社労士試験の独学|労一|同一労働同一賃金ガイドライン(派遣労働者)

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まえがき

同一労働同一賃金ガイドライン(平成30年12月28日厚労告430号。以下、ガイドライン)は、次の①~③に関して定められています。

  • パートタイム・有期雇用労働法8条および9条
  • 労働者派遣法30条の3および30条の4
  • 所定労働時間が通常の労働者と同一であり、かつ、事業主と期間の定めのない労働契約を締結している労働者等

当記事では、令和8年10月1日から適用されるガイドラインから②に係る部分を掲載しています。

ちなみに、労働者派遣法30条の3および30条の4を未学習の方は、以降を読み進めると、待遇の差が問題と「なる」「ならない」の区別が分かりにくいかもしれません。先にこちらの記事で概要を学ぶことをお勧めします。

①に係るガイドラインはこちらに掲載しています。

③については、短時間・有期雇用労働法2条3項に規定する「短時間・有期雇用労働者」に該当しないものの、ガイドラインにて留意事項(労働契約法3条2項における「均衡を考慮し」については、ガイドラインを考慮すべき旨)が示されています(このブログでは省略します)

なお、ガイドラインそのもの(原文)は、下記のリンクをご参照ください。

派遣労働者の待遇の考え方

問題と「なる」「ならない」の具体例の前に、ガイドラインの「考え方」を抜粋して掲載しておきます。

  • ガイドラインに原則となる考え方が示されていない待遇についても、不合理と認められる相違の解消等が求められています(ガイドライン「基本的な考え方」より)
  • また、待遇の相違の解消等に当たっては、通常の労働者の労働条件を不利益に変更することなく、短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者の労働条件の改善を図ることが求められています(ガイドライン「基本的な考え方」より)

ちなみに、令和8年10月1日から適用されるガイドラインでは、裁判例を踏まえ、賞与、退職手当、無事故手当、家族手当、住宅手当、病気休職・休暇、夏季冬季休暇及び褒賞に関する記載が追加されています(改正の経緯や趣旨などに関するQ&Aより)


決定基準・ルールの相違がある場合

(ガイドライン「基本的な考え方」より)

通常の労働者と短時間・有期雇用労働者との間に基本給、賞与、各種手当等の賃金その他の待遇に相違がある場合において、その要因として通常の労働者と短時間・有期雇用労働者の待遇の決定基準・ルールの相違があるときであっても、当該待遇の相違は短時間・有期雇用労働法第8条の適用を受けるものであるが、その相違については、「通常の労働者と短時間・有期雇用労働者との間で将来の役割期待が異なるため、待遇の決定基準・ルールが異なる」等の主観的又は抽象的な説明では足りず、待遇の決定基準・ルールの相違は、短時間・有期雇用労働法第8条の規定に基づき、客観的及び具体的な実態に照らして、不合理と認められるものであってはならない。

派遣先に雇用される通常の労働者と派遣労働者との間の待遇の相違の要因として派遣先に雇用される通常の労働者と派遣労働者の待遇の決定基準・ルールの相違があるときも同様である。


注記

「待遇について、その他の事情を考慮して、不合理な相違を設けてはならない」の解釈

(ガイドライン「第4 派遣労働者 (注)1」より文章を一部加工して掲載)

労働者派遣法30条の3第1項及び30条の4第1項4号における「その他の事情」については、職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲に関連する事情に限定されるものではない。職務の成果、能力、経験、合理的な労使の慣行、派遣元事業主と労働組合や過半数代表者等との間の交渉といった労使交渉の経緯や結果等の諸事情が「その他の事情」として想定されるものであり、考慮すべき「その他の事情」があるときに考慮すべきものである。

また、派遣元事業主が同法31条の2第4項の規定に基づき比較対象労働者(同法26条8項)と派遣労働者との間の待遇の相違の内容及び理由について十分な説明を行わなかったと認められる場合や、派遣元事業主が待遇の体系に係る議論において派遣労働者の意向を十分に考慮せず一方的に派遣労働者の待遇を決定した場合には、当該事実も同法30条の3第1項及び30条の4第1項4号における「その他の事情」に含まれ、通常の労働者と派遣労働者との間の待遇の相違が不合理と認められることを基礎付ける事情として考慮されうる。

派遣先における通常の労働者を基準とした人材確保を目的として、待遇を決定する場合

(ガイドライン「第4 派遣労働者 (注)2」より文章を一部加工して掲載)

「派遣先に雇用される通常の労働者としての職務を遂行しうる人材の確保及びその定着を図る」等の目的で待遇を行う場合の取扱い

派遣先に雇用される通常の労働者と派遣労働者との間に基本給、賞与、各種手当等の待遇(協定対象派遣労働者にあっては労働者派遣法40条2項に規定する教育訓練及び同条3項に規定する福利厚生施設に限る。)に相違がある場合において、その要因として当該待遇を行う目的に「派遣先に雇用される通常の労働者としての職務を遂行しうる人材の確保及びその定着を図る」等の目的があったとしても、当該待遇の相違が不合理と認められるか否かは、派遣先に雇用される通常の労働者と派遣労働者の職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の他の性質及び当該待遇を行う他の目的にも照らして適切と認められるものの客観的及び具体的な実態に照らして判断されるものである。

そのため、「派遣先に雇用される通常の労働者としての職務を遂行しうる人材の確保及びその定着を図る」等の目的があることのみをもって直ちに当該待遇の相違が不合理ではないと当然に認められるものではない。

また、派遣元事業主に雇用される通常の労働者(派遣労働者を除く。)と協定対象派遣労働者との間に待遇(賃金を除く。)の相違がある場合も、同様である。


派遣労働者(均等均衡方式)

