この記事では、令和6年雇用動向調査(年計)を社労士試験の勉強用に整理しています。
(令和7年8月26日公表ですので、令和8年の社労士試験に対応する調査結果です)
試験勉強の息抜きとして読んでみてください。
当記事は条文等の趣旨に反するような極端な意訳には注意しております。ただし、厳密な表現と異なる部分もございます。詳しくは免責事項をご確認ください。
調査の概要
雇用動向調査は、主要産業における入職者・離職者の状況を調査し、雇用労働力の産業、規模、職業及び地域間の移動の実態を明らかにすることを目的とする、統計法に基づく一般統計調査です。
調査対象期間は、毎年1月〜同年12月の1年間です(上半期、下半期に分けて実施されます)
調査結果の概要
以降の表の数値は、表単位未満の位で四捨五入しているため、内訳の和と計の数値とは必ずしも一致しません。
本調査における「入職者」とは、常用労働者のうち、調査対象期間中に事業所が新たに採用した者をいい、他企業からの出向者・出向復帰者を含み、同一企業内の他事業所からの転入者を除きます。
また、「離職者」とは、常用労働者のうち、調査対象期間中に事業所を退職したり、解雇された者をいい、他企業への出向者・出向復帰者を含み、同一企業内の他事業所への転出者を除きます。
入(離)職者数・入(離)職率
令和6年1年間の入職者数、離職者数については、下表のとおりです(いずれも入職が離職を上回る)
区分 | 入職者数(千人) | 離職者数(千人) |
計 | 7,473.7 | 7,195.3 |
一般 | 4,337.8 | 4,231.7 |
パート | 3,135.9 | 2,963.6 |
ちなみに、男女別の入離職数は、男性(入職 3,459.3千人、離職 3,367.6千人)女性(入職 4,014.4千人、離職 3,827.7 千人)となっています。
年初の常用労働者数に対する入(離)職者数の割合(入職率、離職率)については、下表のとおりです(いずれも入職超過)
区分 | 入職率(%) | 離職率(%) |
全体 | 14.8 | 14.2 |
男性 | 12.9 | 12.6 |
女性 | 16.8 | 16.0 |
一般 | 11.8 | 11.5 |
パート | 22.7 | 21.4 |
入職超過率(入職率から離職率を引いたもの)は、全体では0.6ポイントとなり入職超過です。
ただし、前年と比べると、入職率(全体)が 1.6 ポイント、離職率(全体)が 1.2 ポイント低下し、入職超過率は 0.4 ポイント縮小しています。
就業形態・雇用形態別(入離職者数)
令和6年1年間の入職者数と離職者数を就業形態(一般、パートタイム)、雇用形態(雇用期間の定めあり、なし)別にみると、次の特徴がみられます。
- 一般労働者は、いずれの雇用形態でも入職者数が離職者数を上回る。
- パートタイム労働者は、「雇用期間の定めなし」では入職者数が離職者数を上回るが、「雇用期間の定めあり」では離職者数が入職者数を上回る。
職歴別(入職者数・入職率)
職歴(入職前1年間における就業経験の有無によって、職歴の区分を転職入職者と未就業入職者とに分けている)別の入職者数は、下表のとおりです。
区分 | 転職者(千人) | 未就業者(千人) | 未就業者のうち新卒者(千人) |
計 | 4,920.0 | 2,553.7 | 1,204.4 |
一般 | 3,051.3 | 1,286.5 | 857.2 |
パート | 1,868.7 | 1,267.2 | 347.2 |
ちなみに、男女別の入職数は、男性については(転職者 2,336.2 千人、未就業者 1,123.1 千人、うち新卒者 592.4 千人)、女性については(転職者 2,583.8 千人、未就業者 1,430.6 千人、うち新卒者 611.9 千人)となっています。
また、職歴別の入職率については、下表のとおりです。
区分 | 転職者入職率(%) | 未就業者入職率(%) |
全体 | 9.7 | 5.0 |
男性 | 8.7 | 4.2 |
女性 | 10.8 | 6.0 |
一般 | 8.3 | 3.5 |
パート | 13.5 | 9.2 |
本調査における「労働移動者」とは、常用労働者のうち、調査対象期間中に、就職、転職、退職などの労働移動を行った者をいいます。
令和6年1年間の労働移動者を主要な産業別にみると、次の特徴がみられます。
- 入職者数は「卸売業、小売業」が 1,383.6 千人と最も多く、次いで「宿泊業、飲食サービス業」1,211.0 千人、「医療、福祉」1,158.6 千人
- 離職者数は「卸売業、小売業」が 1,427.0 千人と最も多く、次いで「医療、福祉」1,135.4 千人、「宿泊業、飲食サービス業」1,070.8 千人
また、産業別の入職率と離職率を就業形態別にみると、次の特徴がみられます。
