この記事では、高額療養費について解説しています。
なお、保険者は協会のケースを想定しています。付加給付の内容は各健康保険組の取扱いをご確認ください。
記事中の略語はそれぞれ次の意味で使用しています。
- 法 ⇒ 健康保険法
- 令 ⇒ 健康保険法施行令
- 則 ⇒ 健康保険法施行規則
- 協会 ⇒ 全国健康保険協会
- 保険者 ⇒ 協会、各健康保険組合
- 高齢者医療確保法 ⇒ 高齢者の医療の確保に関する法律
なお、当記事における「被保険者」には日雇特例被保険者は含まれません。
日雇特例被保険者の保険給付はこちらで解説しています。
当記事は条文等の趣旨に反するような極端な意訳には注意しております。ただし、厳密な表現と異なる部分もございます。
詳しくは免責事項をご確認ください。
制度の概要
はじめに制度の全体像を解説します。

高額療養費とは、一部負担金等の額が著しく高額な場合に、次の①から②を差し引いた額を支給する制度(保険給付)です。
- 一部負担金等の額を合計した額
- 一部負担金等の上限額
①は病院の窓口で支払う自己負担額です。
②は自己負担の上限額です。高額療養費算定基準額といいます。
高額療養費は、自己負担を高額療養費算定基準額までに抑える制度といえます。
(厳密には①の額のほかに「特定給付対象療養について、なお負担すべき額」も合算して、②の上限額を超えるか判断します)
一部負担金等の額
一部負担金等の額の範囲は下記になります(法115条1項)
- 療養の給付について支払われた一部負担金の額
- 療養(食事療養および生活療養を除く)に要した費用の額からその療養に要した費用につき保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、家族療養費または家族訪問看護療養費として支給される額に相当する額を控除した額
上段はいわゆる3割負担として病院等の窓口で支払った額です。
下段は10割の部分から、保険給付として支給される7割を差し引いた額(つまりこちらも3割)に相当します。
以降、病院等(病院、診療所、薬局その他の者。以下同じ)の窓口で支払う金額を総称して「自己負担額」と表記しています。
高額療養費の対象にならない療養
次の療養に対して支払った自己負担額は、高額療養費の対象になりません(法115条)
- 食事療養(高額療養費の計算に食事療養標準負担額は含めません)
- 生活療養(高額療養費の計算に生活療養標準負担額は含めません)
また、健康保険が適用されない部分(差額ベッド代そのもの、入院時のパジャマ代など)も、高額療養費の対象になりません。
以降、これらは高額療養費の対象にならない前提で解説します。
医科と歯科、入院と通院

高額療養費は、1か月単位で、保険医療機関ごとに、医科と歯科とを区別して計算します(令43条9項)。また、入院と通院(外来)も区別して計算します(令43条10項)
(通院と、その通院に係る調剤は合算します。なお、治療用装具については、療養費が支給される場合でも医療機関のレセプトとは合算しません)
高額療養費における「世帯」
高額療養費では、被保険者とその被扶養者(同居の有無を問わない)が属する範囲を「世帯」としています。
生計を共にしていても「被保険者と被保険者」の場合は、高額療養費の計算においては同一の「世帯」とみなしません。
長期療養者への配慮
高額療養費の支給要件、支給額その他高額療養費の支給に関して必要な事項は、次の①及び②を考慮して、政令で定められています(法105条2項)
- 療養に必要な費用の負担の家計、とりわけ長期にわたって継続的に療養を受ける者の家計に与える影響
- 療養に要した費用の額
制度としての高額療養費は、次の二つに大別されます。
- 年単位の高額療養費
1年間に支払った自己負担額の合計額に対する高額療養費 - 月単位の高額療養費
1か月間に支払った自己負担額の合計額に対する高額療養費
年単位の高額療養費には、「70歳以上の外来療養に係る年間の高額療養費」と「年間の上限額を超えた場合の高額療養費」があります。
月単位の高額療養費には、下記の①~③があります。
- 70歳未満の高額療養費
70歳に達する日の属する月以前に療養を受けた人がいる場合の高額療養費 - 70歳以上の高額療養費
70歳に達する日の属する月の翌月以後に療養を受けた人(一部の制度は一定の要件あり)がいる場合の高額療養費 - 75歳到達時の高額療養費
75歳に達したことで後期高齢者医療の被保険者となった日(当該日が月の初日の場合を除く)の属する月に受けた療養に係る高額療養費
