社労士試験の独学|労基法|労働時間、休憩、休日

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まえがき

この記事では、労働基準法の4章から次の事項を解説しています。

  • 労働時間(32条)
  • 休憩(34条)
  • 休日(35条)
  • 労働時間および休憩の特例(40条)

社会保険労務士試験の独学、労務管理担当者の勉強などに役立てれば嬉しいです。

当記事は、条文等の趣旨に反するような極端な意訳には注意しておりますが、厳密な表現と異なる部分もございます。

詳しくは免責事項をご確認ください。

労働時間(32条)

1週間40時間を各日に割り振る

労基法における労働時間の規制は「1週間単位の規制を基本として1週間の労働時間を短縮し、1日の労働時間は1週間の労働時間を各日に割り振る場合の上限とする」という考え方に基づいています(昭和63年1月1日基発1号)

労働時間の総枠を設け、その総枠の範囲内で各日の労働時間を割り振るという考え方は、変形労働時間制の概念を理解するためにも役立つでしょう。

これから解説する労基法32条では、労働時間の最長限度を定めています。


概要

この記事では、労基法32条1項および2項における時間を「法定労働時間」として解説します。

加工前の条文はタブを切り替えると確認できます。

労働基準法32条
  • 1週間の法定労働時間
    使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない(労基法32条1項)
  • 1日の法定労働時間
    使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない(労基法32条2項)

第三十二条 

使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。

② 使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。


「1週間」と「1日」は、次のよう解されています(昭和63年1月1日基発1号)

  • 「1週間」とは、日曜日から土曜日までの暦週を意味します。ただし、就業規則等に別段の定めをするならば、その定めによります。
  • 「1日」とは、午前0時から午後12時までの暦日をいいます。
  • 午前0時をまたいで勤務する(継続勤務が2暦日にわたる)場合は、始業時刻の属する日の労働として「1勤務」とカウントします。

罰則

労基法32条の違反には、6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が定められています(労基法119条)


法定労働時間

所定労働時間は法定労働時間を超えてはいけない

労基法32条では、労働時間を「1週間」「1日」に分けて規定していますが、いずれも「法定労働時間」です(昭和63年1月1日基発1号)

法定労働時間はそれぞれ、1週間については40時間、1日については8時間となります。

原則として、上記の時間内で、就業規則等により所定労働時間を定めることになります(例外としては、変形労働時間制またはフレックスタイム制を採用した場合は、法定労働時間が変動します)

なお、法定労働時間を超える労働(いわゆる残業)、法定休日における労働(いわゆる休日労働)は、当然におこなえるものではなく、次の場合に認められています。

  • 災害等による臨時の必要がある場合(労基法33条)
  • 労使協定を締結し労働基準監督署長に届け出る場合(労基法36条)

労働時間の特例(40条)

法定労働時間には、労基法40条により特例が定められています。

具体的には、労基則25条の2 、労基則26条(運輸交通業の予備勤務員について)で定められています。

この記事では労基則25条の2を解説します。


労働基準法40条、労働基準法施行規則25条の2

次のいずれかの「事業」のうち、「常時10人未満」の労働者を使用するものには、週の法定労働時間に特例が適用されます。

  • 商業
  • 映画・演劇業(映画の製作の事業を除く)
  • 保健衛生業
  • 接客娯楽業

特例が適用される事業においては、1週間について「44時間」、1日について「8時間」まで労働させることが可能です。

労働基準法

第四十条 

別表第一第一号から第三号まで、第六号及び第七号に掲げる事業以外の事業で、公衆の不便を避けるために必要なものその他特殊の必要あるものについては、その必要避くべからざる限度で、第三十二条から第三十二条の五までの労働時間及び第三十四条の休憩に関する規定について、厚生労働省令で別段の定めをすることができる。

② 前項の規定による別段の定めは、この法律で定める基準に近いものであって、労働者の健康及び福祉を害しないものでなければならない。

労働基準法施行規則

第二十五条の二

使用者は、法別表第一第八号、第十号(映画の製作の事業を除く。)、第十三号及び第十四号に掲げる事業のうち常時十人未満の労働者を使用するものについては、法第三十二条の規定にかかわらず、一週間について四十四時間、一日について八時間まで労働させることができる。