派遣労働者(協定対象派遣労働者を除く。以下、均等均衡方式において同じ。)の待遇に関して、原則となる考え方及び具体例並びに留意すべき事項は次のとおりです。

(以降は、「補足」と示して追記した部分を除いて、ガイドラインの原文のままです)


基本給

① 基本給であって、労働者の能力又は経験に応じて支給するもの

基本給であって、派遣先及び派遣元事業主が、労働者の能力又は経験に応じて支給するものについて、派遣元事業主は、派遣先に雇用される通常の労働者と同一の能力又は経験を有する派遣労働者には、能力又は経験に応じた部分につき、派遣先に雇用される通常の労働者と同一の基本給を支給しなければならない。また、能力又は経験に一定の相違がある場合においては、その相違に応じた基本給を支給しなければならない。

(問題とならない例)

  • 基本給について、労働者の能力又は経験に応じて支給している派遣先であるA社において、ある能力の向上のための特殊なキャリアコースを設定している。A社の通常の労働者であるXは、このキャリアコースを選択し、その結果としてその能力を習得したため、その能力に応じた基本給をXに支給している。これに対し、派遣元事業主であるB社からA社に派遣されている派遣労働者であるYは、その能力を習得していないため、B社はその能力に応じた基本給をYには支給していない。
  • 派遣先であるA社においては、定期的に職務の内容及び勤務地の変更がある通常の労働者の総合職であるXは、管理職となるためのキャリアコースの一環として、新卒採用後の数年間、店舗等において、派遣元事業主であるB社からA社に派遣されている派遣労働者であってA社で就業する間は職務の内容及び配置に変更のないYの助言を受けながら、Yと同様の定型的な業務に従事している。A社がXにキャリアコースの一環として当該定型的な業務に従事させていることを踏まえ、B社はYに対し、当該定型的な業務における能力又は経験はXを上回っているものの、Xほど基本給を高く支給していない。
  • 派遣先であるA社においては、かつては有期雇用労働者であったが、能力又は経験が一定の水準を満たしたため定期的に職務の内容及び勤務地に変更がある通常の労働者として登用されたXと、派遣元事業主であるB社からA社に派遣されている派遣労働者であるYとが同一の職場で同一の業務に従事している。B社は、A社で就業する間は職務の内容及び勤務地に変更がないことを理由に、Yに対して、Xほど基本給を高く支給していない。
  • 派遣先であるA社に雇用される通常の労働者であるXと、派遣元事業主であるB社からA社に派遣されている派遣労働者であるYとが同一の能力又は経験を有しているところ、B社は、A社がXに適用するのと同じ基準をYに適用し、就業の時間帯や就業日が土日祝日か否か等の違いにより、A社がXに支給する時間当たりの基本給との間に差を設けている。

(問題となる例)

  • 派遣先であるA社及び派遣元事業主であるB社においては、基本給について、労働者の能力又は経験に応じて支給しているところ、B社は、A社に派遣されている派遣労働者であるYに対し、A社に雇用される通常の労働者であるXに比べて経験が少ないことを理由として、A社がXに支給するほど基本給を高く支給していないが、Xのこれまでの経験はXの現在の業務に関連性を持たない。

② 基本給であって、労働者の業績又は成果に応じて支給するもの

基本給であって、派遣先及び派遣元事業主が、労働者の業績又は成果に応じて支給するものについて、派遣元事業主は、派遣先に雇用される通常の労働者と同一の業績又は成果を有する派遣労働者には、業績又は成果に応じた部分につき、派遣先に雇用される通常の労働者と同一の基本給を支給しなければならない。また、業績又は成果に一定の相違がある場合においては、その相違に応じた基本給を支給しなければならない。

なお、基本給とは別に、労働者の業績又は成果に応じた手当を支給する場合も同様である。

(問題とならない例)

  • 派遣先であるA社及び派遣元事業主であるB社においては、基本給の一部について、労働者の業績又は成果に応じて支給しているところ、B社は、A社に派遣されている派遣労働者であって、所定労働時間がA社に雇用される通常の労働者の半分であるYに対し、その販売実績がA社に雇用される通常の労働者に設定されている販売目標の半分の数値に達した場合には、A社に雇用される通常の労働者が販売目標を達成した場合の半分を支給している。
  • 派遣先であるA社においては、通常の労働者であるXは、派遣元事業主であるB社からA社に派遣されている派遣労働者であるYと同様の業務に従事しているが、XはA社における生産効率及び品質の目標値に対する責任を負っており、当該目標値を達成していない場合、待遇上の不利益を課されている。その一方で、Yは、A社における生産効率及び品質の目標値に対する責任を負っておらず、当該目標値を達成していない場合にも、待遇上の不利益を課されていない。B社はYに対し、待遇上の不利益を課していないこととの見合いに応じて、A社がXに支給するほど基本給を高く支給していない。

(問題となる例)

  • 派遣先であるA社及び派遣元事業主であるB社においては、基本給の一部について、労働者の業績又は成果に応じて支給しているところ、B社は、A社に派遣されている派遣労働者であって、所定労働時間がA社に雇用される通常の労働者の半分であるYに対し、当該通常の労働者が販売目標を達成した場合にA社が行っている支給を、Yについて当該通常の労働者と同一の販売目標を設定し、それを達成しない場合には行っていない。

(補足)

問題となる例では、派遣労働者の所定労働時間が短いにもかかわらず、派遣先の通常の労働者と同一の販売目標が設定されています。

派遣労働者に対しては、同一の販売目標をより短い労働時間で達成することを要求しているため、フェアな取扱いとはいえないでしょう。

(問題とならない例は、販売目標が所定労働時間に応じて設定されています)

