この記事では、令和6年人口動態調査(確定数)を社労士試験の勉強用に整理しています。
(令和7年9月16日公表ですので、令和8年の社労士試験に対応する調査結果です)
試験勉強の息抜きとして読んでみてください。
当記事は条文等の趣旨に反するような極端な意訳には注意しております。ただし、厳密な表現と異なる部分もございます。詳しくは免責事項をご確認ください。
調査の概要
人口動態調査は、日本の人口動態事象を把握し、人口及び厚生労働行政施策の基礎資料を得ることを目的とする、基幹統計調査です。
当該調査に基づいて「人口動態統計」が作成され、速報(調査票を作成した数)、月報(概数)、年報(確定数)の三つが公表されます。
また、出生児数及び死亡者数は、人口推計(総務省)における数値の算出に用いられています。
人口動態統計(厚生労働省)、人口推計(総務省)を簡単に整理しておきます。
- 「人口動態統計」は、人々に起こる事象(出生、死亡、婚姻、離婚、死産)を調査し、その調査結果に基づいて作成される
- 「人口推計」は、各月、各年の人口の状況(総人口の推移など)を把握するために、人口関連の資料を用いて作成される(加工統計)
ちなみに、基幹統計(人口動態統計、人口推計ともに該当します)については、統計法に基づく罰則が適用されます。
罰則の対象としては、基幹統計と誤認させるような調査をした、公表前に他に漏らしたり盗用した、調査の報告を拒んだ等があります(統計法57条ほか)
(一般統計については、統計法の罰則は適用されません)
以降は「人口動態統計」の話となります。
回収率
人口動態調査は、回答者に調査票を送付し、回答が記入された調査票を回収するものではなく、市区町村が届出(出生、死亡など)を受理した場合に調査票が作成されるため、回収率という概念はありません。
なお、調査票は、市区町村に提出された届出をそのまま転記して作成されるため、調査項目は全て回答されます。
調査結果の概要
(調査期間は、調査該当年の1月1日~同年12月31日です)
以降、調査結果の概要より一部を抜粋して、社労士試験の勉強用に整理(数値を変えず文章の表現を編集・加工)しています。
試験勉強としても、数値の暗記は後回しにして読んでみてください。
編集・加工前の調査結果は下記のリンク先をご参照ください。
参考|厚生労働省ホームページ(外部サイトへのリンク)|令和6年(2024)人口動態統計(確定数)の概況
- 出生数 68 万 6173人(前年より4万 1115 人減少で、調査開始以来最少)
- 出生率(人口千対) 5.7 (前年より低下)
- 合計特殊出生率 1.15 過去最低 (前年 1.20)
出生数
- 「出生数」を母の年齢(5歳階級)別にみると、15〜49歳の各階級では前年より減少したが、50歳以上では増加した(第6表(1))
- 「出生数」を母の年齢(5歳階級)別にみると、30~34 歳の階級が最多となっている(第6表(1))
- 「出生数」を出生順位(第1子、2子、3子以上。以下同じ)別にみると、いずれの出生順位についても前年より減少した(第6表(2))
合計特殊出生率
合計特殊出生率は、\(\frac{母の年齢別出生数}{年齢別女性人口}\)の15歳から49歳までの合計です(調査の概要 比率の解説より)
- 「合計特殊出生率」を母の年齢(5歳階級)別にみると、34 歳以下の各階級で前年より低下したが、45 歳以上では上昇した(第7表(1))
- 「合計特殊出生率」を母の年齢(5歳階級)別にみると、30〜34 歳の階級が最高となっている(第7表(1))
- 「合計特殊出生率」を出生順位別にみると、いずれの出生順位についても前年より低下した (第7表(2))
ちなみに、合計特殊出生率を都道府県別にみると、最も低いのは東京(0.96)で、最も高いのは沖縄(1.54)となっています(第3表-2)
- 死亡数 160万 5378 人(前年より2万 9362 人増加で、調査開始以来最多)
- 死亡率(人口千対) 13.3 (前年より上昇)
年齢調整死亡率(人口千対)は男 14.2、女 7.8(男は前年の 14.1 より上昇し、女は前年の 7.8 と同率)です(第1表)
(年齢調整死亡率は、平成27年モデル人口で算出されています)
死亡数、死亡率(人口10万対)を死因別にみると、前年と同様、次のようになっています(第7表)
- 第1位 悪性新生物<腫瘍>
- 第2位 心疾患
- 第3位 老衰
△は、減少数(率)を表すための記号です。
- 自然増減数 △91 万 9205 人(過去最大の減少)
- 自然増減率(人口千対) △7.6 (前年 △7.0)
- 実数・率ともに 18 年連続で減少・低下
自然増減数は、令和6年(2024)の出生数(68 万 6173 人)と死亡数(160万 5378 人)の差です。
ちなみに、初めて自然減に転じたのは平成17年(2005)で、当時は出生数(106万 2530 人)、死亡数(108万 3796 人)で自然減(△2万 1266 人)でした(第2表-1)
- 死産数 1万 5323 胎(前年 1万 5534 胎)
- 婚姻件数 48万 5092 組(前年 47万 4741 組)
- 婚姻率(人口千対) 4.0(前年 3.9)
- 離婚件数 18万 5904 組(前年 18万 3814 組)
- 離婚率(人口千対) 1.55(前年 1.52)
令和6年人口動態調査(確定数)は以上です。
社労士試験(平成30年 選択式 労一)では、次のような記述が出題されています(①②③を一つとした総合問題)
- 労働環境に大きな影響を与える課題の一つに「少子高齢化」がある
- 出生率を上げるには、仕事と子育てを両立できるようにすることが重要だ(次世代法が論点)
- 少子化と同時に高齢化も進行していて、将来的な負担はさらに大きくなると予想される(生産年齢人口が論点)
試験では上記①の記述に絡めて「合計特殊出生率」に関する空欄が設けられました。
過去問(結果)からの推論になりますが、「統計調査の結果を問われた」というより「労働分野の課題を考えるうえで、労働に関する一般常識を問われた」と捉えることができます。
現在でも「少子高齢化」は進行中の課題です。また、社労士試験は過去問の焼き直しがあります。そのため、次の二つは覚えておいて損はないでしょう。
- 令和6年調査の合計特殊出生率は、1.15で過去最低(都道府県別では、東京の0.96が最も低い)
- 死亡「160 万人」、出生「68 万人」となり、自然減は「90 万人」
(参考資料)
厚生労働省ホームページ|令和6年(2024)人口動態統計(確定数)の概況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei24/index.html
総務省ホームページ|基幹統計一覧
https://www.soumu.go.jp/toukei_toukatsu/index/seido/1-3k.htm