② 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定(労使委員会における委員の五分の四以上の多数による決議及び労働時間等設定改善法第七条の労働時間等設定改善委員会における委員の五分の四以上の多数による決議を含む。以下この条において同じ。)により、又は就業規則その他これに準ずるものにより、一箇月以内の期間を平均し一週間当たりの労働時間が四十四時間を超えない定めをした場合においては、前項に規定する事業については同項の規定にかかわらず、その定めにより、特定された週において四十四時間又は特定された日において八時間を超えて、労働させることができる。

③ 使用者は、就業規則その他これに準ずるものにより、その労働者に係る始業及び終業の時刻をその労働者の決定にゆだねることとした労働者については、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、次に掲げる事項を定めたときは、その協定で第二号の清算期間として定められた期間を平均し一週間当たりの労働時間が四十四時間を超えない範囲内において、第一項に規定する事業については同項の規定にかかわらず、一週間において四十四時間又は一日において八時間を超えて、労働させることができる。

一 この項の規定による労働時間により労働させることとされる労働者の範囲

二 清算期間(その期間を平均し一週間当たりの労働時間が四十四時間を超えない範囲内において労働させる期間をいい、一箇月以内の期間に限るものとする。次号において同じ。)

三 清算期間における総労働時間

四 標準となる一日の労働時間

五 労働者が労働しなければならない時間帯を定める場合には、その時間帯の開始及び終了の時刻

六 労働者がその選択により労働することができる時間帯に制限を設ける場合には、その時間帯の開始及び終了の時刻

④ 第一項に規定する事業については、法第三十二条の三第一項(同項第二号の清算期間が一箇月を超えるものである場合に限る。)、第三十二条の四又は第三十二条の五の規定により労働者に労働させる場合には、前三項の規定は適用しない。


留意事項としては、「事業の種類」だけでなく、「労働者の人数」も要件となります。

また、特例が適用されても、1日についての法定労働時間は「8時間」のままです。

別表第1(事業の区分)は下のタブに格納しておきます。

1号(製造業) 

物の製造、改造、加工、修理、洗浄、選別、包装、装飾、仕上げ、販売のためにする仕立て、破壊若しくは解体又は材料の変造の事業(電気、ガス又は各種動力の発生、変更若しくは伝導の事業及び水道の事業を含む。)

2号(鉱業)

鉱業、石切り業その他土石又は鉱物採取の事業

3号(建設業)

土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊、解体又はその準備の事業

4号(運輸交通業)

道路、鉄道、軌道、索道、船舶又は航空機による旅客又は貨物の運送の事業

5号(貨物取扱業)

ドック、船舶、岸壁、波止場、停車場又は倉庫における貨物の取扱いの事業

6号(農業、林業) 

土地の耕作若しくは開墾又は植物の栽植、栽培、採取若しくは伐採の事業その他農林の事業

7号(畜産、養蚕、水産業) 

動物の飼育又は水産動植物の採捕若しくは養殖の事業その他の畜産、養蚕又は水産の事業

8号(商業)

物品の販売、配給、保管若しくは賃貸又は理容の事業

9号(金融広告業)

金融、保険、媒介、周旋、集金、案内又は広告の事業

10号(映画、演劇業) 

映画の製作又は映写、演劇その他興行の事業

11号(通信業) 

郵便、信書便又は電気通信の事業

12号(教育研究業) 

教育、研究又は調査の事業

13号(保健衛生業) 

病者又は虚弱者の治療、看護その他保健衛生の事業

14号(接客娯楽業) 

旅館、料理店、飲食店、接客業又は娯楽場の事業

15号(焼却、清掃、と畜業) 

焼却、清掃又はと畜場の事業


変形労働時間制等との関係(労基則25条の2 第2項~4項)

変形労働時間制、フレックスタイム制、労基法40条の関係は、下図に整理しておきます。

制度法40条の適用
1か月単位の変形労働時間制あり
フレックスタイム制(1か月以内)あり
フレックスタイム制(1か月超)なし
1年単位の変形労働時間制なし
1週間単位の非定型的変形労働時間制なし
変形労働時間制等と労働時間の特例(40条)

労基法32条の「労働時間」

使用者は、原則として、法定労働時間を超えて労働させることはできません。

そこで、法定労働時間を超えないためにも「労働時間」の定義が論点となります。

以降、いくつかの解釈を取り上げていきます。

労基法32条の労働時間の定義

判例では次のように示されています(最一小判 平12.3.9 三菱重工業長崎造船所事件)