③ 基本給であって、労働者の勤続年数(派遣労働者にあっては、当該派遣先における就業期間。以下この③において同じ。)に応じて支給するもの

基本給であって、派遣先及び派遣元事業主が、労働者の勤続年数に応じて支給するものについて、派遣元事業主は、派遣先に雇用される通常の労働者と同一の勤続年数である派遣労働者には、勤続年数に応じた部分につき、派遣先に雇用される通常の労働者と同一の基本給を支給しなければならない。また、勤続年数に一定の相違がある場合においては、その相違に応じた基本給を支給しなければならない。

(問題とならない例)

  • 派遣先であるA社及び派遣元事業主であるB社は、基本給について、労働者の勤続年数に応じて支給しているところ、B社は、A社に派遣している期間の定めのある労働者派遣契約を更新している派遣労働者であるYに対し、A社への労働者派遣の開始時から通算して就業期間を評価した上で基本給を支給している。

(問題となる例)

  • 派遣先であるA社及び派遣元事業主であるB社は、基本給について、労働者の勤続年数に応じて支給しているところ、B社は、A社に派遣している期間の定めのある労働者派遣契約を更新している派遣労働者であるYに対し、YのA社への労働者派遣の開始時から通算して就業期間を評価せず、その時点の労働者派遣契約に基づく派遣就業の期間のみにより就業期間を評価した上で基本給を支給している。

④ 昇給であって、労働者の勤続(派遣労働者にあっては、当該派遣先における派遣就業の継続。以下この④において同じ。)による能力の向上に応じて行うもの

昇給であって、派遣先及び派遣元事業主が、労働者の勤続による能力の向上に応じて行うものについて、派遣元事業主は、派遣先に雇用される通常の労働者と同様に勤続により能力が向上した派遣労働者には、勤続による能力の向上に応じた部分につき、派遣先に雇用される通常の労働者と同一の昇給を行わなければならない。また、勤続による能力の向上に一定の相違がある場合においては、その相違に応じた昇給を行わなければならない。


賞与

賞与であって、派遣先及び派遣元事業主が、会社(派遣労働者にあっては、派遣先。以下、賞与において同じ。)の業績等への労働者の貢献に応じて支給するものについて、派遣元事業主は、派遣先に雇用される通常の労働者と同一の貢献である派遣労働者には、貢献に応じた部分につき、派遣先に雇用される通常の労働者と同一の賞与を支給しなければならない。また、貢献に一定の相違がある場合においては、その相違に応じた賞与を支給しなければならない。

(問題とならない例)

  • 派遣先であるA社及び派遣元事業主であるB社においては、賞与について、会社の業績等への労働者の貢献に応じて支給しているところ、B社は、A社に派遣されている派遣労働者であって、A社に雇用される通常の労働者であるXと同一のA社の業績等への貢献があるYに対して、A社がXに支給するのと同一の賞与を支給している。
  • 派遣先であるA社においては、通常の労働者であるXは、A社における生産効率及び品質の目標値に対する責任を負っており、当該目標値を達成していない場合、待遇上の不利益を課されている。その一方で、A社に雇用される通常の労働者であるZや、派遣元事業主であるB社からA社に派遣されている派遣労働者であるYは、A社における生産効率及び品質の目標値に対する責任を負っておらず、当該目標値を達成していない場合にも、待遇上の不利益を課されていない。A社はXに対して賞与を支給しているが、Zに対しては、待遇上の不利益を課していないこととの見合いの範囲内で賞与を支給していないところ、B社はYに対して、待遇上の不利益を課していないこととの見合いの範囲内で賞与を支給していない。

(問題となる例)

  • 派遣先であるA社及び派遣元事業主であるB社においては、賞与について、会社の業績等への労働者の貢献に応じて支給しているところ、B社は、A社に派遣されている派遣労働者であって、A社に雇用される通常の労働者であるXと同一のA社の業績等への貢献があるYに対して、A社がXに支給するのと同一の賞与を支給していない。
  • 賞与について、会社の業績等への労働者の貢献に応じて支給している派遣先であるA社においては、通常の労働者の全員に職務の内容や会社の業績等への貢献等にかかわらず何らかの賞与を支給しているが、派遣元事業主であるB社においては、A社に派遣されている派遣労働者であるYに賞与を支給していない。

(注) (補足:当該注記は新設です)

賞与については、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的として、労務の対価の後払い、功労報償、生活費の補助、労働者の労働意欲の向上等の様々な性質及び目的が含まれうるものであるが、派遣先に雇用される通常の労働者と同様に派遣労働者にも当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的が妥当するにもかかわらず、派遣労働者に対し、派遣先に雇用される通常の労働者との間の職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものの相違に応じた均衡のとれた内容の賞与を支給せず、かつ、その見合いとして、労使交渉を経て、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的が妥当しない他の派遣労働者に比べ基本給を高く支給している等の事情もない場合、当該賞与の相違は不合理と認められるものに当たりうることに留意すべきである。


退職手当

(補足:退職手当は新設です)

退職手当については、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的として、労務の対価の後払い、功労報償等の様々な性質及び目的が含まれうるものであるが、派遣先に雇用される通常の労働者と同様に派遣労働者にも当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的が妥当するにもかかわらず、派遣労働者に対し、派遣先に雇用される通常の労働者との間の職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものの相違に応じた均衡のとれた内容の退職手当を支給せず、かつ、その見合いとして、労使交渉を経て、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的が妥当しない他の派遣労働者に比べ基本給を高く支給している等の事情もない場合、当該退職手当の相違は不合理と認められるものに当たりうることに留意すべきである。


各種手当(退職手当を除く。)

