社労士試験の独学|統計対策|労一|雇用の構造に関する実態調査

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まえがき

この記事では、次の統計調査について、社労士試験の勉強用に整理しています。

  • パートタイム・有期雇用労働者総合実態調査
  • 就業形態の多様化に関する総合実態調査
  • 派遣労働者実態調査
  • 若年者雇用実態調査
  • 転職者実態調査

次の事項にご留意ください。

  • 上記の調査はいずれも雇用の構造に関する実態調査として、不定期に実施されています。
  • この記事は、投稿時点での最新の調査に基づいて掲載しています。
  • すでに社労士試験で出題された調査結果も含まれます。
  • 高年齢者雇用実態調査(直近は平成20年)、求職者総合実態調査(直近は平成14年)、企業における採用管理等に関する実態調査(平成19年のみ実施)、その他中止・廃止された統計は記載していません。
  • 調査結果そのものは、記事末のリンク(厚生労働省HP)や、政府統計の総合窓口(e-Stat)をご参照ください。

当記事は条文等の趣旨に反するような極端な意訳には注意しております。ただし、厳密な表現と異なる部分もございます。詳しくは免責事項をご確認ください。

パートタイム・有期雇用労働者総合実態調査

統計調査社労士試験
R3(最新)R5 出題

最新の調査は、令和3年(令和4年11月25日公表)です。

パートタイム・有期雇用労働者総合実態調査は、令和3年に初めて実施されました。


調査の概要

  • 統計法に基づく一般統計調査です。
  • パートタイム労働者及び有期雇用労働者について、企業における雇用管理の状況、待遇や働き方を把握し、施策の立案に資することを目的としています。
  • 事業所調査と個人調査で構成されています。

主な調査結果

以降、過去に出題された論点は、既出論点と表記しています。

繰り返し出題される論点もあるため、令和8年以降の試験対策の参考にしてください。

最新の調査(令和3年調査|事業所調査)結果からの抜粋です。

企業におけるパートタイム・有期雇用労働者の雇用状況

  • 既出論点|「パートタイム・有期雇用労働者を雇用している」企業は、7割を超えている(75.4%)
  • 既出論点|雇用している就業形態(複数回答)をみると、「無期雇用パートタイム」が最も高く、次いで「有期雇用パートタイム」、「有期雇用フルタイム」の順に高い(それぞれ51.4%、27.1%、23.2%)
  • 企業規模別にみると、いずれの就業形態においても、企業規模が大きくなるほど雇用している割合がおおむね高くなる。

パートタイム・有期雇用労働者を雇用する理由

パートタイム・有期雇用労働者を雇用する理由(複数回答)については、次のとおりです。

  • 「無期雇用パートタイム」では「1日の忙しい時間帯に対処するため」、「人を集めやすいため」、「仕事内容が簡単なため」の順に高い(それぞれ30.4%、26.9%、26.8%)
  • 「有期雇用パートタイム」では「定年退職者の再雇用のため」、「1日の忙しい時間帯に対処するため」、「仕事内容が簡単なため」の順に高い(それぞれ37.5%、30.6%、30.2%)
  • 既出論点|「有期雇用フルタイム」では「定年退職者の再雇用のため」が6割を超え、次いで「経験・知識・技能のある人を採用したいため」、「正社員の代替要員の確保のため」の順に高い(それぞれ61.9%、31.4%、25.2%)

教育訓練の実施状況

正社員とパートタイム・有期雇用労働者を雇用している企業が行っている教育訓練の種類(複数回答)については、次のとおりです。

  • 既出論点|正社員に実施し、うち「無期雇用パートタイム」「有期雇用パートタイム」「有期雇用フルタイム」にも実施している企業の割合をみると、いずれの就業形態においても「日常的な業務を通じた、計画的な教育訓練(OJT)」が最も高い。
  • 正社員との比較でみると、いずれの就業形態においても「日常的な業務を通じた、計画的な教育訓練(OJT)」、「入職時のガイダンス(Off-JT)」は正社員と比べて7割程度の実施となっている。ただし、「将来のためのキャリアアップのための教育訓練(Off-JT)」は 4割を下回っている。