  • 労基法32条の労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいう。
  • 労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものである。
  • したがって、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんにより決定されるべきものではない。

黙示の指示による労働時間

超過勤務についての指示が明白でない場合に、勤務した時間が「労働時間」に該当するかの解釈です。

  • 明白な超過勤務の指示のみならず、黙示の指示によって法定労働時間を超えて勤務した場合も時間外労働となる(昭和25年9月14日基収2983号)

上記の通達では、使用者の具体的に指示した仕事が客観的にみて正規の勤務時間内では完了できないケースが想定されています。

使用者の実施する教育、研修

使用者が実施する就業時間外の教育訓練(社内研修や勉強会など)についての解釈です。

  • 労働者が使用者の実施する教育に参加することについて、就業規則上の制裁等の不利益取扱による出席の強制がなく、自由参加のものであれば、時間外労働(労働時間)とはならない(昭和26年1月20日基収2875号)

就業を命じられた業務の準備行為

労働者が、就業を命じられた業務の準備行為等(作業服および保護具の着脱等)を事業所内において行うことを使用者から義務付けられ、または余儀なくされたときに、その準備行為等が労働時間にあたるのかが論点です。

判例によると、下記のように解されています(最一小判 平12.3.9 三菱重工業長崎造船所事件)

  • 当該行為を所定労働時間外において行うものとされている場合であっても、特段の事情のない限り、使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができ、当該行為に要した時間は、それが社会通念上必要と認められるものである限り、労働基準法上の労働時間に該当する。

手待時間

トラックに貨物の積込を行うために待機している時間、運転手が2人乗り込んで交代で運転する場合に助手席で仮眠している時間などが「労働時間」に該当するのかが論点です。

  • いわゆる手待時間は、一定の場所に拘束されている以上は労働時間となる(昭和33年10月11日基収6286号)

「手待時間」については休憩(34条)の解説も参照ください。

訪問介護労働者

訪問介護の業務に従事する労働者(訪問介護労働者)の労働時間については、下記の基準が示されています(平成16年8月27日基発0827001号)

ここまでの復習も兼ねて読んでみてください。

  • 移動時間
    • 移動時間とは、事業場、集合場所、利用者宅の相互間を移動する時間をいい、この移動時間については、使用者が、業務に従事するために必要な移動を命じ、当該時間の自由利用が労働者に保障されていないと認められる場合には、労働時間に該当する。
    • 具体的には、使用者の指揮監督の実態により判断する。例えば、訪問介護の業務に従事するため、事業場から利用者宅への移動に要した時間や一つの利用者宅から次の利用者宅への移動時間であって、その時間が通常の移動に要する時間程度である場合には労働時間に該当すると考えられる。
  • 業務報告書等の作成時間
    • 業務報告書等を作成する時間については、その作成が介護保険制度や業務規定等により業務上義務付けられているものであって、使用者の指揮監督に基づき、事業場や利用者宅等において作成している場合には、労働時間に該当する。
  • 待機時間
    • 待機時間については、使用者が急な需要等に対応するため事業場等において待機を命じ、当該時間の自由利用が労働者に保障されていないと認められる場合には、労働時間に該当する。
  • 研修時間
    • 研修時間については、使用者の明示的な指示に基づいて行われる場合は、労働時間である。
    • また、研修を受講しないことに対する就業規則上の制裁等の不利益な取扱いがある場合や研修内容と業務との関連性が強く、それに参加しないことにより、本人の業務に具体的に支障が生ずるなど実質的に使用者から出席の強制があると認められる場合などは、たとえ使用者の明示的な指示がなくとも労働時間に該当する。

安衛法に基づく措置と賃金の支払義務

安衛法に基づいて、健康診断等の実施が義務付けられています。

そこで、健康診断等に要した時間は労働時間となるのか(その時間に対する賃金の支払いは必要なのか)が論点となります。

解説は下のタブに格納しておきます。安衛法を未学習の方は、後で復習するなり調整してください。

一般健康診断(昭和47年9月18日基発602号より)

いわゆる一般健康診断は、一般的な健康の確保を図ることを目的とし業務遂行との関連において行われるものではない。したがって、受診に要した時間の賃金は、当然には事業者の負担すべきものではなく、労使協議して定めるべきである(受診に要した時間は当然に労働時間となるものではない)