① 役職手当であって、役職の内容に対して支給するもの

役職手当であって、派遣先及び派遣元事業主が、役職の内容に対して支給するものについて、派遣元事業主は、派遣先に雇用される通常の労働者と同一の内容の役職に就く派遣労働者には、派遣先に雇用される通常の労働者と同一の役職手当を支給しなければならない。また、役職の内容に一定の相違がある場合においては、その相違に応じた役職手当を支給しなければならない。

(問題とならない例)

  • 派遣先であるA社及び派遣元事業主であるB社においては、役職手当について、役職の内容に対して支給しているところ、B社は、A社に派遣されている派遣労働者であって、A社に雇用される通常の労働者であるXの役職と同一の役職名(例えば、店長)であって同一の内容(例えば、営業時間中の店舗の適切な運営)の役職に就くYに対し、A社がXに支給するのと同一の役職手当を支給している。
  • 派遣先であるA社及び派遣元事業主であるB社においては、役職手当について、役職の内容に対して支給しているところ、B社は、A社に派遣されている派遣労働者であって、A社に雇用される通常の労働者であるXの役職と同一の役職名であって同一の内容の役職に就くYに、所定労働時間に比例した役職手当(例えば、所定労働時間がA社に雇用される通常の労働者の半分の派遣労働者にあっては、当該通常の労働者の半分の役職手当)を支給している。

(問題となる例)

  • 派遣先であるA社及び派遣元事業主であるB社においては、役職手当について、役職の内容に対して支給しているところ、B社は、A社に派遣されている派遣労働者であって、A社に雇用される通常の労働者であるXの役職と同一の役職名であって同一の内容の役職に就くYに対し、A社がXに支給するのに比べ役職手当を低く支給している。

② 業務の危険度又は作業環境に応じて支給される特殊作業手当

派遣元事業主は、派遣先に雇用される通常の労働者と同一の危険度又は作業環境の業務に従事する派遣労働者には、派遣先に雇用される通常の労働者と同一の特殊作業手当を支給しなければならない。

③ 交替制勤務等の勤務形態に応じて支給される特殊勤務手当

派遣元事業主は、派遣先に雇用される通常の労働者と同一の勤務形態で業務に従事する派遣労働者には、派遣先に雇用される通常の労働者と同一の特殊勤務手当を支給しなければならない。

(問題とならない例)

  • 派遣先であるA社においては、就業する時間帯又は曜日を特定して就業する通常の労働者には労働者の採用が難しい早朝若しくは深夜又は土日祝日に就業する場合に時給に上乗せして特殊勤務手当を支給するが、就業する時間帯及び曜日を特定していない通常の労働者には労働者の採用が難しい時間帯又は曜日に勤務する場合であっても時給に上乗せして特殊勤務手当を支給していない。派遣元事業主であるB社は、A社に派遣されている派遣労働者であって、就業する時間帯及び曜日を特定して就業していないYに対し、採用が難しい時間帯や曜日に勤務する場合であっても時給に上乗せして特殊勤務手当を支給していない。
  • 派遣先であるA社においては、通常の労働者であるXについては、入社に当たり、交替制勤務に従事することは必ずしも確定しておらず、業務の繁閑等生産の都合に応じて通常勤務又は交替制勤務のいずれにも従事する可能性があり、交替制勤務に従事した場合に限り特殊勤務手当が支給されている。派遣元事業主であるB社からA社に派遣されている派遣労働者であるYについては、A社への労働者派遣に当たり、派遣先で交替制勤務に従事することを明確にし、かつ、基本給にA社において通常の労働者に支給される特殊勤務手当と同一の交替制勤務の負荷分が盛り込まれている。A社には、職務の内容がYと同一であり通常勤務のみに従事することが予定され、実際に通常勤務のみに従事する労働者であるZがいるところ、B社はYに対し、A社がZに対して支給するのに比べ基本給を高く支給している。A社はXに対して特殊勤務手当を支給しているが、B社はYに対して特殊勤務手当を支給していない。

④ 精皆勤手当

派遣元事業主は、派遣先に雇用される通常の労働者と業務の内容が同一の派遣労働者には、派遣先に雇用される通常の労働者と同一の精皆勤手当を支給しなければならない。

(問題とならない例)

  • 派遣先であるA社においては、考課上、欠勤についてマイナス査定を行い、かつ、それが待遇に反映される通常の労働者であるXには、一定の日数以上出勤した場合に精皆勤手当を支給しているが、派遣元事業主であるB社は、B社からA社に派遣されている派遣労働者であって、考課上、欠勤についてマイナス査定を行っていないYには、マイナス査定を行っていないこととの見合いの範囲内で、精皆勤手当を支給していない。

⑤ 時間外労働に対して支給される手当

派遣元事業主は、派遣先に雇用される通常の労働者の所定労働時間を超えて、当該通常の労働者と同一の時間外労働を行った派遣労働者には、当該通常の労働者の所定労働時間を超えた時間につき、派遣先に雇用される通常の労働者と同一の割増率等で、時間外労働に対して支給される手当を支給しなければならない。

⑥ 深夜労働又は休日労働に対して支給される手当

派遣元事業主は、派遣先に雇用される通常の労働者と同一の深夜労働又は休日労働を行った派遣労働者には、派遣先に雇用される通常の労働者と同一の割増率等で、深夜労働又は休日労働に対して支給される手当を支給しなければならない。

(問題とならない例)

  • 派遣元事業主であるB社においては、派遣先であるA社に派遣されている派遣労働者であって、A社に雇用される通常の労働者であるXと時間数及び職務の内容が同一の深夜労働又は休日労働を行ったYに対し、A社がXに支給するのと同一の深夜労働又は休日労働に対して支給される手当を支給している。

(問題となる例)