(③は、被保険者が75歳に達したために被扶養者の資格を喪失した人にも適用されます)
月単位では高額療養費の支給基準を満たせなくとも、年単位(8月~翌7月)の基準では満たせる場合もあります。
例えば、70歳未満で標準報酬月額28万円の人は、月単位では自己負担額が約85,800円を超えないと高額療養費は支給されません。ただし、年単位では自己負担額が530,000円(530,000円 ÷ 12か月 = 約44,200円)を超えると支給されるため、長期療養者に配慮されています。
75歳到達時の特例の趣旨

- 月単位の高額療養費は、各人の生年月日を基準とした1か月でなく、暦上の1か月で計算します。そのため、月の途中で75歳に達した場合は、「健康保険における自己負担の上限額」と「後期高齢者医療制度における自己負担の上限額」が適用されます。
- つまり、75歳到達月は、誕生日の前後で各保険制度の自己負担の上限額(高額療養費算定基準額)が適用されるため、自己負担の上限額は実質2倍となります。
- 上記の不都合を解消するため、75歳到達月は各保険制度で本来の上限額を\(\frac{1}{2}\)に設定します。
(具体的には後述します)
ちなみに、後期高齢者医療制度にも同旨の定めがあります。
以降は、「自己負担の上限額」の表記を「高額療養費算定基準額」に統一します。

「高額療養費多数回該当」とは、療養のあった月(療養を受けた月)以前の12か月以内にすでに3か月以上の高額療養費が支給されていることいいます(令42条1項1号)
高額療養費多数回該当(以下、多数回該当)の場合は、月単位の高額療養費算定基準額(低所得者②に係るものを除く)は引き下げられます(令42条1項ほか)
(低所得者①及び②は順を追って解説します)
当月から遡って12か月間に高額療養費の支給回数(多数回該当として支給された回数を含む)が3回ある場合には、4回目(当月)は高額療養費算定基準額を引き下げるという趣旨です。
なお、多数回該当には下記の留意事項があります。
- 健康保険組合の被保険者から協会けんぽの被保険者に変わるなど、保険者が変わる場合、支給回数は通算されません(昭和59年9月29日保険発74号)
- 70歳以上の外来療養に係る高額療養費(月間及び年間)、年間上限の高額療養費、長期高額疾病に係る負担軽減(いずれの制度も後述します)これらのみが支給された月は、いずれも多数回該当の支給月(回数)に含めません
食事(生活)療養標準負担額、保険適用外の療養に係る額(保険外併用療養費における保険適用外の部分)は、高額療養費と関係なく全額支払いが必要です。
申請書を提出
全額支払った後に払い戻しを受ける制度です。
「償還払い」又は「現金給付」ともいいます。
療養を受けた被保険者(又はその被扶養者)が、病院等に対して一部負担金等を全額支払います。
その後、高額療養費算定基準額を超えた部分を、被保険者が保険者に請求します。
限度額適用認定証
窓口負担の上限額(1か月単位)を高額療養費算定基準額にする制度です。
「現物給付」ともいいます。
高額療養費算定基準額について事前に保険者から認定を受け、認定を受けた証(限度額適用認定証)を病院等に提出します。
なお、限度額適用認定証の交付は、資格確認書(限度額適用認定に係る情報が記載され、又は記録されていないものに限る)の交付又は提供を受けている人が対象です(則103条の7第2項)
ちなみに、低所得者①又は②の認定を受けた場合は、限度額適用・標準負担額減額認定証が交付されます(則105条)
マイナ保険証
オンライン資格確認を導入している病院等が前提です。
マイナ保険証を利用すれば、窓口負担の上限額(1か月単位)は高額療養費算定基準額となります。
つまり、マイナ保険証を利用すれば、限度額適用認定証は不要です。
(オンライン資格確認、資格確認書はこちらで解説しています)
以降、高額療養費の各制度をより詳しく解説します。
70歳未満の高額療養費

ここからは70歳未満の高額療養費の解説です。
70歳に達する日の属する月以前に療養を受けた人(以降、単に「70歳未満の人」と表記します)がいれば、70歳に達する日の属する月の翌月以後に療養を受けた人(以降、単に「70歳以上の人」と表記します)を含めて「70歳未満の高額療養費」を計算します。
そのため、より正確には「世帯に70歳未満の人を含む場合の高額療養費」となります。
- 70歳未満の高額療養費は、一部負担金等世帯合算額が高額療養費算定基準額を超える場合に支給されます。
- 高額療養費の額は、一部負担金等世帯合算額から高額療養費算定基準額を控除した額です。
「一部負担金等世帯合算額」とは、次に掲げる額の合計額をいいます(令41条1項1号、2号)