ただし、労働者の健康の確保は、事業の円滑な運営の不可欠な条件であると考えると、受診に要した時間の賃金を事業者が支払うことが望ましい。

特殊健康診断(昭和47年9月18日基発602号より)

特定の有害な業務に従事する労働者について行われる健康診断(特殊健康診断)は、事業の遂行にからんで当然実施されなければならない。したがって、原則として所定労働時間に行うこと。

また、特殊健康診断に要する時間は労働時間と解されるので、法定時間外に行われた場合には、割増賃金の支払いが必要である。

安全衛生教育(昭和47年9月18日基発602号より)

安全衛生教育(安衛法59条、60条)は、労働者がその業務に従事する場合の労働災害の防止を図るため、事業者の責任において実施されるものである。したがって、原則として所定労働時間に行うこと。

また、安全衛生教育に要する時間は労働時間と解されるので、法定時間外に行われた場合には、割増賃金の支払いが必要である。

安全・衛生委員会の開催時間(昭和47年9月18日基発602号より)

安全・衛生委員会の会議の開催に要する時間は労働時間と解される。したがって、法定時間外に行われた場合には、割増賃金の支払いが必要である。

安衛法66条の8による面接指導(平成18年2月24日基発0224003号より)

面接指導の費用について(安衛法66条の8)|

法で事業者に面接指導の実施の義務を課している以上、当然、事業者が負担すべきものである。

面接指導を受けるのに要した時間に係る賃金について(安衛法66条の8)|

当然には事業者の負担すべきものではなく、労使協議して定めるべきものであるが、労働者の健康の確保は、事業の円滑な運営の不可欠な条件であることを考えると、面接指導を受けるのに要した時間の賃金を事業者が支払うことが望ましい。

安衛法66条の8の2による面接指導(平成30年12月28日基発1228第16号より)

研究開発業務従事者に対する面接指導については、次のように解されています。

面接指導の費用について(安衛法66条の8の2)|

安衛法において、事業者に当該面接指導の実施の義務を課している以上、当然、事業者が負担する必要がある。

面接指導を受けるのに要した時間について(安衛法66条の8の2)|

また、当該面接指導については、事業者がその事業の遂行に当たり、当然実施されなければならない性格のものであり、所定労働時間内に行われる必要がある。

さらに、当該面接指導を受けるのに要した時間に係る賃金の支払いについては、面接指導の実施に要する時間は労働時間と解されるので、当該面接指導が時間外に行われた場合には、当然、割増賃金を支払う必要がある。

安衛法66条の8の4による面接指導(平成30年12月28日基発1228第16号より)

高度プロフェッショナル制度の対象労働者に対する面接指導については、次のように解されています。

面接指導の費用について(安衛法66条の8の4)|

当該面接指導の費用は、安衛法において、事業者に面接指導の実施の義務を課している以上、当然、事業者が負担する必要がある。

面接指導を受けるのに要した時間について(安衛法66条の8の4)|

また、当該面接指導は、事業の遂行に当たり、当然実施されなければならない性格のものであり、その実施に要する時間は健康管理時間に含まれる。


試験対策として情報を整理しておきます。

健診等の区分賃金の支払義務等
一般健康診断なし(支払うことが望ましい)
特殊健康診断あり
安全衛生教育あり
安全・衛生委員会あり
医師による面接指導(一般)なし(支払うことが望ましい)
医師による面接指導(研究開発)あり
医師による面接指導(高プロ)健康管理時間に含まれる
安衛法と賃金の支払い義務

休憩(34条)

手待時間は休憩時間に含まれない

ここからは「休憩」について解説します。


概要

労働基準法34条

休憩の途中付与(1項)

使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少くとも45分、8時間を超える場合においては少くとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。

休憩の一斉付与(2項)

休憩時間は、一斉に与えなければならない。

ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、この限りでない。

休憩の自由利用(3項)

使用者は、休憩時間を自由に利用させなければならない。

第三十四条 

使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分、八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。

② 前項の休憩時間は、一斉に与えなければならない。ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、この限りでない。

③ 使用者は、第一項の休憩時間を自由に利用させなければならない。


休憩時間と手待時間

  • 「休憩時間」とは労働から離れることを保障されている時間を意味します(昭和22年9月13日発基17号)
  • 単に作業に従事しない「手待時間」は休憩時間に含まれません(前掲通達)