  • 派遣元事業主であるB社においては、派遣先であるA社に派遣されている派遣労働者であって、A社に雇用される通常の労働者であるXと時間数及び職務の内容が同一の深夜労働又は休日労働を行ったYに対し、Yが派遣労働者であることから、深夜労働又は休日労働に対して支給される手当の単価を当該通常の労働者より低く設定している。

⑦ 無事故手当

(補足:無事故手当は新設です)

派遣先に雇用される通常の労働者と業務の内容が同一の派遣労働者には、派遣先に雇用される通常の労働者と同一の無事故手当を支給しなければならない。

⑧ 通勤手当及び出張旅費

派遣元事業主は、派遣労働者にも、派遣先に雇用される通常の労働者と同一の通勤手当及び出張旅費を支給しなければならない。

(問題とならない例)

  • 派遣先であるA社においては、本社の採用である労働者に対し、交通費実費の全額に相当する通勤手当を支給しているが、派遣元事業主であるB社は、それぞれの店舗の採用である労働者については、当該店舗の近隣から通うことができる交通費に相当する額に通勤手当の上限を設定して当該上限の額の範囲内で通勤手当を支給しているところ、B社の店舗採用であってA社に派遣される派遣労働者であるYが、A社への労働者派遣の開始後、本人の都合で通勤手当の上限の額では通うことができないところへ転居してなお通い続けている場合には、当該上限の額の範囲内で通勤手当を支給している。
  • 派遣先であるA社においては、通勤手当について、所定労働日数が多い(例えば、週4日以上)通常の労働者に、月額の定期券の金額に相当する額を支給しているが、派遣元事業主であるB社においては、A社に派遣されている派遣労働者であって、所定労働日数が少ない(例えば、週3日以下)又は出勤日数が変動する派遣労働者に、日額の交通費に相当する額を支給している。

⑨ 家族手当

(補足:家族手当は新設です)

労働者派遣契約の更新を繰り返している等、相応に継続的な勤務が見込まれる派遣労働者には、派遣先に雇用される通常の労働者と同一の家族手当を支給しなければならない。

(問題とならない例)

  • 派遣先であるA社においては、派遣先に雇用される通常の労働者であるXに対しては家族手当を支給しているが、派遣元事業主であるB社においては、A社に派遣されている派遣労働者であって、労働者派遣契約の更新を繰り返していない等、相応に継続的な勤務が見込まれないものであるYに対しては、家族手当を支給していない。

(問題となる例)

  • 派遣先であるA社においては、派遣先に雇用される通常の労働者であるXに対しては家族手当を支給しているが、派遣元事業主であるB社においては、A社に派遣されている派遣労働者であって、労働者派遣契約の更新を繰り返している等、相応に継続的な勤務が見込まれるものであるYに対しては、家族手当を支給していない。

(注) 配偶者の収入要件があるいわゆる「配偶者手当」については、特に女性の短時間労働者の就業調整の要因となっていると指摘されていることから、各事業主において、労使の話合いによって、働き方に中立的な制度となるよう見直しを進めることが望まれる。

⑩ 住宅手当であって、転居を伴う配置の変更の有無に応じて支給されるもの

(補足:転居を伴う配置の変更の有無に応じて支給される住宅手当は新設です)

派遣元事業主は、住宅手当であって、転居を伴う配置の変更の有無に応じて支給されるものについて、派遣先に雇用される通常の労働者と同一の転居を伴う配置の変更がある派遣労働者には、派遣先に雇用される通常の労働者と同一の住宅手当を支給しなければならない。

(問題とならない例)

  • 派遣先であるA社においては、転居を伴う配置の変更が見込まれる通常の労働者であるXには住宅手当を支給している。一方で、派遣元事業主であるB社においては、派遣労働者であるYには転居を伴う配置の変更が見込まれないため、住宅手当を支給していない。

(問題となる例)

  • 派遣先であるA社においては、転居を伴う配置の変更が見込まれることを理由として、通常の労働者であるXに対し、住宅手当を支給しており、当該変更が見込まれないことを理由として、派遣元事業主であるB社においては、派遣労働者であるYには住宅手当を支給していないが、A社では実態として通常の労働者に対しても、転居を伴う配置の変更を命じていない。

(注) 住宅手当であって、転居を伴う配置の変更の有無にかかわらず支給されるものについても、職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならないことに留意すべきである。

⑪ 労働時間の途中に食事のための休憩時間がある労働者に対する食費の負担補助として支給される食事手当

派遣元事業主は、派遣労働者にも、派遣先に雇用される通常の労働者と同一の食事手当を支給しなければならない。

(問題とならない例)

  • 派遣先であるA社においては、その労働時間の途中に昼食のための休憩時間がある通常の労働者であるXに食事手当を支給している。その一方で、派遣元事業主であるB社においては、A社に派遣されている派遣労働者であって、その労働時間の途中に昼食のための休憩時間がない(例えば、午後2時から午後5時までの勤務)派遣労働者であるYに支給していない。

(問題となる例)

  • 派遣先であるA社においては、通常の労働者であるXに食事手当を支給している。派遣元事業主であるB社においては、A社に派遣されている派遣労働者であるYにA社がXに支給するのに比べ食事手当を低く支給している。

⑫ 単身赴任手当

派遣元事業主は、派遣先に雇用される通常の労働者と同一の支給要件を満たす派遣労働者には、派遣先に雇用される通常の労働者と同一の単身赴任手当を支給しなければならない。

⑬ 特定の地域で働く労働者に対する補償として支給される地域手当

派遣元事業主は、派遣先に雇用される通常の労働者と同一の地域で働く派遣労働者には、派遣先に雇用される通常の労働者と同一の地域手当を支給しなければならない。

(問題とならない例)