パートタイム・有期雇用労働者の正社員転換制度

正社員転換について「制度有り」とする企業の割合は、「無期雇用パートタイム」「有期雇用パートタイム」では 約4割、「有期雇用フルタイム」では 5割となっています。

正社員転換制度がある企業について、正社員への転換の基準(複数回答)別に企業の割合をみると、次の特徴がみられます。

  • 既出論点|「人事評価の結果」が最も高く、次いで「パートタイム・有期雇用労働者の所属する部署の上司の推薦」、「(一定の)職務経験年数」の順で高い(それぞれ67.7%、48.8%、41.1%)
  • 「職場内の格付け等級制度における(一定の)位置づけ」(5.9%)と「筆記試験の結果」(6.0%)については、低くなっている。

パートタイム・有期雇用労働者総合実態調査は以上です。


就業形態の多様化に関する総合実態調査

統計調査社労士試験
R6(最新)未出題
R元R3 出題
H26なし
H22H25 出題
以降省略

最新の調査は、令和6年(令和7年9月26日公表)です。


調査の概要

  • 統計法に基づく一般統計調査です。
  • 正社員及び正社員以外の労働者のそれぞれの就業形態について、事業所側、労働者側の双方から意識的な面を含めて把握し、雇用政策の推進等に資することを目的としています。
  • 事業所調査と個人調査で構成されています。

主な調査結果|事業所調査

最新の調査(令和6年調査)結果からの抜粋です。

就業形態の多様化に関する総合実態調査は、個人調査からの出題もみられるため、事業所調査(企業の割合)と個人調査(労働者の割合)とに分けて掲載します。

就業形態別労働者がいる事業所の割合

令和6年10月1日現在で、就業形態別に当該就業形態の労働者がいる事業所の割合(以下、就業形態別事業所割合)(複数回答)をみると、次の特徴がみられます。

  • 「正社員以外の労働者がいる事業所」は 約8割(82.3%)となり、前回調査である令和元年より低下
  • 既出論点|正社員以外の労働者における就業形態別事業所割合をみると、「パートタイム労働者がいる」が最も高い(65.9%)

また、各就業形態の労働者のいる事業所割合を産業別にみると、次の特徴がみられます。

  • 「契約社員(専門職)がいる」では、「教育、学習支援業」が最も高い(32.9%)
  • 「嘱託社員(再雇用者)がいる」では、「電気・ガス・熱供給・水道業」が最も高い(55.6%)
  • 「パートタイム労働者がいる」では、「宿泊業、飲食サービス業」が最も高い(88.0%)
  • 「派遣労働者(受け入れ)がいる」では、「製造業」が最も高い(25.3%)

ちなみに、派遣労働者については、例年、情報通信業における割合が最高でしたが、令和6年調査では製造業に次いで2番目となっています。

3年前と比べた正社員数及び正社員以外の労働者比率の変化

次の箇条書きは、3年前(令和3年)と比べた正社員数の変化についてです。

  • 正社員数が「減った」29.6%、「増えた」21.2%、「変わらない」46.8%
  • 産業別では、「学術研究、専門・技術サービス業」を除き、全ての産業で「増えた」より「減った」とする割合が高くなっている。

次の箇条書きは、3年前(令和3年)と比べた正社員以外の労働者比率の変化についてです。

  • 既出論点|「上昇した」15.7%、「低下した」16.7%、「ほとんど変わらない」62.9%
  • 産業別で「上昇した」の割合をみると、「電気・ガス・熱供給・水道業」、「教育、学習支援業」が高い(それぞれ25.6%、24.6%)
  • 産業別で「低下した」の割合をみると、「宿泊業,飲食サービス業」、「卸売業,小売業」が高い(それぞれ 21.3%、18.5%)
  • 「上昇した」事業所における正社員以外の就業形態(複数回答)をみると、「パートタイム労働者」とする事業所割合が最も高く、次いで「嘱託社員(再雇用者)」、「派遣労働者(受け入れ)」となっている(それぞれ66.2%、22.4%、12.2%)

正社員以外の労働者の活用

既出論点|正社員以外の労働者を活用する理由(複数回答)については、次のとおりです(事業所割合の高いものから上位4つ)

  • 「正社員を確保できないため」(41.0%)
  • 「即戦力・能力のある人材を確保するため」(31.6%)
  • 「1日、週の中の仕事の繁閑に対応するため」(29.1%)
  • 「高年齢者の再雇用対策のため」(28.9%)