「手待時間」の例としては、いわゆる来客当番が該当します。

なお、来客当番中にお客さんの来店がないため昼食を取る場合でも、休憩時間ではなく労働時間となります(同旨 昭和63年3月14日基発150号)

来客当番は、店舗での待機となるものの、お客さんの来店に伴い接客に移行するため「労働から離れること」を保障されていません。

「労働から離れることを保障されている時間」であれば「休憩時間」ということは、反面「一定の場所に拘束されている以上」は「労働時間」と考えてみてください。

罰則

労基法34条の違反には、6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が定められています(労基法119条)


休憩の途中付与の原則(34条1項)

休憩は労働時間の途中に与えなければならない

労働時間が6時間(ちょうど)までは休憩は必要ありません。

6時間を超えて8時間(ちょうど)までは45分の休憩、8時間を超えると1時間の休憩が必要です。

さらに、休憩は労働時間の途中に与える必要があります。そのため、勤務が終了した後に休憩を与えると労基法34条に違反します。

ちなみに、休憩時間を分割すること(例えば8時間を超える労働時間に対し15分、45分と2回に分けて合計1時間を確保するなど)は違法とはなりません(昭和22年11月27日基発401号)


休憩の一斉付与の原則(34条2項)

休憩は一斉付与が原則です(特例は法40条に定めあり)

とはいえ、実際問題としては、全ての労働者を同時に休憩させるのは困難なケースもあるでしょう。

そこで、労使協定の締結(届出は不要)により、交代制による休憩が可能となっています。

労使協定の締結

労使協定を締結する労働者側の当事者は、当該事業場における「労働者の過半数で組織する労働組合」の有無で次のように分かれます。

  • ある場合 ⇒ その労働組合
  • ない場合 ⇒ 労働者の過半数を代表する者

労使協定では、下記いずれも定める必要があります(労基則15条)

  • 一斉に休憩を与えない労働者の範囲
  • 当該労働者に対する休憩の与え方

休憩の自由利用の原則(34条3項)

通達によると「休憩時間の利用については、事業場の規律保持上必要な制限を加える事は、休憩の目的を損わない限り差し支えない」とあります(昭和22年9月13日発基17号)

また、判例でも「休憩時間の自由利用といってもそれは時間を自由に利用することが認められたものにすぎず、その時間の自由な利用が企業施設内において行われる場合には、使用者の企業施設に対する管理権の合理的な行使として是認される範囲内の適法な規制による制約を免れることはできない」と示されています(最三小判 昭52.12.13 目黒電報電話局事件)

「自由 = なにをやってもOK」 という意味ではありません。食事をしたり「時間を自由に使ってください」の意味です。

休憩時間中の外出の許可制

休憩時間中の外出について所属長の許可制にする取扱いは、事業場内において自由に休息し得る場合には必ずしも違法にならないと解されています(昭和23年10月30日基発1575号)


休憩の特例(40条)

労使協定による「休憩の一斉付与」の例外のほかにも、労基法40条にて休憩の特例が定められています。

休憩の適用除外(労基則32条)

使用者は、次のいずれか該当する者については、法34条の規定にかかわらず、休憩時間を与えないことができます。

  • 運輸交通業(別表第1第4号)、郵便、信書便の事業に使用される労働者のうち列車、気動車、電車、自動車、船舶または航空機の乗務員で長距離にわたり継続して乗務するもの
  • 郵便、信書便または電気通信の事業(別表第1第11号)に掲げる事業に使用される労働者で屋内勤務者30人未満の郵便局において郵便の業務に従事するもの
  • 乗務員で①に該当しないもののうち、その者の従事する業務の性質上、休憩時間を与えることができないと認められる場合において、その勤務中における停車時間、折返しによる待合せ時間その他の時間の合計が法34条1項に規定する休憩時間に相当するもの

なお、自動車運転者については「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」が定められています。

実務上の取扱いは、厚生労働省のウェブサイトなどでご確認ください。

参考|厚生労働省(外部サイトへのリンク)|自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)

一斉付与の特例(労基則31条)

公衆を直接相手にする仕事など、休憩の一斉付与になじまない業務があります。

そのため、次のいずれか該当する事業については、労使協定がなくとも、休憩の一斉付与(労基法34条2項)は適用されません。

  • 運輸交通業
  • 商業
  • 金融広告業
  • 映画・演劇業
  • 通信業
  • 保健衛生業
  • 接客娯楽業
  • 官公署の事業

自由利用の特例(労基則33条)