  • 派遣先であるA社においては、通常の労働者であるXについて、全国一律の基本給の体系を適用し、転勤があることから、地域の物価等を勘案した地域手当を支給している。一方で、派遣元事業主であるB社においては、A社に派遣されている派遣労働者であるYについては、A社に派遣されている間は勤務地の変更がなく、その派遣先の所在する地域で基本給を設定しており、その中で地域の物価が基本給に盛り込まれているため、地域手当を支給していない。

(問題となる例)

  • 派遣先であるA社に雇用される通常の労働者であるXは、その地域で採用され転勤はないにもかかわらず、A社はXに対し地域手当を支給している。一方、派遣元事業主であるB社からA社に派遣されている派遣労働者であるYは、A社に派遣されている間転勤はなく、B社はYに対し地域手当を支給していない。

福利厚生

① 福利厚生施設

(補足:なお書における「利用条件」についての記述が追加されています)

派遣先は、派遣先に雇用される通常の労働者と同一の事業所で働く派遣労働者には、派遣先に雇用される通常の労働者と同一の給食施設、休憩室及び更衣室の利用を認めなければならない。

なお、派遣元事業主についても、労働者派遣法第30条の3の規定に基づく義務を免れるものではなく、福利厚生施設の利用料金・割引率等の利用条件についても労働者派遣法第30条の3第1項の適用を受けるものであり、派遣先に雇用される通常の労働者と派遣労働者の職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならない。

② 転勤者用社宅

派遣元事業主は、派遣先に雇用される通常の労働者と同一の支給要件(例えば、転勤の有無、扶養家族の有無、住宅の賃貸又は収入の額)を満たす派遣労働者には、派遣先に雇用される通常の労働者と同一の転勤者用社宅の利用を認めなければならない。

③慶弔休暇並びに健康診断に伴う勤務免除及び有給の保障

健康診断を勤務時間中に受診する場合の当該受診時間に係る給与の保障を「有給の保障」という(以下この③及び労使協定方式の福利厚生の③において同じ。)

派遣元事業主は、派遣労働者にも、派遣先に雇用される通常の労働者と同一の慶弔休暇の付与並びに健康診断に伴う勤務免除及び有給の保障を行わなければならない。

(問題とならない例)

  • 派遣元事業主であるB社においては、派遣先であるA社に派遣されている派遣労働者であって、A社に雇用される通常の労働者であるXと同様の出勤日が設定されているYに対しては、A社がXに付与するのと同様に慶弔休暇を付与しているが、A社に派遣されている派遣労働者であって、週2日の勤務であるWに対しては、勤務日の振替での対応を基本としつつ、振替が困難な場合のみ慶弔休暇を付与している。

④ 病気休職(療養への専念を目的として付与する病気休暇を含む。以下この④において同じ。)

(補足:「さらに~」の記述、「問題となる例」及び「注記」が追加されています)

派遣元事業主は、派遣労働者(期間の定めのある労働者派遣に係る派遣労働者である場合を除く。)には、派遣先に雇用される通常の労働者と同一の病気休職の取得を認めなければならない。また、期間の定めのある労働者派遣に係る派遣労働者にも、当該派遣先における派遣就業が終了するまでの期間を踏まえて、病気休職の取得を認めなければならない。

さらに、派遣先に雇用される通常の労働者に病気休職期間に係る給与の保障が行われている場合には、労働者派遣契約の更新を繰り返している等、相応に継続的な勤務が見込まれる派遣労働者にも、派遣先に雇用される通常の労働者と同一の給与の保障を行わなければならない。

(問題とならない例)

  • 派遣元事業主であるB社においては、当該派遣先における派遣就業期間が1年である派遣労働者であるYについて、病気休職の期間は当該派遣就業の期間が終了する日までとしている。

(問題となる例)

  • 派遣先であるA社においては、通常の労働者であるXに対しては、病気休職期間に係る給与の保障を行っているが、派遣元事業主であるB社においては、A社に派遣されている派遣労働者であって、労働者派遣契約の更新を繰り返している等、相応に継続的な勤務が見込まれるYに対しては、病気休職期間に係る給与の保障を行っていない。

(注) 短時間労働者(有期雇用労働者である場合を除く。)である派遣労働者についても、短時間・有期雇用労働法の適用を受けるものであり、派遣就業期間の終了後も、派遣元事業主の雇用する通常の労働者と同一の病気休職の取得を認めなければならない。

また、有期雇用労働者である派遣労働者についても、短時間・有期雇用労働法の適用を受けるものであり、派遣就業期間の終了後も、労働契約が終了するまでの期間を踏まえて、派遣元事業主の雇用する通常の労働者と同一の病気休職の取得を認めなければならない。

さらに、派遣元事業主の雇用する通常の労働者に病気休職期間に係る給与の保障を行う場合には、労働契約の更新を繰り返している等、相応に継続的な勤務が見込まれる短時間・有期雇用労働者である派遣労働者にも、派遣元事業主の雇用する通常の労働者と同一の給与の保障を行わなければならない。

⑤ 夏季冬季休暇

(補足:夏季冬季休暇は新設です)

派遣元事業主は、派遣労働者にも、派遣先に雇用される通常の労働者と同一の夏季冬季休暇を付与しなければならない。

(問題となる例)

  • 派遣元事業主であるB社においては、繁忙期に限定された短期間の派遣就業のために派遣されていない派遣労働者であるYに対し、派遣先であるA社に雇用される通常の労働者と同一の夏季冬季休暇を付与していない。

⑥ 法定外の有給の休暇その他の法定外の休暇(慶弔休暇、療養への専念を目的として付与する病気休暇及び夏季冬季休暇を除く。)であって、勤続期間(派遣労働者にあっては、当該派遣先における就業期間。以下この⑥において同じ。)に応じて取得を認めているもの