既出論点|正社員以外の労働者を活用する理由を就業形態別にみると、割合の最も高いものは次のとおりです。

  • 「出向社員」及び「契約社員(専門職)」では、「専門的業務に対応するため」
  • 「嘱託社員(再雇用者)」では、「高年齢者の再雇用対策のため」
  • 「パートタイム労働者」及び「派遣労働者」では、「正社員を確保できないため」
  • 「臨時労働者」では、「臨時・季節的業務量の変化に対応するため」

既出論点|正社員以外の労働者を活用する上での問題点(複数回答)については、次のとおりです(事業所割合の高いものから上位3つ)

  • 「良質な人材の確保」(53.6%)
  • 「定着性」(51.5%)
  • 「仕事に対する責任感」(46.1%)

主な調査結果|個人調査

最新の調査(令和6年調査)結果からの抜粋です。

正社員・正社員以外の労働者別にみた職種の状況

「正社員」と「正社員以外の労働者」それぞれの職種別の割合です。

  • 既出論点|「正社員」では「事務的な仕事」が最も高く、次いで「管理的な仕事」、「専門的・技術的な仕事」の順に高い(それぞれ42.2%、21.4%、17.5%)
  • 既出論点|「正社員以外の労働者」では「事務的な仕事」が最も高く、次いで「専門的・技術的な仕事」、「サービスの仕事」の順に高い(それぞれ25.1%、17.4%、15.3%)

現在の就業形態を選んだ理由

正社員以外の労働者(出向社員を除く)について、現在の就業形態を選んだ理由(複数回答)をみると、「自分の都合のよい時間に働けるから」とする割合が最も高くなっている(40.1%)

ただし、上記の理由を就業形態別にみると、次のとおり違いがみられます。

  • 「契約社員(専門職)」及び「嘱託社員(再雇用者)」では、「専門的な資格・技能を活かせるから」の割合が最も高い。
  • 既出論点|「パートタイム労働者」及び「臨時労働者」では、「自分の都合のよい時間に働けるから」の割合が最も高い。
  • 既出論点|「派遣労働者」では、「正社員として働ける会社がなかったから」の割合が最も高い。

今後の就業に対する希望

正社員以外の労働者について、今後の就業に対する希望を調査した結果です。

「今後も会社で働きたい」と回答した割合を就業形態別にみると、次の特徴がみられます。

  • 「現在の会社で働きたい」は、「パートタイム労働者」、「契約社員(専門職)」及び「嘱託社員(再雇用者)」では 約8割と高くなっている
  • 「別の会社で働きたい」は、「派遣労働者」及び「臨時労働者」で 2割程度となっている(他の就業形態と比較すると高い割合となっている)

また、「今後も会社で働きたい」と回答した者のうち、今後の働き方に対する希望を就業形態別にみると、次の特徴がみられます。

  • 全ての就業形態において「現在の就業形態を続けたい」が「他の就業形態に変わりたい」を上回っている。
  • 「他の就業形態に変わりたい」と回答した割合をみると、「臨時労働者」、「派遣労働者」及び「契約社員(専門職)」で 約4割となっている。
  • 既出論点|今後希望する就業形態の内訳では、「正社員に変わりたい」が 3割強となっている(上記の約4割の内訳が「正社員に変わりたい」は3割強で、「正社員以外に変わりたい」は1割未満という意味です)

現在の職場での満足度

R6|就業形態の多様化に関する総合実態調査|図7
出典|厚生労働省|令和6年 就業形態の多様化に関する総合実態調査 図7|
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/keitai/24/index.html

既出論点|仕事の内容・やりがいや賃金などの項目についての満足度D.I.(「満足」又は「やや満足」とする労働者割合から「不満」又は「やや不満」とする労働者割合を差し引いた値をいう。以下同じ)です。

  • 「正社員」では「雇用の安定性」66.3ポイント、「仕事の内容・やりがい」60.0ポイントなどが高くなっている。
  • 「正社員以外の労働者」では「仕事の内容・やりがい」63.3ポイント、「正社員以外の労働者との人間関係、コミュニケーション」56.9ポイントなどが高くなっている。

