社労士試験の独学|健康保険法|健保組合

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まえがき

この記事では、健康保険組合の組織運営を解説しています。

「保険者とは」の解説はこちらをご参照ください。

記事中の略語は、それぞれ次の意味で使用しています。

  • 法 ⇒ 健康保険法
  • 令 ⇒ 健康保険法施行令
  • 則 ⇒ 健康保険法施行規則
  • 健保組合 ⇒ 各健康保険組合

当記事は、条文等の趣旨に反するような極端な意訳には注意しておりますが、厳密な表現と異なる部分もございます。

詳しくは免責事項をご確認ください。

健保組合の組織

この記事は「事業所側の実務に役立つのか?」と問われると、言葉に詰まる部分もあります。

ただし、社労士試験では比較的出題されています。「試験に受かるため」と割り切って勉強してみてください。


概要

組合|組合員の構成

(この記事の「被保険者」に日雇特例被保険者は含まれません)

  • 健保組合は、適用事業所の事業主、その適用事業所に使用される被保険者及び任意継続被保険者をもって組織する(法8条)
  • 健保組合は、法人とする(法9条1項)
  • 健保組合の住所は、その主たる事務所の所在地とする(同条2項)
  • 健保組合は、その名称中に健康保険組合という文字を用いなければならない(法10条1項)
  • 健保組合でない者は、健康保険組合という名称を用いてはならない(同条2項)

ちなみに、健保組合でない者が「健康保険組合」という名称を用いた場合は、10万円以下の過料の対象です(法220条)

規約

  • 健保組合は、規約において、一定の事項(*1)を定めなければならない(法16条1項)
  • 規約の変更(厚生労働省令で定める事項に係るものを除く)は、厚生労働大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない(同条2項)
  • ②の厚生労働省令で定める事項に係る規約の変更をしたときは、遅滞なく、厚生労働大臣に届け出なければならない(同条3項)

(*1)健保組合の設立に係る適用事業所の名称及び所在地、役員に関する事項、組合会に関する事項、保険料に関する事項、保険給付に関する事項、一部負担金に関する事項、準備金その他の財産の管理に関する事項等があります(同条1項各号、則4条)

なお、事務所の所在地の変更は、③(届出で足りる)に該当します(則6条)

組合員

  • 健保組合が設立された適用事業所(以下、設立事業所)の事業主及びその設立事業所に使用される被保険者は、当該健保組合の組合員とする(法17条1項)
  • ①の被保険者は、当該設立事業所に使用されなくなったときであっても、任意継続被保険者であるときは、なお当該健保組合の組合員とする(同条2項)

ちなみに、特例退職被保険者は、健康保険法の規定(法38条2号、4号及び5号を除く)の適用について、任意継続被保険者とみなされます(法附則3条6項)


設立

健保組合の設立(成立)の手続きは、おおむね次の①〜⑤の流れで進みます。

  • 被保険者の人数が一定数(単独で700人、共同で3,000人)以上となる。
  • 健保組合の設立について、被保険者の\(\frac{1}{2}\)以上の同意を得る。
  • 規約(役員、組合員、保険給付、保険料に関する事項などを定める)を作成する。
  • 規約、事業計画書、②の同意書などを添付して、申請書を厚生労働大臣に提出する。
  • 厚生労働大臣の認可を受ける。

④の申請書は、管轄の地方厚生局(長等)を経由して提出します(則158条2項)

ただし、⑤の認可の権限は、地方厚生局長に委任されていません(則159条)

任意設立

組合|任意設立
  • 一又は二以上の適用事業所について常時政令で定める数(700人)以上の被保険者を使用する事業主は、当該一又は二以上の適用事業所について、健保組合を設立することができる(法11条1項、令1条の3第1項)
  • 適用事業所の事業主は、共同して健保組合を設立することができる。この場合において、被保険者の数は、合算して常時政令で定める数(3,000人)以上でなければならない(法11条2項、令1条の3第2項)

①は企業単位の健保組合です。適用事業所が複数あっても、ある事業主が単独で設立します(以下、単独設立)

②は業界単位の健保組合です。複数の事業主が共同して設立します(以下、共同設立)