法定外の有給の休暇その他の法定外の休暇(慶弔休暇、療養への専念を目的として付与する病気休暇及び夏季冬季休暇を除く。)であって、派遣先及び派遣元事業主が、勤続期間に応じて取得を認めているものについて、派遣元事業主は、当該派遣先に雇用される通常の労働者と同一の勤続期間である派遣労働者には、派遣先に雇用される通常の労働者と同一の法定外の有給の休暇その他の法定外の休暇(慶弔休暇、療養への専念を目的として付与する病気休暇及び夏季冬季休暇を除く。)を付与しなければならない。

なお、当該派遣先において期間の定めのある労働者派遣契約を更新している場合には、当初の派遣就業の開始時から通算して就業期間を評価することを要する。

(問題とならない例)

  • 派遣先であるA社においては、長期勤続者を対象とするリフレッシュ休暇について、業務に従事した時間全体を通じた貢献に対する報償という趣旨で付与していることから、通常の労働者であるXに対し、勤続10年で3日、20年で5日、30年で7日の休暇を付与している。派遣元事業主であるB社は、A社に派遣されている派遣労働者であるYに対し、所定労働時間に比例した日数を付与している。

⑦ 褒賞であって、一定の期間勤続した労働者に付与するもの

(補足:一定の期間勤続した労働者に付与する褒賞は新設です)

褒賞であって、一定の期間勤続した労働者に付与するもの

褒賞であって、一定の期間勤続した労働者に付与するものについて、派遣元事業主は、派遣先に雇用される通常の労働者と同一の期間勤続(派遣労働者にあっては、当該派遣先における派遣就業の継続。)した派遣労働者には、派遣先に雇用される通常の労働者と同一の褒賞を付与しなければならない。


その他

① 教育訓練であって、現在の職務の遂行に必要な技能又は知識を習得するために実施するもの

(補足:「また~」の記述について、「当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるもの」が追加されています)

教育訓練であって、派遣先が、現在の業務の遂行に必要な能力を付与するために実施するものについて、派遣先は、派遣元事業主からの求めに応じ、その雇用する通常の労働者と業務の内容が同一である派遣労働者には、派遣先に雇用される通常の労働者と同一の教育訓練を実施する等必要な措置を講じなければならない。なお、派遣元事業主についても、労働者派遣法第30条の3の規定に基づく義務を免れるものではない。

また、派遣労働者と派遣先に雇用される通常の労働者との間で業務の内容に一定の相違がある場合においては、派遣元事業主は、派遣労働者と派遣先に雇用される通常の労働者との間の職務の内容、職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものの相違に応じた教育訓練を実施しなければならない。

なお、労働者派遣法第30条の2第1項の規定に基づき、派遣元事業主は、派遣労働者に対し、段階的かつ体系的な教育訓練を実施しなければならない。

② 安全管理に関する措置又は給付

派遣元事業主は、派遣先に雇用される通常の労働者と同一の業務環境に置かれている派遣労働者には、派遣先に雇用される通常の労働者と同一の安全管理に関する措置及び給付をしなければならない。

なお、派遣先及び派遣元事業主は、労働者派遣法第45条等の規定に基づき、派遣労働者の安全と健康を確保するための義務を履行しなければならない。


派遣労働者(労使協定方式)

協定対象派遣労働者の待遇に関して、原則となる考え方及び具体例は次のとおりです。

労働者派遣法の規定をあらためて確認するような説明、均等均衡方式と同旨の説明もガイドラインのまま記載しておきます。


賃金

労働者派遣法第30条の4第1項第2号イにおいて、協定対象派遣労働者の賃金の決定の方法については、同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金の額として厚生労働省令で定めるものと同等以上の賃金の額となるものでなければならないこととされている。

また、同号ロにおいて、その賃金の決定の方法は、協定対象派遣労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験その他の就業の実態に関する事項の向上があった場合に賃金が改善されるものでなければならないこととされている。

さらに、同項第3号において、派遣元事業主は、この方法により賃金を決定するに当たっては、協定対象派遣労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験その他の就業の実態に関する事項を公正に評価し、その賃金を決定しなければならないこととされている。


福利厚生

① 福利厚生施設

(補足:なお書における「利用条件」についての記述が追加されています)

派遣先は、派遣先に雇用される通常の労働者と同一の事業所で働く協定対象派遣労働者には、派遣先に雇用される通常の労働者と同一の福利厚生施設の利用を認めなければならない。

なお、派遣元事業主についても、労働者派遣法第30条の3又は第30条の4の規定に基づく義務を免れるものではなく、福利厚生施設の利用料金・割引率等の利用条件についても労働者派遣法第30条の3又は第30条の4の適用を受けるものであり、派遣先に雇用される通常の労働者又は派遣元事業主に雇用される通常の労働者と協定対象派遣労働者の職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならない。

② 転勤者用社宅

派遣元事業主は、派遣元事業主の雇用する通常の労働者と同一の支給要件(例えば、転勤の有無、扶養家族の有無、住宅の賃貸又は収入の額)を満たす協定対象派遣労働者には、派遣元事業主の雇用する通常の労働者と同一の転勤者用社宅の利用を認めなければならない。

③ 慶弔休暇並びに健康診断に伴う勤務免除及び有給の保障

派遣元事業主は、協定対象派遣労働者にも、派遣元事業主の雇用する通常の労働者と同一の慶弔休暇の付与並びに健康診断に伴う勤務免除及び有給の保障を行わなければならない。

(問題とならない例)

  • 派遣元事業主であるB社においては、慶弔休暇について、B社の雇用する通常の労働者であるXと同様の出勤日が設定されている協定対象派遣労働者であるYに対しては、通常の労働者と同様に慶弔休暇を付与しているが、週2日の勤務の協定対象派遣労働者であるWに対しては、勤務日の振替での対応を基本としつつ、振替が困難な場合のみ慶弔休暇を付与している。

