総務省から令和8年1月23日に公表された「令和7年平均の全国消費者物価指数」を受け、厚生労働省より令和8年度の年金額が公表されました。
結論としては、令和8年度の年金額は令和7年度から 国民年金(基礎年金)が 1.9%のプラス、厚生年金(報酬比例部分)が 2.0%のプラスとなります。
- 令和8年度の年金額 ⇒ 令和7年度から 国年+1.9%、厚年+2.0%
- マクロ経済スライドの適用 ⇒ あり
- 物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回ったため、名目手取り賃金変動率にて改定
- 厚年についても、「次期財政検証作成年度」の翌年度(予定では令和12年度)までの間は、調整期間となる(マクロ経済スライドによる抑制の対象となる)
- 厚年については「経過的軽減調整率」により、国年よりマクロ経済スライドによる抑制(減額)が抑えられている。
- 経過的軽減調整率とは、「調整率+(1-調整率)× ⅔」をいう(厚年法附則(令和7年6月20日法律74号)3条1項)
- 国年については通常どおり「調整率」で計算される。
- 国民年金保険料については、令和8年度(1か月あたり)17,920円、令和9年度(1か月あたり)18,290円となる。
- 在職老齢年金については、令和8年度(2026年4月から)の支給停止調整額は65万円となる。
当記事は、条文等の趣旨に反するような極端な意訳には注意しておりますが、厳密な表現と異なる部分もございます。
詳しくは免責事項をご確認ください。
令和8年度の年金額|概要
厚生労働省より公表された令和8年(2026年)度の年金額は次のとおりです。
原則として、令和8年6月15日(月)に支給予定となっている令和8年4月分、5月分の年金額から改定されます。
国民年金(昭和31年4月2日以後生まれ )
| 年度 | 金額(月額) |
| 令和7年度 | 69,308 円 |
| 令和8年度 | 70,608 円(+1,300 円) |
国民年金(昭和31年4月1日以前生まれ)
| 年度 | 金額(月額) |
| 令和7年度 | 69,108 円 |
| 令和8年度 | 70,408 円(+1,300 円) |
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簡単にいうと、令和5年度の年金額は昭和31年4月1日以前生まれか否か(令和5年度において既裁定者か新規裁定者か)で改定率が異なっています。
令和5年度の年金額は、マクロ経済スライドを適用して、令和5年度における既裁定者は物価変動率(+ 1.9%)、新規裁定者は名目手取り賃金変動率(+ 2.2%)で改定されました。
令和5年度における既裁定者が「昭和31年4月1日以前生まれ」となり、新規裁定者が「昭和31年4月2日以後生まれ」となります。
令和5年度の改定率は、令和6年度以降の改定率にも影響を与えます。
そのため、令和7年度以降についても、「昭和31年4月1日以前生まれ」を境に年金額は異なっています。
厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)
| 年度 | 金額(月額) |
| 令和7年度 | 232,784 円 |
| 令和8年度 | 237,279 円(+4,495 円) |
金額(月額)は、平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45.5 万円)で 40 年間就業した場合に受け取る年金の給付水準です。
年金額の改定ルール|要約
年金額は、翌年度の年金額を直接〇〇万円と決めるものではなく、前年度の年金を改定します。
(令和8年度の年金額を決める場合は、令和7年度の年金を改定します)
原則としては、既裁定者は物価変動率、新規裁定者は名目手取り賃金変動率に応じて改定されます。
ただし、次の①および②のルールも適用されます。
- 物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回る場合には、既裁定者、新規裁定者ともに名目手取り賃金変動率を用いて改定します。
- 年金額がプラス改定の場合には「マクロ経済スライド」を適用して、①の改定率からスライド調整率を控除します(年金額に対しプラスに働く①の改定率からスライド調整率だけマイナスし年金額の上昇を抑制します)。
令和8年度の年金額を改定するために用いられる指標は、物価変動率(3.2%) > 名目手取り賃金変動率(2.1%)です。
(ちなみに、令和7年度は物価変動率2.7% > 名目手取り賃金変動率2.3%でした)
そのため、①のルールにより名目手取り賃金変動率(2.1%)で改定します。
また、年金額が前年度(令和7年度)に比べてプラス改定となるため、②マクロ経済スライドを適用し、スライド調整率(▲0.2%)だけ年金額の増加を抑制します。

令和8年度の年金額の改定は、上図のようにマクロ経済スライドによる調整をした上で実際の改定率を算出しています。
令和8年度の改定率(国年)
= 令和7年度の改定率 × 名目手取り賃金変動率(2.1%)× スライド調整率(▲0.2%)
結果、令和8年度の年金額(国年)は、令和7年度の年金額に比べて +1.9%となります。
厚年についても、「次期財政検証作成年度」の翌年度(予定では令和12年度)までの間は、マクロ経済スライドが適用されます。
ただし、「次期財政検証作成年度」の翌年度までの間は、厚年のマクロ経済スライドについては、スライド調整率ではなく、経過的軽減調整率を用いて計算します。
「経過的軽減調整率」とは、スライド調整率に、(1-スライド調整率)× ⅔を加えた率をいいます。
スライド調整率は▲0.2%(0.998)のため、経過的軽減調整率は次のように計算します。