  • 単独設立、共同設立ともに、適用事業所の事業主は、健保組合を設立しようとする適用事業所ごとに、当該事業所に使用される被保険者の\(\frac{1}{2}\)以上の同意を得る必要があります(法12条1項、2項)
  • 上記の同意を得て、規約を作り、厚生労働大臣の認可を受けると、認可を受けた時に健保組合は成立します(法12条1項、15条)

ちなみに、健保組合が成立したときは、理事長(後述)が選任されるまでの間、健保組合の設立の認可申請をした適用事業所の事業主が、理事長の職務を行います(令5条)

強制設立

(次の①②は実質的には形式だけの規定です)

  • 厚生労働大臣は、一又は二以上の適用事業所(任意適用の認可を受けて適用事業所となったものを除く)について常時政令で定める数(政令の定めなし)以上の被保険者を使用する事業主に対し、健保組合の設立を命ずることができる(法14条1項)
  • 上記①により健保組合の設立を命ぜられた事業主は、規約を作り、その設立について厚生労働大臣の認可を受けなければならない(同条2項)

(設立を強制されるため、設立にあたっての被保険者の同意は不要です)

上記①②による設立の場合も、健保組合は、厚生労働大臣の認可を受けた時に成立します(法15条)


役員

役員の範囲

健保組合の役員は下記になります(法21条)

  • 健保組合に、役員として理事及び監事を置く。
  • 理事の定数は、偶数とし、その半数は設立事業所の事業主の選定した組合会議員において、他の半数は被保険者である組合員の互選した組合会議員において、それぞれ互選する。
  • 理事のうち一人を理事長とし、設立事業所の事業主の選定した組合会議員である理事のうちから、理事が選挙する。
  • 監事は、組合会において、設立事業所の事業主の選定した組合会議員及び被保険者である組合員の互選した組合会議員のうちから、それぞれ一人を選挙する。
  • 監事は、理事又は健保組合の職員と兼ねることができない。

(組合会は後述します)

また、役員の任期は下記になります(令14条)

  • 役員の任期は、3年を超えない範囲内で規約で定める期間とする。
  • 補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とする。
  • 役員は、その任期が満了しても、後任の役員が就任するまでの間は、なお、その職務を行う。

職務

「役員」の職務は下記になります(法22条)

  • 理事長は、健保組合を代表し、その業務を執行する。
  • 理事は、理事長の定めるところにより、理事長を補佐して、健保組合の業務を執行することができる。
  • 監事は、健保組合の業務の執行及び財産の状況を監査する。

健保組合の業務は、規約に別段の定めがある場合を除くほか、理事の過半数により決し、可否同数のときは、理事長が決します(同条2項)

なお、理事長に事故があるとき、又は理事長が欠けたときは、設立事業所の事業主の選定した組合会議員である理事のうちから、あらかじめ理事長が指定する者がその職務を代理し、又はその職務を行います(同条1項)


組合会

組合会の議員
  • 健保組合に、組合会を置く(法18条1項)
  • 組合会は、組合会議員をもって組織する(同条2項)
  • 組合会議員の定数は、偶数とし、その半数は、設立事業所の事業主において設立事業所の事業主(その代理人を含む)及び設立事業所に使用される者のうちから選定し、他の半数は、被保険者である組合員において互選する(同条3項)

前述のとおり、「役員」は上記の組合会議員から選ばれます。

なお、組合会議員の定数は、組合会の議決が理事の意向によって影響を受けないよう、理事定数の2倍を超える数にするよう通知されています(平成19年2月1日保発0201001号)

組合会の権限

次の①~④は、組合会の議決を経る必要があります(法19条)

  • 規約の変更
  • 収入支出の予算
  • 事業報告及び決算
  • その他規約で定める事項

また 組合会は、健保組合の事務に関する書類を検査し、理事若しくは監事の報告を請求し、又は事務の管理、議決の執行若しくは出納を検査することができます(法20条)

組合会の招集

組合|組合会の招集

組合会の招集に関しては、施行令に規定されています(令7条1項~3項)

  • 組合会は、理事長が招集する。
  • 理事長は、規約で定めるところにより、毎年度1回、通常組合会を招集しなければならない。
  • 理事長は、必要があるときは、いつでも臨時組合会を招集することができる。
  • 理事長は、組合会議員の定数の\(\frac{1}{3}\)以上の者が会議に付議すべき事項及び招集の理由を記載した書面を理事長に提出して請求したときは、その請求のあった日から20日以内に組合会を招集しなければならない。

