社労士試験の独学|統計対策|労一|賃金引上げ等の実態に関する調査

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まえがき

この記事では、令和7年賃金引上げ等の実態に関する調査(令和7年10月14日公表)を社労士試験の勉強用に整理しています。

試験勉強の息抜きとして読んでみてください。

当記事は条文等の趣旨に反するような極端な意訳には注意しております。ただし、厳密な表現と異なる部分もございます。詳しくは免責事項をご確認ください。

調査の概要

認識の相違を避けるために前置きします。

「賃金引上げ等の実態に関する調査」の調査対象となる労働者は、「雇用期間を定めず雇用されている労働者」です。

そのため、有期雇用労働者の賃金引上げについては、本調査では分かりません。

調査の概要

賃金引上げ等の実態に関する調査は、民間企業(労働組合のない企業を含む)における賃金・賞与の改定額、改定率、 賃金・賞与の改定方法、改定に至るまでの経緯等の把握を目的とする、一般統計調査です。

ちなみに、令和7年の調査対象企業数は3,643社、有効回答企業数は1,847社で、有効回答率は50.7%です。

調査の対象となる労働者

本調査における用語の定義です。

各調査事項の対象となる「常用労働者」とは、「雇用期間を定めず雇用されている労働者」をいいます。

調査対象となる常用労働者には、「雇用期間に定めのある労働者」「雇用期間に定めがあって契約期間を更新している労働者」はいずれも含まれません。


調査結果の概要

令和7年の調査事項は次のとおりです。

  • 賃金の改定の実施状況
  • 賃金の改定額及び改定率
  • 定期昇給制度、ベースアップ等の実施状況
  • 賃金の改定事情
  • 夏の賞与の支給状況、労働組合からの賃上げ要求状況

以降、調査結果の概要より一部を抜粋して、社労士試験の勉強用に整理(数値を変えず文章の表現を編集・加工)しています。

数値の暗記は置いておいて、気軽に読んでみてください。

参考|厚生労働省ホームページ(外部サイトへのリンク)|令和7年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況


賃金の改定の実施状況

(令和7年調査の時期は、令和7年7月20日〜8月10日です)

令和7年中における賃金の改定の実施状況(9〜12月の予定を含む)については、次のとおりです。

  • 1人平均賃金を「引き上げた・引き上げる」企業の割合は91.5%、「引き下げた・引き下げる」は1.1%、「変わらなかった・変わらない」は1.0%
  • 「賃金の改定を実施しない」は2.4%
  • 労働組合の有無別でみると、労働組合ありでは「1人平均賃金を引き上げた・引き上げる」は95.5%、労働組合なしでは90.4%

ちなみに、賃金の改定の実施状況を企業規模別にみると、「1人平均賃金を引き上げた・引き上げる」企業の割合は、100~299人の規模を除き9割を超えています(100~299人の規模では89.7%)

また、「1人平均賃金を引き上げた・引き上げる」企業を産業別にみると、各産業における割合は7割後半~10割の間で幅があります。

用語の定義

本調査における用語の定義です(主な用語の定義より)

「1人平均賃金」とは、所定内賃金の1か月1人当たりの平均額をいいます。

「所定内賃金」には能率手当、家族手当、通勤手当などの「諸手当」を含みますが、時間外・休日、深夜の割増手当、慶弔手当などの「特別手当」は含めません。

「賃金の改定」とは、常用労働者(すべて又は一部)を対象とした定期昇給、ベースアップ、諸手当の改定などをいいます。なお、ベースダウンや賃金カットなど賃金の減額も含みます。


賃金の改定額及び改定率

(賃金の改定にはマイナス改定も含まれます。ただし、当記事中の数値はすべてプラスです)

令和7年中に「賃金の改定を実施した又は予定していて額も決定している企業」及び「賃金の改定を実施しない企業」における、賃金の改定状況(9~12月の予定を含む)は次のとおりです。

  • 「1人平均賃金の改定額」は13,601円
  • 「1人平均賃金の改定率」は4.4%

また、労働組合の有無別では、次のとおりです。

  • 労働組合ありでは、1人平均賃金の「改定額」は15,229円、「改定率」は4.8%
  • 労働組合なしでは、1人平均賃金の「改定額」は11,980円、「改定率」は4.0%

年次推移

賃金の改定状況の年次推移としては、「1人平均賃金の改定額」「1人平均賃金の改定率」ともに、平成23年の調査以降は増加傾向で推移して令和2年、3年調査で低下しましたが、令和4年調査以降は増加しています。