また、正社員以外の労働者の就業形態別にみると、次の特徴がみられます。

  • 「嘱託社員(再雇用者)」では「賃金」がマイナスポイントとなっている。
  • 「派遣労働者」では「賃金」と「福利厚生」がマイナスポイントとなっている。

現在の会社とは別の仕事(兼業)

令和6年9月の1か月に、現在勤務する会社とは別の仕事(兼業)を行った労働者割合です。

  • 「正社員」では7.6%、「正社員以外の労働者」では14.6%となっている(就業形態計では10.5%)
  • 就業形態でみると「臨時労働者」が最も高く(34.6%)、次いで「パートタイム労働者」、「契約社員(専門職)」となっている。

就業形態の多様化に関する総合実態調査は以上です。


派遣労働者実態調査

統計調査社労士試験
R4(最新)R7 出題
H29なし
H24なし
H20なし
H16H18 出題

最新の調査は、令和4年(令和5年11月24日公表)です。

平成18年の試験では、派遣労働者調査(個人調査に相当)から出題されています。

しかし、「就業形態の多様化に関する総合実態調査」の個人調査と錯綜するおそれがあるため、「派遣労働者実態調査」は事業所調査のみを掲載します。


調査の概要

  • 統計法に基づく一般統計調査です。
  • 労働者派遣の実態等について、事業所側、労働者側の双方から把握し、労働者派遣制度に関する施策の立案等に資することを目的としています。
  • 事業所調査と派遣労働者調査で構成されています。

主な調査結果

最新の調査(令和4年調査|事業所調査)結果からの抜粋です。

なお、令和4年10月1日現在の状況についての調査結果です。

(調査結果における「過去1年間」は、令和3年10月1日~令和4年9月30日です)

派遣労働者の就業状況

派遣労働者が就業している事業所の割合については、次のとおりです。

  • 派遣労働者が「就業している」は 12.3%
  • 「就業している」を産業別にみると、「製造業」が最も高く、次いで「情報通信業」、「金融業、保険業」の順に高い(それぞれ 23.6%、23.1%、21.0%)
  • 既出論点|「就業している」を事業所規模別にみると、規模が大きいほど派遣労働者が就業している事業所の割合が高い。

次の調査結果は、派遣労働者が就業している事業所における派遣労働者の割合です。

  • 全労働者数に対する派遣労働者の割合は 4.0%
  • 既出論点|「全労働者数に対する派遣労働者の割合」を産業別にみると、「サービス業(他に分類されないもの)」が最も高く、次いで「情報通信業」、「製造業」の順に高い(それぞれ11.5%、9.5%、7.8%)
  • 一方「宿泊業、飲食サービス業」が最も低く、次いで「鉱業、採石業、砂利採取業」、「複合サービス事業」の順に低い(それぞれ0.6%、0.7%、1.1%)

派遣労働者が就業している事業所における、派遣労働者を就業させる主な理由(複数回答3つまで)は次のとおりです。

  • 既出論点|「欠員補充等必要な人員を迅速に確保できるため」が最も高く、次いで「一時的・季節的な業務量の変動に対処するため」、「軽作業、補助的業務等を行うため」(それぞれ76.5%、37.2%、30.9%)
  • 「常用労働者数を抑制するため」や「雇用管理の負担が軽減されるため」は、1割未満(ともに7%)

また、派遣労働者を受け入れない主な理由(複数回答3つまで)は次のとおりです。

  • 「今いる従業者で十分であるため」が最も高く、次いで「費用がかかりすぎるため」、「派遣労働者を受け入れるより他の就業形態の労働者を採用しているため」の順に高い(それぞれ56.2%、29.4%、21.7%)

教育訓練・能力開発等

  • 既出論点|派遣労働者が就業している事業所について、過去1年間に派遣労働者に対する教育訓練・能力開発の実施の有無をみると、「実施した」が 約7割(69.7%)
  • 派遣労働者を「正社員に採用する制度がある」割合は 14.3%(派遣労働者が就業している事業所では23.9%)
  • 紹介予定派遣制度を「利用したことがある」割合は 7.1%(派遣労働者が就業している事業所では15.3%)