なお、組合会は、緊急を要する場合を除き、開会の日の前日から起算して前5日目に当たる日が終わるまでに、会議に付議すべき事項、日時及び場所を示し、規約で定める方法で招集される必要があります(令8条)

組合会においては、令8条(上記なお書)によりあらかじめ通知された事項についてのみ議決できます(令10条4項)

(ただし、出席した組合会議員の\(\frac{2}{3}\)以上の同意があった場合は、あらかじめ通知した事項でなくとも議決が可能です)

議事運営

議事運営については、次のように定められています。

  • 組合会に議長を置く。議長は、理事長をもって充てる(令10条1項)
  • 組合会議員は、特別の利害関係のある事項については、その議決権を行使できない。ただし、組合会の同意があった場合は、会議に出席して発言できる(令11条)
  • 組合会議員は、書面又は代理人(他の組合会議員に限る。なお、一人で5人以上の議員を代理することはできない)をもって、議決権又は選挙権を行使できる。この規定により議決権又は選挙権を行使する者は、出席者とみなす(令12条)
  • 組合会は、組合会議員の定数(議決権を行使できない議員の数を除く)の半数以上が出席しなければ、議事を開き、議決できない(令9条)
  • 組合会の議事は、及び令に別段の定めがある場合を除き、出席した組合会議員の過半数で決し、可否同数のときは、議長が決する(令10条2項)
  • 規約の変更届出で足りる事項の変更を除く)の議事は、組合会議員の定数の\(\frac{2}{3}\)以上の多数で決する(同条3項)

なお、理事長は、組合会が成立しないとき、又は理事長において緊急を要すると認めるときは、組合会の議決を経なければならない事項で緊急に行う必要があるものを処分できます(令7条4項)

上記の処分を行った場合は、理事長は、次の組合会においてこれを報告し、その承認を求める必要があります(同条5項)

健保組合の組織運営については以上です。


健保組合の事業

以降の解説においても、条文に「厚生労働大臣」とあれば、そのまま記載しています。

なお、健保組合が厚生労働大臣に提出すべき書類は、管轄地方厚生局長等(当該健保組合の主たる事務所の所在地を管轄する地方厚生局長又は地方厚生支局長)を経由することになっています(則18条)

(権限の委任の範囲は、膨大になるため省略します)


事業の開始から決算・報告まで

組合|事業年度の概念図
  • 健保組合の会計年度は、毎年4月1日に始まり、翌年3月31日に終わる(令15条本文)
  • 事業開始の初年度は、事業開始の日に始まり、翌年(事業開始の日が1月1日以降3月31日以前のときは、その年)の3月31日に終わる(同条ただし書)
  • 健保組合において、収入金を収納するのは翌年度の5月31日、支出金を支払うのは翌年度の4月30日限りとする(令19条)

予算

  • 健保組合は、毎年度、収入支出の予算を作成し、当該年度の開始前に、厚生労働大臣に届け出なければならない。これを変更したときも、同様とする(令16条1項)
  • 予算に定めた各の金額は、相互に流用できない(同条2項)
  • 予算に定めた各の金額は、組合会の議決を経て、相互に流用できる(同条3項)

健保組合の予算科目は、大きい方から「款」「項」「目」です(かんこうもく)

また、予備費については下記になります(令18条)

  • 健保組合は、予算超過の支出又は予算外の支出に充てるため、予備費を設けなければならない。
  • 予備費は、組合会の否決した使途には充てられない。

なお、組合会の議決を経て継続費(複数年度に渡る支出)を設けることも可能です(令17条)

毎月の事業状況の報告

健保組合は、毎月の事業状況を翌月20日までに管轄地方厚生局長等に報告する必要があります(則14条)

決算・報告

  • 健保組合は、毎年度終了後6か月以内に、厚生労働省令で定めるところにより、事業及び決算に関する報告書を作成し、厚生労働大臣に提出しなければならない(令24条1項)
  • 健保組合は、①の書類を健保組合の主たる事務所に備え付けて置かなければならない(同条2項)
  • 組合員及び組合員であった者は、健保組合に対し、②の書類の閲覧を請求できる。この場合において、健保組合は、正当な理由がある場合を除き、これを拒んではならない(同条3項)