- 一部負担金等の額(70歳未満の人は21,000円以上)を合算した額
- 特定給付対象療養について、なお負担すべき額(70歳未満の人は21,000円以上)を合算した額
(厳密には①と②の合計額から令41条2項~5項により支給される高額療養費を控除します。結論はこちらのタブに格納してあります)
①は「特定給付対象療養」以外の療養(厳密には令41条8項の療養も除く)について、一部負担金等の額を合算します。
①及び②は、被保険者又はその被扶養者が同一の月にそれぞれ一つの病院等から受けた療養に係る額を合算します(令41条1項)
情報を整理しておきます。
- ①②は、病院等に支払った金額(70歳未満の人は21,000円以上)を1か月単位で合算します。
- 被保険者とその被扶養者については、それぞれ自己負担額(被保険者の①及び②と、被扶養者の①及び②)を世帯で合計します。
- 互いに被保険者の場合は、同一世帯であっても、それぞれの自己負担額は世帯で合計しません。
なお、高額療養費に限らず健康保険の保険給付は、被扶養者が受けた療養に係る部分も含めて被保険者に支給されます。
70歳未満の高額療養費(月単位)についての高額療養費算定基準額は、次表のとおりです(令42条1項)
| 所得区分 | 高額療養費算定基準額 | 多数回該当 |
| 標月83万円以上 | 270,300円+(総医療費-901,000円)×1% | 140,100円 |
| 標月53万円以上83万円未満 | 179,100円+(総医療費-597,000円)×1% | 93,000円 |
| 標月28万円以上53万円未満 | 85,800円+(総医療費-286,000円)×1% | 44,400円 |
| 標月28万円未満 | 61,500円 | 44,400円 |
| 低所得者① | 36,900円 | 24,600円 |
- 「標月」は標準報酬月額の略です(以下同じ)
- 月単位の高額療養費では「療養を受けた月」の標月をいい、年単位の高額療養費では「基準日(後述)が属する月」の標月をいいます(以下同じ)
- 「総医療費」は療養に要した費用の額(10割の額)です(以下同じ)
- (総医療費-〇〇円)×1%に1円未満の端数が生じた場合は、50銭未満は切り捨て、50銭以上は1円に切り上げます(以下同じ)
- 低所得者(①及び②)は、他の所得区分に該当しない者に限ります(以下同じ)
多数回該当の額は、長期にわたって継続的に療養を受ける人に配慮して、令和8年7月以前の額から据え置かれています。このため、すでに多数回該当が適用されている場合は、その状態が続く限り、実質的な月間の負担額(つまり多数回該当を適用した高額療養費算定基準額)は増えません(以降の解説において同じ)
ちなみに、901,000円の3割は270,300円です。
低所得者①の範囲は下のタブに格納しておきます(低所得者②は70歳以上に限り適用されるため後述します)
以降も発展的な内容は同様のタブに格納しています。必要に応じて開閉してください。
低所得者①とは、次のいずれかに該当する者をいいます(令42条1項5号ほか)
- 市町村民税非課税者である被保険者又はその被扶養者
- 療養のあった月において生活保護法6条2項に規定する要保護者(現に保護を受けているかにかかわらず、保護を必要とする状態にある者をいいます)であって厚生労働省令で定めるものに該当する被保険者又はその被扶養者
「市町村民税非課税者」とは、療養のあった月の属する年度(療養のあった月が4月から7月までの場合にあっては、前年度)分の地方税法の規定による市町村民税(同法の規定による特別区民税を含むものとし、同法328条の規定によって課する所得割を除く。)が課されない者(市町村(特別区を含む。)の条例で定めるところにより当該市町村民税を免除された者を含むものとし、当該市町村民税の賦課期日において同法の施行地に住所を有しない者を除く。)をいいます。
「厚生労働省令で定める要保護者」とは、高額療養費の支給があり、かつ、次のいずれかに該当する者をいいます(則101条ほか)
- 食事療養標準負担額について減額があれば生活保護法の規定による保護を要しなくなる者
- 生活療養標準負担額について減額があれば生活保護法の規定による保護を要しなくなる者
厚生労働省令で定める要保護者の補足
厚生労働省令で定める要保護者は、生活保護の該当・非該当の境界層にあります。