ちなみに、紹介予定派遣制度を利用したことがない事業所で「制度を知っている」は 37.1%、「制度を知らない」は 53.1%となっています。

不合理な待遇差解消のための取組状況

派遣労働者の不合理な待遇格差の解消のため、派遣先が派遣元事業所から情報(*)の提供を求められ、実際に提供したことがある事業所についての調査結果です。

(*)派遣先労働者の待遇情報及び派遣労働者の派遣先における職務の評価情報

既出論点|提供した情報を種類別にみると、割合の高いものから上位3つは次のとおりです。

  • 「福利厚生施設(給食施設、休憩室、更衣室)」(46.1%)
  • 「派遣先が行った派遣労働者の職務の評価情報(働きぶりや勤務態度)」(32.2%)
  • 「業務に必要な能力を付与するための教育訓練」(27.6%)

その他

  • 派遣労働者の待遇決定方式(複数回答)をみると、労使協定方式は 37.0%、派遣先均等・均衡方式は29.4%
  • 派遣労働者が就業している事業所について、過去1年間に同一の組織単位での派遣就業期間が個人単位の期間制限(3年)に到達した派遣労働者がいた割合は 24.6%

若年者雇用実態調査

統計調査社労士試験
R5(最新)未出題
H30R2 出題
H25H28 出題
H21H25 出題
H17H19 出題

最新の調査は、令和5年(令和6年9月25日公表)です。

上表のとおり、社労士試験で比較的出題されている調査です。

令和5年調査は、令和7年の社労士試験で出題されなかったため、令和8年以降に受験する方は目を通しておくとよいかもしれません。


調査の概要

  • 統計法に基づく一般統計調査です。
  • 事業所における若年労働者の雇用状況、若年労働者の就業に関する意識など若年者の雇用実態について、事業所側、労働者側の双方から把握し、施策の立案等に資することを目的としています。
  • 事業所調査と個人調査で構成されています。

この調査における「若年労働者」とは、調査基準日現在で満15~34歳の労働者をいいます。


主な調査結果|事業所調査

最新の調査(令和5年調査)結果からの抜粋です。

なお、令和5年10月1日現在の状況についての調査結果です。

(調査結果における「過去1年間」は、令和4年10月~令和5年9月です)

若年者雇用実態調査は、個人調査からの出題もみられるため、事業所調査(企業の割合)と個人調査(労働者の割合)とに分けて掲載します。

若年者の雇用状況

事業所の割合です。

  • 若年労働者が就業している事業所の割合は 73.6%
  • 「若年労働者がいる」事業所の割合は、30 人以上の各事業所規模において 9割を超えているのに対して、「5〜29 人」規模では 7割弱(69.5%)
  • 前回調査(平成 30年)と比較すると「若年労働者がいる」事業所の割合は、正社員、正社員以外ともに低下している

労働者の割合です。

  • 既出論点|全労働者に占める若年労働者の割合は 23.7%
  • 正社員に占める若年労働者の割合 25.4%
  • 正社員以外の労働者に占める若年労働者の割合 20.8%
  • 正社員に占める若年労働者の割合は「1,000 人以上」規模が最も高く、事業所規模が大きいほど高くなる。
  • 正社員以外に占める若年労働者割合は「1,000 人以上」規模が最も高い一方で、「5〜29 人」規模が他の事業所規模に比べて高くなる。

若年労働者の採用状況

採用された若年労働者がいた事業所割合を産業別にみると、次のとおりです。

  • 正社員では「金融業、保険業」、「情報通信業」の順に高い。
  • 正社員以外では「宿泊業、飲食サービス業」、「教育、学習支援業」の順に高い。

既出論点|若年正社員の採用選考をした事業所のうち、採用選考にあたって重視した点(複数回答)については、「新規学卒者」「中途採用者」ともに、上位3つは次のようになっています。

  • 「職業意識・勤労意欲・チャレンジ精神」(それぞれ79.3%、72.7%)
  • 「コミュニケーション能力」(それぞれ74.8%、66.9%)
  • 「マナー・社会常識」(それぞれ58.6%、58.1%)

若年労働者の育成状況

  • 若年正社員の育成を行っている事業所の割合は 77.9%
  • 正社員以外の若年労働者の育成を行っている事業所の割合は 66.3%
  • 若年労働者の育成方法(複数回答)についてみると、正社員、正社員以外ともに「OJT」が最も高く、次いで「OFF-JT」、「自己啓発への支援」、「ジョブローテーション」となっている。