(年度は3月31日に終わるため、決算報告書の提出期限は9月30日です)

協会けんぽと異なり、予算は届出で足り(大臣の認可は不要)、決算は提出で足ります(大臣の承認は不要

参考|東海北陸厚生局(外部サイトへのリンク)|健康保険制度に関係するよくあるご質問Q&A(健康保険組合向け)


その他資金に関する取扱い

出題範囲の予想が難しいため、念のため掲載しておきます。

「準備金」の積み立ては、こちらをご参照ください。

準備金

健保組合の準備金は、保険給付に要する費用(次に掲げる納付金等の納付に要する費用を含む)の不足を補う場合を除いては、取り崩すことができません(令20条)

  • 前期高齢者納付金等
  • 後期高齢者支援金、後期高齢者関係事務費拠出金
  • 出産育児関係事務費拠出金
  • 病床転換支援金等(令附則4条、令和8年4月8日政令133号)
  • 日雇拠出金
  • 介護納付金
  • 流行初期医療確保拠出金等
  • 子ども・子育て支援納付金

(出産育児関係事務費拠出金は、実際には出産育児交付金と相殺されます)

上記の納付金等(出産育児交付金を含む)は、こちらで解説しています。

ちなみに、健保組合の準備金は、一般的に安全・確実と認められる方法(金融機関への預貯金、国債、担保付社債など一定の方法)で保有するよう通知されています(平成19年2月1日保発0201001号)

支払上の現金に不足が生じたとき

組合|準備金の繰替使用、一時借入金

借金して予算を確保する趣旨ではなく、年度内の一時的な資金繰り(一般企業でいう入金の遅延への対応)を目的とした規定です。

  • 健保組合は、支払上の現金に不足を生じたときは、準備金に属する現金を繰替使用し、又は一時借入金をすることができる(令21条1項)
  • ①により繰替使用した金額及び一時借入金は、当該会計年度内に返還しなければならない(同条2項)

準備金に属する現金の繰替使用は、準備金の取り崩しではなく、準備金の現金を一時的に融通するイメージです。

(準備金の現金を繰替使用すると、一時借入金よりも利息負担の軽減が期待できます)

組合債

  • 健保組合は、組合債を起こし、又は起債の方法、利率若しくは償還の方法(②を除く)を変更しようとするときは、厚生労働大臣の認可を受けなければならない(令22条1項)
  • 厚生労働省令で定める軽微な変更(組合債の金額の減少、組合債の利率の低減)をしたときは、遅滞なく、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない(令22条2項、則11条)

重要な財産の処分

健保組合は、重要な財産を処分しようとするときは、厚生労働大臣の認可を受ける必要があります(令23条)

健保組合の事業については、以上です。


組合規模の増減

健保組合そのものの合併、分割、解散と、健保組合の設立事業所の増減(当該組合に加入する事業所の増加・減少)を解説します。

項目合併・分割・解散増減
議決・同意組合会議員の\(\frac{3}{4}\)以上事業主
被保険者の\(\frac{1}{2}\)以上
認可必要(大臣よる解散命令を除く)規約の変更に認可が必要
(事業所の廃止を除く)

合併

組合|合併の概念図

健保組合の合併は、下記になります(法23条)

  • 健保組合は、合併しようとするときは、組合会において組合会議員の定数の\(\frac{3}{4}\)以上の多数により議決し、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。
  • 合併によって健保組合を設立するには、各健保組合がそれぞれ組合会において役員又は組合会議員のうちから選任した設立委員が共同して規約を作り、その他設立に必要な行為をする。
  • 合併により設立された健保組合又は合併後存続する健保組合は、合併により消滅した健保組合の権利義務を承継する。

分割

組合|分割の概念図

健保組合の分割は、下記になります(法24条)