- 一般労働者
- 入職率は「宿泊業、飲食サービス業」21.2%、「サービス業(他に分類されないもの)」19.4%の順に高い。
- 離職率は「サービス業(他に分類されないもの)」19.0%、「宿泊業、飲食サービス業」18.1%の順に高い。
- パートタイム労働者
- 入職率は「宿泊業、飲食サービス業」33.3%、「サービス業(他に分類されないもの)」27.6%の順に高い。
- 離職率は「宿泊業、飲食サービス業」29.9%、「サービス業(他に分類されないもの)」23.8%の順に高い。
本調査における「転職入職率」とは、常用労働者数に対する転職入職者数の割合をいいます。
年齢階級別の転職入職率
令和6年1年間の転職入職率については、次の特徴がみられます。
- 性別、年齢階級別にみると、「19 歳以下」及び「60〜64 歳」以上の階級で男性が女性より高く、「20〜24 歳」から「55〜59 歳」の階級では女性が男性より高い。
- 就業形態別にみると、女性の「19 歳以下」を除く階級で一般労働者よりパートタイム労働者の方が高い。
転職入職者が前職を辞めた理由
令和6年1年間の転職入職者が前職を辞めた理由をみると、次の特徴がみられます。
- 男性は「その他の個人的理由」20.2%、「その他の理由(出向等を含む)」13.5%を除くと「定年・契約期間の満了」14.1%が最も多く、次いで「給料等収入が少なかった」10.1%
- 女性は「その他の個人的理由」24.3%を除くと「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」12.8%が最も多く、次いで「職場の人間関係が好ましくなかった」11.7%
- 前年と比べると、上昇幅が最も大きいのは、男性は「その他の個人的理由」2.9%を除くと「会社の将来が不安だった」2.2 ポイント、女性は「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」1.7 ポイント
転職入職者の賃金変動状況
転職入職者の賃金変動状況については、次のとおりです。
- 前職の賃金と比べ「増加」の割合は 40.5%(前年より上昇)、「減少」の割合は 29.4%(前年より低下)、「変わらない」の割合は 28.4%
- 55歳以上の年齢区分については、「減少」が「増加」を上回る(54歳以下の年齢区分では「増加」が「減少」を上回る)
- 「1割以上の増加」は 29.4%(前年より上昇)、「1割以上の減少」は 21.7%(前年より低下)
- 雇用期間の定めのない一般労働者間の移動では 16.3 ポイント、パートタイム労働者間の移動では 15.4 ポイント、それぞれ「増加」が「減少」を上回った。
「個人的理由」は、結婚、出産・育児、介護・看護、その他の個人的理由の合計です。
「事業所側の理由」は、経営上の都合、出向、出向元への復帰の合計です。
離職理由別の離職率は次のとおりです。
- 「個人的理由」は 10.7%(前年より低下)
- 「事業所側の理由」は 0.8%(前年より低下)
- 「個人的理由」は、男性は 8.8%、女性は 12.9%(男女ともに前年より低下)
- 「事業所側の理由」によるものは、男性は 1.0%、女性は 0.6%(男性は前年より低下し、女性は同率)
調査結果の概要は以上です。
具体的な数値は置いておいて、全体像を整理しておきます。
- 全体としては入職者数が離職者数を上回る(パートタイムで期間の定めありは離職者数が入職者数を上回るが、これはおおむね例年みられる状況なため、就業・雇用の形態の影響を受けていると考えられる)
- 令和6年は入職超過だが、前年と比較すると、入職率、離職率ともに低下し、入職超過率も縮小している(雇用の移動の規模は前年よりも縮小していると考えられる)
- 入職者数の多い産業(最も多いものから上位三つ)は、「卸売業、小売業」「宿泊業、飲食サービス業」「医療、福祉」
- 離職者数の多い産業(最も多いものから上位三つ)は、「卸売業、小売業」「医療、福祉」「宿泊業、飲食サービス業」
- 入職率と離職率ともに高い産業(いずれも最も高いものから上位三つ)は、「宿泊業、飲食サービス業」「サービス業(他に分類されないもの)」「生活関連サービス業、娯楽業」
- 転職入職者について、賃金が前職と比べ「増加」したは約4割、「減少」したは約3割
- 転職入職者について、賃金が前職と比べ「減少」したが「増加」したを上回るのは、55歳以上
(入職率、離職率ともに高い産業については、表4ー2を参照)
(参考資料等)
厚生労働省ホームページ|令和6年雇用動向調査結果の概要
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/25-2/index.html