次のいずれかに該当する労働者については、休憩の自由利用(労基法34条3項)は適用されません。

  • 警察官、消防吏員、常勤の消防団員、准救急隊員
  • 児童自立支援施設に勤務する職員で児童と起居をともにする者
  • 乳児院、児童養護施設、障害児入所施設に勤務する職員で児童と起居をともにする者
  • 児童福祉法に規定する居宅訪問型保育事業に使用される労働者のうち、家庭的保育者として保育を行う者

①~④のように、業務の性質により、休憩時間といえども一定の場所に留まるよう求められる仕事もあるでしょう。

ただし、③については、その員数、収容する児童数および勤務の態様について、所轄労働基準監督署長の許可を受ける必要があります。


休日(35条)

毎週1回の休日が原則で、変型休日制は例外

ここからは「休日」の解説です。


概要

「休日」の与え方については、休憩時間のように一斉に与えることは、法律上要求されていません(昭和23年3月31日基発513号)

労働基準法35条

1項

使用者は、労働者に対して、毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない。

2項(変形休日制)

第1項の規定は、4週間を通じ4日以上の休日を与える使用者については適用しない。

通達によると「第1項が原則であり、第2項は例外であることを強調し徹底させること」とあります(昭和22年9月13日発基17号)

第2項による変形休日制は「どの4週間を区切っても4日の休日を与えなければならない」という趣旨ではありません(昭和23年9月20日基発1384号)

(第2項は制度の見直しが検討されています。現行の規定では、4週間の初日から4日を休日、続く4週間の最後の4日を休日という48連勤も可能となります)

ただし、特定の4週間を明確にするため、就業規則その他これに準ずるものにより「4週間の起算日」を明らかにする必要があります(労基則12条の2第2項)

休日

「休日」とは、原則として暦日(午前0時から午後12時まで)を意味します(昭和23年4月5日基発535号)

例外としては、8時間の3交替制で作業を行う事業場において次の①および②を満たす場合は、継続24時間の休息(ある時間からの24時間)を与えれば差し支えないとされています(昭和63年3月14日基発150号)

  • 番方編成による交替制によることが就業規則等により定められており、制度として運用されている。
  • 各番方の交替が規則的に定められていて、勤務割表等によりその都度設定されるものではない。

このほか、前掲通達により、旅館業における労働者のうち、フロント係、調理係、仲番および客室係に限って認められている特例的な取扱いもあります(この取扱いは留意事項が多いため詳細は省略します)

罰則

労基法35条の違反には、6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が定められています(労基法119条)


法定休日と休日労働

完全週休2日制における法定休日

「完全週休2日制」を採用している企業にとっては、2日の休日うちのいずれか1日が労基法35条で定める休日(法定休日)となります。

(法定休日以外の休日は、一般的には所定休日といわれます)

「休日に関する事項」は就業規則に定める必要がありますが、労基法35条は必ずしも休日を特定することを要求していないと解されています(昭和22年5月5日基発682号)

とはいえ、休日を特定することが法の趣旨に沿うため、就業規則に単に「1週間につき1日」と規定せず、具体的に休日を定めることが望ましいとされています(昭和63年3月14日基発150号)

休日労働の定義

労使の協定が必要な休日労働とは、「週1回の休日」に労働させる場合であり、週1回の休日のほかに使用者が休日と定めた日(いわゆる所定休日)にさせる労働は含まれません(昭和23年12月18日基収3970号)

完全週休2日制を採用している企業においては、法定休日に労働させると「休日労働」となり休日の割増賃金が発生します。

一方で、所定休日に労働させる場合は休日労働に該当しないため、休日の割増賃金は発生しません。

ただし、所定休日に労働させたことによって、法定労働時間(原則週40時間)を超える場合には時間外労働となります。


休日の振替

休日の振替

休日の振替(振替休日)とは、あらかじめ「もともとは休日と定められた日」と「もともとは労働日とされた日」とを入れ替える制度です。

就業規則において休日を特定したとしても、休日を振り替えることができる規定を設け、その規定により「休日を振り替える前に、あらかじめ振り替えるべき日を特定して振り替えた場合」は、当該休日(もともとの休日)は労働日となり、休日に労働させること(休日労働)とはなりません(昭和63年3月14日基発150号)

