷病手当金を合算してから報酬等を差し引くわけではない)
- なお支給可能な傷病手当金が二つ以上ある場合には、併給調整前の額のうちいずれか多い額を傷病手当金の額として、報酬等との併給調整を行い支給する。
解説は以上です。
ポイントを簡単に整理しておきます。
次の①〜③のいずれかと傷病手当金とが競合する場合は、「①〜③が優先」です。
- 出産手当金
- 報酬
- 障害年金(又は障害手当金)
ただし、①〜③のいずれかの額より傷病手当金の額が多い場合は、①~③との差額が傷病手当金として支給されます。
①~③のうち複数のものと傷病手当金が競合する場合は、①~③のうち一番多い額と傷病手当金の額を比較します。
(①と②を同時に受けられるケースは、①>②が前提です)
老齢退職年金給付と傷病手当金との調整は、継続給付としての傷病手当金のみが対象です。
(参考資料等)
厚生労働省|厚生労働省法令等データベースサービスより|https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/kensaku/index.html
- 健康保険法
- 平成7年7月27日保険発113号(傷病手当金と障害厚生年金との併給調整について)
- 令和3年12月27日事務連絡(全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律による健康保険法及び船員保険法改正内容の一部に関するQ&Aの内容の追加等について)