考え方としては、「生活保護を受けているから低所得者①に該当した⇒入院時の食事(又は生活環境)の負担額が減った⇒負担額が減ったから生活保護の対象外となった⇒生活保護は対象外となったから低所得者①も非該当とする」のようなパラドックスをさけるため、厚生労働省令で定める要保護者は低所得者①に該当する旨明記されています(後述の低所得者②において同じ)
先に解説したとおり、高額療養費の計算から食事(生活)療養標準負担額は除かれます。ただし、低所得者①(及び後述の低所得者②)の該当者は、食事(生活)療養標準負担額の減額措置(限度額適用・標準負担額減額認定)の対象範囲に含まれるため、厚生労働省令で定める要保護者に対しては上記の考え方が必要になります。
70歳以上の高額療養費

ここからは70歳以上の高額療養費を解説します。
70歳以上の人(70歳に達する日の属する月の翌月以後に療養を受けた人)に係る高額療養費です。
70歳以上の高額療養費は、次の①~③に大別されます。
- 70歳以上の世帯単位
②を計算しても、なお残る自己負担額(外来+入院)について、70歳以上の高額療養費を世帯単位で計算します。 - 70歳以上の外来療養に係る月間
①を計算する前に、70歳以上の外来療養に係る自己負担額のみで高額療養費を計算します(①の支給基準を満たさなくとも、②の高額療養費が支給されることもあります) - 70歳以上の外来療養に係る年間
70歳以上の外来療養に係る自己負担額を1年間で合計し、毎年7月31日を基準に計算します。
②及び③は、70歳以上であっても一部負担金の割合が3割の場合は制度の対象外です(この場合は①のみで計算します)
なお、70歳以上かつ標準報酬月額28万円以上であっても、収入が520万円(被扶養者がいない場合は383万円)未満の者は、一部負担金の割合は2割となります(令34条)
つまり、②及び③は、原則として「標準報酬月額が28万円未満」の被保険者(又はその被扶養者)を対象とする制度です。
外来療養
外来療養とは、法63条1項の「療養の給付」のうち、次の①から④までの療養(入院に伴うものを除く)をいいます(令41条5項)
- 診察
- 薬剤又は治療材料の支給
- 処置、手術その他の治療
- 居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護
以降、世帯単位、外来月間、外来年間の順で解説します。
(計算順序は、外来月間 ⇒ 世帯単位 ⇒ 外来年間です)

「外来療養+入院」の自己負担額を世帯単位で合計します。
- 70歳以上の高額療養費は、70歳以上一部負担金等世帯合算額が高額療養費算定基準額を超える場合に支給されます。
- 高額療養費の額は、70歳以上一部負担金等世帯合算額から高額療養費算定基準額を控除した額です。
「70歳以上一部負担金等世帯合算額」とは、(70歳以上の療養に係る)次に掲げる額の合計額をいいます。
- 一部負担金等の額の合計額(令41条3項1号)
- 特定給付対象療養について、なお負担すべき額の合計額(令41条3項2号)
(厳密には、①と②の合計額から令41条4項(75歳到達時の特例かつ70歳以上)又は5項(70歳以上の外来療養に係る月間)高額療養費として支給される額を控除します)
①は「特定給付対象療養」以外の療養(厳密には令41条8項の療養も除く)について、一部負担金等の額を合算します。
ちなみに、70歳以上の高額療養費は、①②について「21,000円以上」という要件はありません。
①②は、被保険者又はその被扶養者が同一の月にそれぞれ一つの病院等から受けた療養について合算します(令41条3項)

「外来療養」に係る自己負担額を個人単位で合計します。
月単位で計算する70歳以上の外来療養に係る高額療養費は、高額療養費算定基準額が22,000円(低所得者①は11,000円、②は8,000円)に設定されています(令42条5項)
概要で説明したとおり、上記の高額療養費は、70歳以上における「一部負担金の割合が2割」の者を対象とする制度です。
制度の対象となる被保険者又はその被扶養者が同一の月にそれぞれ一つの病院等から受けた外来療養について、次の①及び②の額を被保険者又はその被扶養者ごとに合計します。
- 一部負担金等の額を合算した額(令41条5項)
- 特定給付対象療養について、なお負担すべき額を合算した額(令41条5項)
①は「特定給付対象療養」以外の療養(厳密には令41条8項の療養も除く)について、一部負担金等の額を合算します。
計算の趣旨
事例形式で解説します。
被保険者(低所得者①及び②に該当しない)が受けた外来療養に係る自己負担額を30,000円、被扶養者が受けた外来療養に係る自己負担額を18,000円としましょう。