ただし、休日が振替えられたことにより、1週間の法定労働時間を超えた場合には、超えた時間については(休日労働ではありませんが)時間外労働となります(昭和63年3月14日基発150号)

なお、「休日を振り替える具体的な事由」と「振り替えるべき日」については就業規則等にできる限り規定することが望ましく、また「振り替えるべき日」は振り替えられた日以降できる限り接近していることが望ましいとされています(昭和63年3月14日基発150号)


代休

代休の解説

「振替休日」と混同しやすい概念として「代休」があります。

「代休」は、休日労働をした後(事後)に、「もともとは労働日と定められた日」を休日に代える制度です。

「代休」を与える前に「休日労働」は既に行っているため、休日の割増賃金が必要です。

「休日の振替」と「代休」を整理すると次のようになります。

休日の振替(振替休日)

当初の「休日」が到来する前に あらかじめ(事前に)休日を振り替える制度です。

当初の休日(振替休日により労働日となった日)における労働に対して「休日の割増賃金」の支払いは必要ありません。

代休

当初の「休日」に休日労働をした後(事後)に代わりの休日を与える制度です。

当初の休日(既に休日労働をした日)における労働に対して「休日の割増賃金」の支払いは必要です。


まとめ

ここまで労働基準法の4章から次の事項を解説しました。

  • 労働時間(32条)
  • 休憩(34条)
  • 休日(35条)
  • 労働時間および休憩の特例(40条)

4章では、「変形労働時間制」「時間外及び休日労働」「時間外、休日及び深夜の割増賃金」「年次有給休暇」「労働時間等に関する規定の適用除外」など重要な論点を学習します。

学習範囲は広いため、過去問題集を活用して既出の論点から把握してみてください。

最後に、この記事をまとめて終わりにします。

この記事のまとめ

法定労働時間

労基法32条の「労働時間」とは、労働者が「使用者の指揮命令下に置かれている時間」をいう。

法定労働時間(原則)

  • 1週間の法定労働時間 ⇒ 40時間
  • 1日の法定労働時間 ⇒ 8時間

法定労働時間(特例)

常時10人未満の労働者を使用する次の事業は、1週間の法定労働時間 ⇒ 44時間

  • 商業
  • 映画・演劇業(映画の製作の事業を除く)
  • 保健衛生業
  • 接客娯楽業

休憩

「休憩時間」とは、単に作業に従事しない「手待時間」を含まず、労働から離れることを保障されている時間をいう。

  • 休憩は労働時間の途中に与えなければならない
  • 休憩時間は一斉に与えなければならない
  • 休憩時間は自由に利用させなければならない

6時間を超えて8時間まで ⇒ 45分の休憩

8時間を超える ⇒ 1時間の休憩

休憩の一斉付与は、労使協定(届出不要)により除外が可能

休日

「休日」とは、原則として暦日(午前0時から午後12時まで)をいう。

法定休日

  • 原則 ⇒ 毎週少なくとも1回
  • 変型休日制 ⇒ 4週間を通じ4日以上

休日の振替(振替休日)
⇒ 本来の休日についての労働に対して休日の割増賃金の支払いは必要ない。

代休
⇒ 本来の休日についての労働に対して休日の割増賃金の支払いが必要となる。


(参考資料等)

厚生労働省|厚生労働省法令等データベースサービスより|https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/kensaku/index.html

  • 労働基準法条32条、34条、35条、40条、119条、120条
  • 労働基準法施行規則25条、31条、32条、33条
  • 労働安全衛生法66条の8、66条の8の2
  • 昭和22年9月13日発基17号(労働基準法の施行に関する件)
  • 昭和63年1月1日基発1号(改正労働基準法の施行について)
  • 平成16年8月27日基発0827001号(訪問介護労働者の法定労働条件の確保について)
  • 平成18年2月24日基発0224003号(労働安全衛生法等の一部を改正する法律(労働安全衛生法関係)等の施行について)
  • 平成30年12月28日基発1228第16号(働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律による改正後の労働安全衛生法及びじん肺法関係の解釈等について)

厚生労働省|労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roudouzikan/070614-2.html

厚生労働省|週40時間労働制
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roudouzikan/week/970413.html

厚生労働省|振替休日と代休の違いは何か。
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/faq_kijyunhou_12.html

その他

  • 昭和63年3月14日基発150号(解釈例規)