経過的軽減調整率は、0.998に「(1-0.998)× ⅔ ≒0.001」を加えた率となるため、0.999(▲0.1%)と表現できます。
(国年▲0.2%、厚年▲0.1%となるため、マクロ経済スライドによる減額は厚年の方が緩やかになります)
令和8年度の改定率(厚年)
= 令和7年度の再評価率 × 名目手取り賃金変動率(2.1%)× 経過的軽減調整率(▲0.1%)
結果、令和8年度の年金額(厚年)は、令和7年度の年金額に比べて +2.0%となります。
令和8年度の年金額の具体的な計算方法(国年)
厚生年金(報酬比例部分)の額については、人によって異なるため省略します(令和7年度の再評価率 × 1.021 × 0.999で再評価率を改定します)
国民年金(老齢基礎年金)について、令和7年度の額から令和8年度の額への改定を解説します。
- 物価変動率 +3.2%(1.032)
- 名目手取り賃金変動率 +2.1%(1.021)
- マクロ経済スライドによるスライド調整率 ▲0.2%(0.998)
- 前年度までの特別調整率(キャリーオーバー) ⇒ 令和5年度に解消済
- 昭31.4.2日以後生まれ|令和7年度の改定率 6.5%(1.065)
- 昭31.4.1日以前生まれ|令和6年度の改定率 6.2%(1.062)
※厳密には(条文では)変動率を用いて掛け算で計算します。
①物価変動率(3.2%)
⇒ 総務省より公表される全国消費者物価指数
②名目手取り賃金変動率(2.1%)
⇒ 3年度平均(令和4~6年度の平均)の実質賃金変動率(▲1.1%)+ 前年度の物価変動率(3.2%)+ 可処分所得割合変化率(0.0%)
① > ②より名目手取り賃金変動率(低い方の値)を用いて改定します。
③マクロ経済スライドによるスライド調整率(▲0.2%)
= 公的年金被保険者総数(令和4年~令和6年度)の変動率(+0.1%) + 平均余命の伸び率(▲0.3%)
昭和31年4月2日以後生まれ
マクロ経済スライドを適用した後の改定率
= 令和7年度の改定率(1.065) × 名目手取り賃金変動率(1.021) × スライド調整率(0.998)
= 1.08519027(小数第4位四捨五入)
= 1.085
令和8年度の年金額(マクロ経済スライド適用後)
= 780,900円 × 1.085
= 847,276.5円
50円未満の端数は切り捨て、50円以上100円未満の端数は100円に切り上げより
年額|847,300円
各支払期日の支払額における1円未満の端数は切り捨て(切り捨てた額は2月の支払期月に加算)より
月額|70,608円
昭和31年4月1日以前生まれ
マクロ経済スライドを適用した後の改定率
= 令和7年度の改定率(1.062) × 名目手取り賃金変動率(1.021) × スライド調整率(0.998)
= 1.082133396…(小数第4位四捨五入)
= 1.082
令和8年度の年金額
= 780,900円 × 1.082
= 844,933.8円
50円未満の端数は切り捨て、50円以上100円未満の端数は100円に切り上げより
年額|844,900円
各支払期日の支払額における1円未満の端数は切り捨て(切り捨てた額は2月の支払期月に加算)より
月額|70,408円
令和7年度の改定
S31.4.2日以後生まれ
- マクロ経済スライドを適用した後の改定率
= 令和6年度の改定率(1.045) × 名目手取り賃金変動率(1.023) × スライド調整率(0.996)
= 1.0647…(小数第4位四捨五入)
= 1.065 - 令和7年度の年金額
= 780,900円 × 1.065
= 831,658.5円 - 50円未満の端数は切り捨て、50円以上100円未満の端数は100円に切り上げより
(年額)831,700円 - 各支払期日の支払額における1円未満の端数は切り捨て(切り捨てた額は2月の支払期月に加算)より
(月額)69,308円
S31.4.1.以前生まれ
- マクロ経済スライドを適用した後の改定率
= 令和6年度の改定率(1.042) × 名目手取り賃金変動率(1.023) × スライド調整率(0.996)
= 1.0617…(小数第4位四捨五入)
= 1.062 - 令和7年度の年金額
= 780,900円 × 1.062
= 829,315.8円 - 50円未満の端数は切り捨て、50円以上100円未満の端数は100円に切り上げより
(年額)829,300円 - 各支払期日の支払額における1円未満の端数は切り捨て(切り捨てた額は2月の支払期月に加算)より
(月額)69,108円
以上、厚生労働省の公表資料をもとに、令和8年度の年金額の改定について整理しました。
令和8年度の特徴は、マクロ経済スライドについては、国年は(スライド)調整率を、厚年は経過的軽減調整率を用いて計算するため、制度間で前年度からの引き上げ率が異なります(この取扱いは、令和12年度まで続く予定です)
改定率の改定の仕組みについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
マクロ経済スライドの仕組みについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
(参考資料等)
厚生労働省|報道資料|令和8年度の年金額改定についてお知らせします
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000191631_00020.html
厚生労働省|報道資料|令和7年度の年金額改定についてお知らせします
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000191631_00019.html