この場合、48,000円(世帯単位)と22,000円を比較するわけではありません。
被保険者は自己負担額30,000円と算定基準額22,000円を比較し、高額療養費として8,000円支給されます。
被扶養者は自己負担額18,000円と算定基準額22,000円を比較するため、70歳以上の外来療養に係る高額療養費はありません。
なお、被扶養者の外来療養に係る18,000円は切り捨てではなく、下記のように70歳以上の高額療養費(世帯単位)の計算に組み込まれます。
- 70歳以上の外来療養に係る高額療養費(月間)を計算した後は、入院を含めて70歳以上の高額療養費(世帯単位)を計算します。
- 世帯単位を計算するときの外来療養に係る自己負担額は、被保険者は22,000円(8,000円は外来療養に係る高額療養費として確定したため控除します)、被扶養者は18,000円です。つまり、世帯としては合計で40,000円となります。
世帯単位での自己負担額(入院を含む)の合計額が、高額療養費算定基準額(世帯単位)を超えなくとも、外来療養に係る高額療養費として8,000円は支給されます。
(世帯に70歳未満の人がいる場合は、更に70歳未満の人を含めた高額療養費を世帯単位で計算します)

「外来療養」に係る自己負担額を個人単位で合計します。
保険者に変更があった場合も自己負担額を通算し、高額療養費の支給額を保険者間で按分計算するため、おそらく高額療養費で最も複雑な制度です。
試験対策としては、次のポイントを優先して覚えてください。
- 年単位の外来療養も個人単位で計算する(個人単位で計算した額を合算し、基準日被保険者に世帯単位でまとめて支給する。なお、支給申請そのものは基準日被保険者が世帯単位で行う)
- 基準日は7月31日
- 計算期間は8月1日~7月31日
- 3割負担の人は70歳以上でも制度の対象外
- 高額療養費算定基準額は一般216,000円、低所得者96,000円
なお、70歳以上の外来療養に係る年間の高額療養費は、計算期間において支給対象に該当した期間(2割負担の期間)があっても、基準日おいて一部負担金の割合が3割の場合は制度の対象外です(令41条の2第1項ただし書)
用語の定義
用語の定義は下記になります。
- 基準日は計算期間の末日をいいます(令41条の2第1項ただし書)。つまり7月31日です。
- 計算期間は、毎年8月1日から翌年7月31日までをいいます(令41条の2第1項ただし書)
- 基準日被保険者とは、基準日における各保険者の被保険者です。ただし、日雇特例被保険者、共済組合の組合員、私立学校教職員共済制度の加入者は除きます(令41条の2第1項1号)
ちなみに、被保険者が計算期間において当該被保険者の資格を喪失し、かつ、当該資格を喪失した日以後の当該計算期間において医療保険加入者とならない場合(例えば、死亡した場合)は、資格喪失日の前日を基準日とみなします(令43条11項、則108条の2)
(協会管掌から組合管掌に変更など、資格を喪失した後に医療保険加入者となる場合は、7月31日が基準日となり、後述の高額療養費按分率を用いて按分計算します)
一部負担金等の額の合算
計算期間における70歳以上の外来療養に係る一部負担金等の額(特定給付対象療養について、なお負担した額を含む)を、次の①②③ごとに合算します。なお、計算期間において一部負担の割合が3割の期間があれば、その期間に受けた外来療養に係る一部負担金等の額は除きます(令41条の2第1項、2項)
- 基準日被保険者
- 基準日における①の被扶養者(基準日被扶養者といいます)
- ①の被扶養者であった者(②に該当する者を除く)
上記①②③ごとに合算した一部負担金等の額は、それぞれ基準日被保険者合算額、基準日被扶養者合算額、元被扶養者合算額といいます(令41条1項)
以下、上記の合算額を総称して「外来に係る年間合算額」と表記します。

計算期間における70歳以上の外来療養に係る自己負担額には、高額療養費算定基準額(年単位)が216,000円に設定されています(令42条10項)
(低所得者の場合は、216,000円を96,000円に読替えてください)
- 組合員等として受けた外来療養(一部負担金の割合が3割のときに受けたものを除く)について支払った自己負担額(*1)を含めて、216,000円を超えるか計算します(令41条の2第1項5号、6号、11号、12号、17号、18号)
- 外来に係る年間合算額(*2)のいずれかが216,000円を超えた場合は、当該超えた額(*3)を合計した額が高額療養費として基準日被保険者に支給されます(令41条の2第1項)