正社員への転換

  • 正社員以外の労働者を正社員へ転換させる制度についてみると、「制度がある」事業所は 59.9%、「制度がない」事業所は 36.9%
  • 「制度がある」事業所の割合を産業別にみると、「複合サービス事業」、「宿泊業、飲食サービス業」「金融業、保険業」の順に高い。

若年労働者の定着

  • 過去1年間に若年労働者がいた事業所のうち、「自己都合により退職した若年労働者がいた」事業所は 40.9%。
  • 産業別では、「生活関連サービス業、娯楽業」、「情報通信業」、「卸売業、小売業」の順に割合が高い。

既出論点|若年労働者の定着のために実施している対策(複数回答)については、若年正社員、正社員以外の若年労働者ともに、上位3つは次のようになっています。

  • 「職場での意思疎通の向上」(それぞれ59.7%、57.7%)
  • 「採用前の詳細な説明・情報提供」(それぞれ58.4%、54.5%)
  • 「本人の能力・適正にあった配置」(それぞれ55.6%、50.0%)

なお、若年正社員、正社員以外の若年労働者ともに、前回(平成30年)調査より、「労働時間の短縮・有給休暇の積極的な取得奨励」を実施する割合が大きく増加しています(ともに上記に次いで4番目)


主な調査結果|個人調査

最新の調査(令和5年調査)結果からの抜粋です。

これまでの就業状況

  • 既出論点|最終学校卒業から1年間に、正社員以外の労働者として勤務した主な理由についてみると、「元々、正社員を希望していなかった」が最も高く、次いで「正社員求人に応募したが採用されなかった」、「自分の希望する条件に合わなかったので正社員として勤務しなかった」の順となっている。
  • 既出論点|在学していない若年労働者が初めて勤務した会社で現在も働いているかどうかについてみると、「勤務している」が 5割を超えている( 55.5%)
  • 始めて勤務した会社をやめた理由(3つまでの複数回答)についてみると、「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった」が最も高く、次いで「人間関係がよくなかった」、「賃金の条件がよくなかった、「仕事が自分に合わない」の順となっている(それぞれ28.5%、26.4%、21.8%、21.7%)

今後の職業生活

  • 若年正社員が、現在の会社から今後「転職したいと思っている」、「転職したいと思っていない」の割合はともに約3割(それぞれ31.2%、30.3%)
  • 転職したいと思っている若年正社員について、転職しようと思う理由(複数回答)をみると、「賃金の条件がよい会社にかわりたい」が 59.9%、「労働時間・休日・休暇の条件がよい会社にかわりたい」が 50.0%と高い。

職業生活の満足度

R5|若年者雇用実態調査|図3
出典|厚生労働省|令和5年 若年者雇用実態調査 図3|
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/4-21c-jyakunenkoyou-r05.html

在学していない若年労働者についての、職業生活の満足度D.I.です。

  • 若年正社員では、「雇用の安定性」が 66.4 ポイントと最も高く、次いで「職場の人間関係、コミュニケーション」が 57.3 ポイント、「仕事の内容・やりがい」が 55.2 ポイントと高い。
  • 正社員以外の若年労働者では、「仕事の内容・やりがい」が 59.9 ポイントと最も高く、次いで「労働時間・休日等の労働条件」が 54.8 ポイント、「職場の人間関係、コミュニケーション」が 54.5 ポイントと高い。反面、「雇用の安定性」(38.1 ポイント)は正社員に比べて満足度は低い。
  • 「賃金」については若年正社員、正社員以外の若年労働者ともに最も満足度は低く、若年正社員でマイナス 5.9 ポイント、正社員以外の若年労働者では 0.6 ポイントとなっている。

転職者実態調査

統計調査社労士試験
R2(最新)R4 出題
H27なし
H18なし

最新の調査は、令和2年(令和3年11月8日公表)です。

令和7年調査の結果が公表(令和8年9月以降に公表予定)された後は、この記事の内容を更新します。


調査の概要

  • 統計法に基づく一般統計調査です。
  • 転職者の就業実態及び意識を受入事業所側、転職者側の両面から把握し、労働力需給のミスマッチの解消を図るための雇用政策に資することを目的としています。
  • 事業所調査と個人調査で構成されています。