定期昇給制度、ベースアップ等の実施状況

令和7年中に「賃金の改定を実施した又は予定している企業」及び「賃金の改定を実施しない企業」における、定期昇給制度の有無及び制度の内容については、次のとおりです。

  • 定昇制度「あり」の割合は81.2%、「なし」の割合は17.7%
  • 労働組合ありでは、定昇制度「あり」の割合は92.3%、「なし」の割合は7.3%
  • 労働組合なしでは、定昇制度「あり」の割合は77.9%、「なし」の割合は20.7%
  • 定期昇給制度の内容をみると、「自動昇給」の割合が27.5%、「その他(業績評価など)」が72.4%

定期昇給(定昇)とは、あらかじめ労働協約、就業規則等で定められた制度に従って行われる昇給で、一定の時期に毎年増額することをいいます(主な用語の定義より)

定期昇給の実施状況

令和7年中に「賃金の改定を実施した又は予定している企業」及び「賃金の改定を実施しない企業」について、定期昇給制度のある企業の定昇の実施状況は、次のとおりです。

  • 定昇を「行った・行う」企業の割合は76.8%、「行わなかった・行わない」は2.6%、「延期した」が0.1%
  • 労働組合ありでは、定昇を「行った・行う」の割合は90.0%、「行わなかった・行わない」は1.3%
  • 労働組合なしでは、定昇を「行った・行う」の割合は72.9%、「行わなかった・行わない」は3.0%

ベースアップ等の実施状況

令和7年中に「賃金の改定を実施した又は予定している企業」及び「賃金の改定を実施しない企業」のうち定昇制度がある企業における、ベースアップ(以下「ベア」という)等の実施状況は、次のとおりです。

  • ベアを「行った・行う」企業の割合は57.8%、「行わなかった・行わない」は15.1%
  • 労働組合ありでは、ベアを「行った・行う」の割合は82.1%、「行わなかった・行わない」は9.9%
  • 労働組合なしでは、ベアを「行った・行う」の割合は49.4%、「行わなかった・行わない」は17.0%

ベア(ベースアップ)とは、賃金表(学歴、年齢、勤続年数、職務などの要素を用いて賃金の基準を定めた表)の改定による賃金水準の引き上げをいいます(主な用語の定義より)


賃金の改定事情

企業活動の状況

令和7年8月1日現在の企業活動についての状況です。

  • 「業況」が「良い」と回答した企業は35.3%、「さほど良くない」は51.2%、「悪い」は13.1%
  • 企業規模別にみると、企業規模が大きくなるほど「業況」が「良い」とする企業が多く、規模が小さくなるほど「業況」が「悪い」とする企業が多い。
  • 「原材料費・経費」については、すべての企業規模で「増加」と回答した企業の割合が7割を超えている

賃金の改定に当たり最も重視した要素

令和7年中に「賃金の改定を実施した又は予定していて額も決定している企業」について、賃金の改定の決定に当たり最も重視した要素は、次のとおりです。

  • 「企業の業績」の割合が41.7%と最も多い
  • 次いで「労働力の確保・定着」が17.0%、「雇用の維持」が11.9%
  • 企業規模別にみると、すべての規模で「企業の業績」が最も多い

夏の賞与の支給状況、労働組合からの賃上げ要求状況

夏の賞与の支給状況

令和7年における夏の賞与の支給状況についての企業の割合です。

  • 「支給した又は支給する(額決定)」は88.4%、「支給するが額は未定」は4.6%、「支給しない」は4.9%

労働組合からの賃上げ要求状況

労働組合からの賃上げ要求状況についてです。

  • 令和7年における労働組合がある企業の割合は22.0%(本調査における割合です)
  • 労働組合がある企業について、労働組合からの賃上げ要求交渉の有無をみると、賃上げ要求交渉が「あった」企業の割合は78.3%、「なかった」企業の割合は18.1%

まとめ

令和7年賃金引上げ等の実態に関する調査は以上です。

ちなみに、次の内容は報道発表用資料にも記載があります。試験対策として覚える範囲の参考にしてください。

  • 1人平均賃金を「引き上げた・引き上げる」企業の割合は9割を超えている
  • 1人平均賃金の改定額は13,601円
  • 1人平均賃金の「改定率」は4.4%
  • 1人平均賃金の「改定額」「改定率」ともに、労働組合「あり」のほうが「なし」よりも高い
  • 定昇を「行った・行う」企業の割合は76.8%
  • ベアを「行った・行う」企業の割合は57.8%

(参考資料)
厚生労働省ホームページ|令和7年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/jittai/25/index.html