(*1)健康保険組合に加入していた期間について付加給付が支給される場合は、当該者に係る付加給付の額を控除します(令41条の2第1項1号)
(*2)月単位で支給される高額療養費(令41条1項~5項)があれば、当該支給額を控除します
(*3)厳密には、当該超えた額に高額療養費按分率(*4)を乗じて得た額をいいます(令41条の2第1項)
(*4)協会の被保険者である基準日被保険者でいうと、「基準日被保険者合算額」に対する「計算期間における、協会の被保険者として受けた70歳以上の外来療養に係る一部負担金等の額を合算した額」の割合をいいます
計算期間に複数の医療保険に加入していた場合(例えば、転職に伴い協会管掌から組合管掌となった場合)は、(*3)(*4)により、計算期間における自己負担額の割合に応じて、高額療養費の支給額を保険制度の運営者間で按分するイメージです。
ちなみに、計算期間に協会の被保険者に該当していたものの、基準日には健康保険組合に加入していたり、組合員等に該当する者に対しては、令41条の2第1項を読替えて、協会けんぽの期間に係る高額療養費(協会けんぽの被保険者期間の保険給付)が支給されます(令41条の2第3項から7項まで)
申請については、マイナンバーによる情報提携を希望したり、希望しない場合は本人が証明書を取得して(計算期間中に他の医療保険に加入していた場合には、「支給申請書 兼 自己負担額証明書交付申請書」を他の医療保険者にも提出し、他の医療保険に係る自己負担額証明書も取得して)、基準日被保険者が、基準日に加入している保険制度の運営者にまとめて行います(支給額は保険制度の運営者側で按分計算をしてくれます)
70歳以上の外来療養に係る年間の高額療養費における「組合員等」の範囲は下記になります(令41条の2第9項)
- 日雇特例被保険者
- 日雇特例被保険者であった者(法126条により日雇特例被保険者手帳の交付を受け、その手帳に健康保険印紙を貼り付けるべき余白がなくなるに至るまでの間にある者に限る。なお、法3条2項ただし書による承認を受けて同項による日雇特例被保険者とならない期間内にある者または法126条3項により当該日雇特例被保険者手帳を返納した者は除く)
- 船員保険の被保険者
- 国家公務員共済組合法又は地方公務員等共済組合法に基づく共済組合の組合員
- 私立学校教職員共済法の規定による私立学校教職員共済制度の加入者
- 国民健康保険の被保険者の属する世帯の世帯主又は国民健康保険組合の組合員
- 後期高齢者医療の被保険者
組合員等の被扶養者等は次のとおりです(令41条の2第10項)
- 日雇特例被保険者の被扶養者
- 船員保険法、国家公務員共済組合法(他の法律において準用する場合を含む)又は地方公務員等共済組合法の規定による被扶養者
- 国民健康保険の世帯主等と同一の世帯に属する当該国民健康保険の世帯主等以外の国民健康保険の被保険者
70歳以上の世帯単位(入院 + 外来)
70歳以上の高額療養費(月間)についての高額療養費算定基準額は、次表のとおりです(令42条3項)
| 所得区分 | 高額療養費算定基準額 | 多数回該当 |
| 標月83万円以上 | 270,300円+(総医療費-901,000円)×1% | 140,100円 |
| 標月53万円以上83万円未満 | 179,100円+(総医療費-597,000円)×1% | 93,000円 |
| 標月28万円以上53万円未満 | 85,800円+(総医療費-286,000円)×1% | 44,400円 |
| 標月28万円未満 | 61,500円 | 44,400円 |
| 低所得者① | 25,700円 | 24,600円 |
| 低所得者② | 15,700円 | - |
低所得者①及び②を除き、70歳未満の高額療養費と同額です。
低所得者②の範囲は、下のタブに格納しておきます。
低所得者②とは、次のいずれかに該当する者をいいます(令42条3項6号ほか)
- 被保険者及びその被扶養者の全てが療養のあった月の属する年度分の一定の所得がない場合における、当該被保険者又はその被扶養者
- 療養のあった月において生活保護法6条2項に規定する要保護者であって厚生労働省令で定めるものに該当する被保険者又はその被扶養者(詳細は「参考|低所得者①」のタブを参照)
上段の「一定の所得がない」とは、療養のあった月の属する年度分(療養のあった月が4月から7月までの場合は、前年度分)の次の①②の金額がないことをいいます。
- 市町村民税(特別区民税を含む)に係る総所得金額及び山林所得金額についての各種所得(*a)の金額(*b)
- 他の所得と区分して計算される所得の金額(*c)