  • 健保組合は、分割しようとするときは、組合会において組合会議員の定数の\(\frac{3}{4}\)以上の多数により議決し、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。
  • 健保組合の分割は、設立事業所の一部について行うことはできない(*2)
  • 分割を行う場合においては、分割により設立される健保組合の組合員となるべき被保険者又は分割後存続する健保組合の組合員である被保険者(これら)の数が、単独設立は700人以上、共同設立は3,000人以上でなければならない(*3)
  • 分割によって健保組合を設立するには、分割により設立される健保組合の設立事業所となるべき適用事業所の事業主が規約を作り、その他設立に必要な行為をする。
  • 分割により設立された健保組合は、分割により消滅した健保組合又は分割後存続する健保組合の権利義務の一部を承継する
  • 承継する権利義務の限度は、分割の議決とともに議決し、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。

(*2)ある適用事業所(設立事業所)の70%は現在の組合Aに残り、30%は他の組合Bに加入するという意味での分割はできません。ある適用事業所の100%を組合Aに残したり、100%を組合Bに分割することが「健保組合の分割」に該当します(分割の最小単位は、組合員ではなく適用事業所です)

(*3)いずれの健保組合も単独設立は700人以上、共同設立は3,000人以上の人数が必要です(分割により、健保組合は設立される、又は存続します。これらの組合員である被保険者の数は、それぞれ人数要件を満たす必要があります)


設立事業所の増減

組合|設立事業所の増減の概念図

健保組合の設立事業所を増加又は減少させる場合の取扱いは、下記になります(法25条)

  • 健保組合がその設立事業所を増加させ、又は減少させようとするときは、その増加又は減少に係る適用事業所の事業主の全部及びその適用事業所に使用される被保険者の\(\frac{1}{2}\)以上の同意を得なければならない。
  • 健保組合が設立事業所を減少させるときは、健保組合の被保険者である組合員の数が、設立事業所を減少させた後においても、単独設立は700人以上、共同設立は3,000人以上でなければならない。

(設立事業所を二つ以上増加又は減少させようとする場合は、各事業所ごとに①の同意を得ます)

読みにくい規定ですので補足します。

  • 「増加又は減少に係る適用事業所」とは、当該健保組合に新たに加入または脱退する適用事業所を意味します。
  • 「事業主の全部」とは、当該健保組合に新たに加入または脱退する事業主の全部(C事業所が新たに加入ならC事業主、CとD二つの事業所が新たに加入ならC事業主及びD事業主)を意味します。

なお、任意適用の認可申請があった事業所に係る設立事業所の増加(任意適用事業所として健保組合に加入するケース)は、①における「被保険者」を「被保険者となるべき者」と読み替えます(法25条2項)

(実際には、例えば、協会けんぽに一定期間加入するなど、各健保組合の審査基準を満たす必要があります)


解散

組合|解散の概念図

健保組合の解散理由は、次の①~③です(法26条1項)

  • 組合会議員の定数の\(\frac{3}{4}\)以上の多数による組合会の議決
  • 健保組合の事業の継続不能
  • 厚生労働大臣により解散を命じられた

健保組合が①又は②により解散する場合は、厚生労働大臣の認可を受ける必要があります(法26条2項)

③は後述します。

なお 健保組合が解散する場合に、その財産で債務を完済できないときは、当該健保組合は、設立事業所の事業主に対し、当該債務の完済に要する費用の全部又は一部を負担するよう求めることができます(法26条3項、令27条)

ちなみに、 解散により消滅した健保組合の権利義務は、全国健康保険協会(以下、協会)が承継します(法26条4項)


役員、職員の義務等

最後に、守秘義務、厚生労働大臣による監督、解散命令を解説します。


守秘義務

協会の役員及び職員に秘密保持義務を課す規定(健康保険事業に関して職務上知り得た秘密を正当な理由がなく漏らしてはならない)は、健保組合の役員及び職員(又はこれらの職にあった者)に準用されています(法22条の2)

また、罰則(1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金)も適用されます(法207条の2)


厚生労働大臣による監督

協会に対しての①質問検査権、②違反行為の是正命令は、健保組合に準用されています(法29条1項)