④ 病気休職(療養への専念を目的として付与する病気休暇を含む。以下この④において同じ。)

(補足:「さらに~」の記述及び「問題となる例」が追加されています)

派遣元事業主は、協定対象派遣労働者(有期雇用労働者である場合を除く。)には、派遣元事業主の雇用する通常の労働者と同一の病気休職の取得を認めなければならない。また、有期雇用労働者である協定対象派遣労働者にも、労働契約が終了するまでの期間を踏まえて、病気休職の取得を認めなければならない。さらに、派遣元事業主の雇用する通常の労働者に病気休職期間に係る給与の保障を行う場合には、労働契約の更新を繰り返している等、相応に継続的な勤務が見込まれる協定対象派遣労働者にも、派遣元事業主の雇用する通常の労働者と同一の給与の保障を行わなければならない。

(問題とならない例)

  • 派遣元事業主であるB社においては、労働契約の期間が1年である有期雇用労働者であり、かつ、協定対象派遣労働者であるYについて、病気休職の期間は労働契約の期間が終了する日までとしている。

(問題となる例)

  • 派遣元事業主であるB社においては、通常の労働者であるXに対しては、病気休職期間に係る給与の保障を行っているが、協定対象派遣労働者であって、労働契約の更新を繰り返している等、相応に継続的な勤務が見込まれるYに対しては、病気休職期間に係る給与の保障を行っていない。

⑤ 夏季冬季休暇

(補足:夏季冬季休暇は新設です)

派遣元事業主は、協定対象派遣労働者にも、派遣元事業主の雇用する通常の労働者と同一の夏季冬季休暇を付与しなければならない。

(問題となる例)

派遣元事業主であるB社においては、繁忙期に限定された短期間の勤務ではない協定対象派遣労働者であるYに対し、雇用する通常の労働者と同一の夏季冬季休暇を付与していない。

⑥ 法定外の有給の休暇その他の法定外の休暇(慶弔休暇、療養への専念を目的として付与する病気休暇及び夏季冬季休暇を除く。)であって、勤続期間に応じて取得を認めているもの

法定外の有給の休暇その他の法定外の休暇(慶弔休暇、療養への専念を目的として付与する病気休暇及び夏季冬季休暇を除く。)であって、勤続期間に応じて取得を認めているものについて、派遣元事業主は、派遣元事業主の雇用する通常の労働者と同一の勤続期間である協定対象派遣労働者には、派遣元事業主の雇用する通常の労働者と同一の法定外の有給の休暇その他の法定外の休暇(慶弔休暇、療養への専念を目的として付与する病気休暇及び夏季冬季休暇を除く。)を付与しなければならない。なお、期間の定めのある労働契約を更新している場合には、当初の労働契約の開始時から通算して勤続期間を評価することを要する。

(問題とならない例)

  • 派遣元事業主であるB社においては、長期勤続者を対象とするリフレッシュ休暇について、業務に従事した時間全体を通じた貢献に対する報償という趣旨で付与していることから、B社に雇用される通常の労働者であるXに対し、勤続10年で3日、20年で5日、30年で7日の休暇を付与しており、協定対象派遣労働者であるYに対し、所定労働時間に比例した日数を付与している。

⑦ 褒賞であって、一定の期間勤続した労働者に付与するもの

(補足:一定の期間勤続した労働者に付与する褒賞は新設です)

褒賞であって、一定の期間勤続した労働者に付与するものについて、派遣元事業主は、派遣元事業主に雇用される通常の労働者と同一の期間勤続した協定対象派遣労働者には、派遣元事業主に雇用される通常の労働者と同一の褒賞を付与しなければならない。


その他

① 教育訓練であって、現在の職務の遂行に必要な技能又は知識を習得するために実施するもの

補足:「また~」の記述について、「当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるもの」が追加されています)

教育訓練であって、派遣先が、現在の業務の遂行に必要な能力を付与するために実施するものについて、派遣先は、派遣元事業主からの求めに応じ、派遣先に雇用される通常の労働者と業務の内容が同一である協定対象派遣労働者には、派遣先に雇用される通常の労働者と同一の教育訓練を実施する等必要な措置を講じなければならない。なお、派遣元事業主についても、労働者派遣法第30条の3の規定に基づく義務を免れるものではない。

また、協定対象派遣労働者と派遣元事業主が雇用する通常の労働者との間で業務の内容に一定の相違がある場合においては、派遣元事業主は、協定対象派遣労働者と派遣元事業主の雇用する通常の労働者との間の職務の内容、職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものの相違に応じた教育訓練を実施しなければならない。

なお、労働者派遣法第30条の2第1項の規定に基づき、派遣元事業主は、協定対象派遣労働者に対し、段階的かつ体系的な教育訓練を実施しなければならない。

② 安全管理に関する措置及び給付

派遣元事業主は、派遣元事業主の雇用する通常の労働者と同一の業務環境に置かれている協定対象派遣労働者には、派遣元事業主の雇用する通常の労働者と同一の安全管理に関する措置及び給付をしなければならない。

なお、派遣先及び派遣元事業主は、労働者派遣法第45条等の規定に基づき、協定対象派遣労働者の安全と健康を確保するための義務を履行しなければならない。


まとめ

以上です。

短時間・有期雇用労働者に係る部分はこちらの記事をご参照ください。


(参考資料)

厚生労働省|厚生労働省法令等データベースサービスより|https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/kensaku/index.html

  • 平成30年12月28日厚生労働省告示430号(短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針)

厚生労働省|派遣労働者の同一労働同一賃金についてより|

  • 改正の経緯や趣旨などに関するQ&A