主な調査結果

最新の調査(令和2年調査|事業所調査)結果からの抜粋です。

なお、令和2年10月1日現在の状況についての調査結果です。

個人調査は、次回の調査(令和7年調査)の結果が公表されるまで省略します。

転職者がいる事業所の割合

  • 「一般労働者がいる事業所」のうち、「転職者がいる事業所」の割合は33.0%
  • 産業別では、「転職者がいる事業所」の割合は、「運輸業、郵便業」が最も高く、次いで「鉱業、採石業、砂利採取業」、「学術研究、専門・技術サービス」の順に高い(それぞれ44.2%、42.8%、42.1%)
  • 事業所規模別では、事業所規模が大きいほど「転職者がいる事業所」の割合が高い。

転職者の採用状況

転職者がいる事業所における事業所割合(複数回答)です。

  • 既出論点|採用に当たり重視した事項|
    「人員構成の歪みの是正」の割合が最も高く、次いで「既存事業の拡大・強化」、「組織の活性化」の順に高い(それぞれ43.8%、42.0%、29.1%)
  • 既出論点|転職者の募集方法|
    「ハローワーク等の公的機関」の割合が最も高く、次いで「求人サイト・求人情報専門誌、新聞、チラシ等」、「縁故(知人、友人等)」の順に高い(それぞれ57.3%、43.2%、27.6%)
  • 既出論点|転職者の処遇の決定の際に考慮した要素|
    「これまでの経験・能力・知識」の割合が最も高く、次いで「年齢」、「免許・資格」の順に高い(74.7%、45.2%、37.3%)
  • 既出論点|転職者を採用する際の問題|
    「必要な職種に応募してくる人が少ないこと」の割合が最も高く、次いで「応募者の能力評価に関する客観的な基準がないこと」、「採用時の賃金水準や処遇の決め方」の順に高い(67.2%、38.8%、32.3%)

転職者に対する教育訓練の実施状況

  • 既出論点|転職者に対して「教育訓練を実施した」事業者割合は74.5%
  • 産業別では、「学術研究、専門・技術サービス業」が最も高く(89.0%)、次いで「運輸業、郵便業」(87.0%)、「不動産業、物品賃怠業」(86.6%)
  • 事業所規模別では、規模が大きいほど「教育訓練を実施した」事業所割合が高い

今後3年間の転職者の採用予定等

令和2年調査における事業所割合です。

  • 「転職者を採用する予定がある」は53.3%
  • 産業別では、「建設業」が最も高く、次いで「運輸業、郵便業」、「情報通信業」の順に高い(それぞれ69.0%、66.7%、66.4%)
  • 事業所規模別では、規模が大きいほど「転職者を採用する予定がある」事業所割合が高い

「転職者を採用する予定がある」事業所における新規学卒者との優先順については、次のようになっています。

  • 「転職者を優先して採用したい」(35.7%)、「新規学卒者を優先して採用したい」(12.3%)
  • 「転職者を優先して採用したい」を産業別にみると、「運輸業、郵便業」が最も高く、次いで「鉱業、採石業、砂利採取業」、「サービス業(他に分類されないもの)」の順に高い(それぞれ55.6%、51.6%、50.7%)
  • 「新規学卒者を優先して採用したい」を産業別にみると、「複合サービス業」が最も高く、次いで「金融業、保険業」、「電気・ガス・熱供給・水道業」の順に高い(それぞれ35.3%、30.0%、20.3%)
  • 「転職者を優先して採用したい」を事業所規模別でみると、事業所規模が小さいほど高くなる。
  • 「新規学卒者を優先して採用したい」を事業所規模でみると、おおむね事業所規模が大きいほど高くなる。

まとめ

各調査結果の解説は以上です。

繰り返しになりますが、次の調査は令和7年までの社労士試験で出題されていません。

  • 令和6年 就業形態の多様化に関する総合実態調査
  • 令和5年 若年者雇用実態調査

令和8年以降に社労士試験を受ける方は、試験前に復習するかの参考にしてください。

なお、この記事に掲載した調査そのものについては、下記の参考資料等のリンクをご参照ください。


(参考資料等)

厚生労働省ホームページより