(*a)利子所得の金額、配当所得の金額、不動産所得の金額、事業所得の金額、給与所得の金額、退職所得の金額、山林所得の金額、譲渡所得の金額、一時所得の金額及び雑所得の金額をいいます(所得税法2条1項22号)
(*b)所得からの控除額のルールは次のとおりです。
- 所得税法35条2項に規定する公的年金等の支給を受ける者については、公的年金等控除額を82万6,500円として算定した総所得金額とする。
- 総所得金額に給与所得(所得税法28条1項)が含まれている場合における当該給与所得については、その年中の給与等の収入金額から給与所得控除額を控除し、さらに10万円を控除した金額(当該金額がマイナスの場合はゼロ)とする。
(*c)具体的には次のとおりです。
- 地方税法附則33条の2第5項に規定する上場株式等に係る配当所得等の金額(同法附則35条の2の6第8項又は第11項の規定の適用がある場合には、その適用後の金額)
- 地方税法附則33条の3第5項に規定する土地等に係る事業所得等の金額
- 地方税法附則34条4項に規定する長期譲渡所得の金額(租税特別措置法33条の4第1項若しくは第2項、34条1項、34条の2第1項、34条の3第1項、35条1項、35条の2第1項、35条の3第1項又は36条の規定の適用がある場合は、これらの規定の適用により同法31条1項に規定する長期譲渡所得の金額から控除する金額を控除した金額)
- 地方税法附則35条5項に規定する短期譲渡所得の金額(租税特別措置法33条の4第1項若しくは第2項、34条1項、34条の2第1項、34条の3第1項、35条1項又は36条の規定の適用がある場合は、これらの規定の適用により同法32条1項に規定する短期譲渡所得の金額から控除する金額を控除した金額)
- 地方税法附則35条の2第5項に規定する一般株式等に係る譲渡所得等の金額(同法附則35条の3第15項の規定の適用がある場合は、その適用後の金額)
- 地方税法附則35条の2の2第5項に規定する上場株式等に係る譲渡所得等の金額(同法附則35条の2の6第11項又は35条の3第13項若しくは第15項の規定の適用がある場合は、その適用後の金額)
- 地方税法附則35条の4第4項に規定する先物取引に係る雑所得等の金額(同法附則35条の4の2第7項の規定の適用がある場合には、その適用後の金額)
- 外国居住者等の所得に対する相互主義による所得税等の非課税等に関する法律8条2項に規定する特例適用利子等の額、同法8条4項に規定する特例適用配当等の額
- 租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律3条の2の2第10項に規定する条約適用利子等の額及び同条12項に規定する条約適用配当等の額
70歳以上の外来(月間、年間)
70歳以上の外来療養(個人単位)に係る高額療養費算定基準額は、次表のとおりです(令42条5項、10項)
| 所得区分 | 月単位 | 年単位 | |
| (負担割合が3割の者に限る) 標月83万円以上 標月53万円以上83万円未満 標月28万円以上53万円未満 | 対象外 | 対象外 | |
| 標月28万円未満 | 22,000円 | 216,000円 | |
| 低所得者① | 11,000円 | 96,000円 | |
| 低所得者② | 8,000円 | - |
ちなみに、8,000円 × 12か月 = 96,000円です。
低所得者①については、月単位の基準額は改正前の8,000円から11,000円に引き上げられました。
ただし、年単位で考えると96,000円になるため、年単位の基準額が適用される人については、改正前(8,000円 × 12か月)よりも負担が増えないよう配慮されています。
なお、70歳以上の外来療養に係る高額療養費には、多数回該当は適用されません(令42条1項1号ただし書)
75歳到達時の特例に係る高額療養費

制度の趣旨はこちら(前述)をご参照ください。
75歳到達時特例対象療養に係る高額療養費は、当該療養を受けた被保険者又はその被扶養者ごとに(個人単位で)計算します(令41条2項、4項、5項)
次の①②③の療養を総称して75歳到達時特例対象療養といいます(令41条4項各号)
- 75歳到達前旧被保険者が、旧被保険者75歳到達月に受けた療養
- 75歳に達したことで、月の初日以外の日に後期高齢者医療の被保険者の資格を取得したことにより被扶養者でなくなった者が、同日の前日の属する月(同日以前の期間に限る)に受けた療養