具体的には下記になります。

  • 厚生労働大臣は、健保組合について、必要があると認めるときは、その事業及び財産の状況に関する報告を徴し、又は当該職員をして健保組合の事務所に立ち入って関係者に質問させ、若しくは実地にその状況を検査させることができる。
  • 厚生労働大臣は、上記①により報告を徴し、又は質問し、若しくは検査した場合において、健保組合の事業若しくは財産の管理若しくは執行が法令、規約若しくは厚生労働大臣の処分に違反していると認めるとき、確保すべき収入を不当に確保せず、不当に経費を支出し、若しくは不当に財産を処分し、その他健保組合の事業若しくは財産の管理若しくは執行が著しく適正を欠くと認めるとき、又は健保組合の役員がその事業若しくは財産の管理若しくは執行を明らかに怠っていると認めるときは、期間を定めて、健保組合又はその役員に対し、その事業若しくは財産の管理若しくは執行について違反の是正又は改善のため必要な措置を採るべき旨を命ずることができる。
  • 健保組合又はその役員が②の命令に違反したときは、厚生労働大臣は、健保組合に対し、期間を定めて、違反に係る役員の全部又は一部の解任を命ずることができる。
  • 健保組合が③の解任命令に違反したときは、厚生労働大臣は、③の命令に係る役員解任することができる。

健保組合が、①に違反(虚偽の報告等)又は②の命令に違反したときは、その役員に対し、20万円以下の過料が定められています(法219条)


解散命令

健保組合が違反行為の是正命令(直前の②の命令)に違反したときは、厚生労働大臣は、当該健保組合の解散を命ずることができます(法29条2項)

指定健康保険組合への解散命令

厚生労働大臣は、次のいずれかに該当する指定健康保険組合の事業又は財産の状況により、その事業の継続が困難であると認めるときは、当該組合の解散を命ずることができます(法29条2項、令31条)

  • 健全化計画の実施義務に違反した
  • 健全化計画の変更の求めに応じない
  • 指定された期日までに健全化計画の承認を申請しない
  • 健全化計画の承認を受けることができない

指定健康保険組合(収支が均衡しないため、厚生労働大臣の指定を受けた健保組合)の解説は、下のタブに格納しておきます。

指定健康保険組合(以下、指定健保組合)とは、健康保険事業の収支が均衡しない(収支が赤字の状態および法定給付等に要する保険料率が9.5%を超える状態が継続しており、積立金等も一定額未満の状態にある)ため、厚生労働大臣の指定を受けた健保組合をいいます(法28条、令29条)

  • 指定健保組合は、財政の健全化に関する計画を定め、厚生労働大臣の承認を受ける必要があります(法28条1項)
  • 健全化計画は、指定の日の属する年度の翌年度を初年度とする3年間の計画です(令30条1項)
  • ①の承認を受けた指定健保組合は、当該承認に係る健全化計画に従い、その事業を行わなければなりません(法28条2項)
  • 厚生労働大臣は、①の承認を受けた指定健保組合の事業及び財産の状況により、その健全化計画を変更する必要があると認めるときは、当該指定健保組合に対し、期限を定めて、当該健全化計画の変更を求めることができます(法28条3項)
  • 前述のとおり、指定健保組合は解散を命ぜられることがあります。

まとめ

解説は以上です。

健康保険組合連合会(けんぽれん)について簡単に整理しておきます。

  • 健康保険組合連合会も法人です(法184条2項)
  • 役員は会長、副会長、理事及び監事です(法187条1項)
  • 組合会に相当するものは総会となります(法188条)
  • けんぽれんでない者が健康保険組合連合会という名称を用いた場合も10万円以下の過料の対象です(法220条)

なお、調整保険料率はこちらをご参照ください。

(地域型健康保険組合、承認健康保険組合も上記リンク先で解説しています)

また、特定健康保険組合は、特例退職被保険者の解説(こちら)をご参照ください。

参考|組合会の議決

項目組合会議員
議事(法令の定めなし)過半数
規約の変更(認可を要す事項)\(\frac{2}{3}\)以上
特定健康保険組合の認可・取消\(\frac{2}{3}\)以上
不均一の一般保険料率\(\frac{2}{3}\)以上
合併・分割・解散(大臣の命令を除く)\(\frac{3}{4}\)以上

(参考資料等)

厚生労働省|厚生労働省法令等データベースサービスより|https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/kensaku/index.html

  • 健康保険法
  • 平成19年2月1日保発0201001号(健康保険組合の事業運営について)