- 75歳到達前旧被保険者が後期高齢者医療の被保険者の資格を取得したことによりその被扶養者でなくなった者が、当該75歳到達前旧被保険者に係る旧被保険者75歳到達月に受けた療養
75歳到達前旧被保険者とは、75歳に達したことで、月の初日以外の日に後期高齢者医療の被保険者の資格を取得したことにより、健康保険の被保険者の資格を喪失した者をいいます。
(月の初日に取得した場合は、後期高齢者医療制度が1日から適用されるため、高額療養費算定基準額が実質2倍に設定される期間はありません)
旧被保険者75歳到達月とは、上記の「月の初日以外の日」の前日の属する月(同日以前の期間に限る)をいいます。
少々複雑なため、単純化しておきます。
- ①は被保険者本人が後期高齢者医療の被保険者となったケースです。
- ②は被扶養者本人が後期高齢者医療の被保険者となったケースです。
- ③は健康保険の被保険者が75歳に到達したため、被扶養者(70歳以上とは限りません)が健康保険の被扶養者から外れたケースです。
ちなみに、③については、国民健康保険の側にも健康保険と同様の規定があります(75歳到達時特例対象療養に係る規定です)
75歳到達時特例対象療養に係る高額療養費については、「70歳以上の高額療養費」「70歳未満の高額療養費(月間)」それぞれに適用される高額療養費算定基準額を\(\frac{1}{2}\)にします。
例えば、85,800円+(総医療費-286,000円)×1%は、42,900円+(総医療費-143,000円)×1%となります。
70歳以上の人
- 70歳以上の高額療養費(月間)についての高額療養費算定基準額を\(\frac{1}{2}\)にした基準額が適用されます(令42条4項)
- 多数回該当も\(\frac{1}{2}\)にした基準額が適用されます。
- 70歳以上の外来療養に係る高額療養費(月間)にも、\(\frac{1}{2}\)にした基準額(22,000円 × \(\frac{1}{2}\)、11,000円 × \(\frac{1}{2}\)、8,000円 × \(\frac{1}{2}\))が適用されます(令42条5項)
一方、70歳以上の外来療養に係る高額療養費(年間)の基準額は、216,000円又は96,000円で変わりません(令42条10項)
75歳到達時特例対象療養を受けた70歳未満の人
- 70歳未満の高額療養費(月単位)についての高額療養費算定基準額を\(\frac{1}{2}\)にした基準額が適用されます(令42条2項)
- 多数回該当も\(\frac{1}{2}\)にした基準額が適用されます。
- 10,500円以上(21,000円 × \(\frac{1}{2}\))の自己負担額を合算します。
年間上限を超えた場合の高額療養費(新設)

令和8年8月1日からは、一部負担金等の額(及び特定給付対象療養について、なお負担すべき額)に年間の上限額が設定されました。
この記事では、年間の上限額(年単位での高額療養費算定基準額)を超えた場合の高額療養費を「年間上限の高額療養費」と表記しています。
70歳以上の外来療養に係る年間の高額療養費と異なり、「70歳未満の人」や「一部負担金の割合が3割の人」も制度の対象です。
用語の定義
年間上限の高額療養費における用語の定義は下記になります。
- 基準日は7月31日です(計算期間の末日をいいます)
- 計算期間は毎年8月1日から翌年7月31日までです。
- 基準日被保険者とは、基準日において当該保険者の被保険者である者をいいます。
ちなみに、被保険者(基準日被保険者を除く)が計算期間においてその資格を喪失した場合は、当該資格を喪失した日(資格喪失日が複数ある場合は、最も遅い日)の前日を基準日とみなして、年間上限の高額療養費を計算します(法43条12項)
(令和8年7月29日改正令附則17条により、資格喪失日が令和8年8月1日(施行日)の場合は、同日を基準日とみなします)
(70歳以上の外来療養に係る年間の高額療養費と異なり、「医療保険加入者とならない場合」という要件はありません)
高額療養費算定基準額を「高額療養費が支給される場合でも生じる自己負担額」と捉えると学習しやすいかもしれません。
加工前の条文はタブ(解説|条文)を切り替えると確認できます。
(令41条の3第1項、2項を通して計算順序が示されています)
70歳未満の期間を含めた年間上限の高額療養費(令41条の3第1項)
- 年間上限の高額療養費は、一部負担金等年間世帯合算額が高額療養費算定基準額を超える場合に、基準日被保険者に支給されます。
- 年間上限の高額療養費の額は、一部負担金等年間世帯合算額から高額療養費算定基準額を控除した額です。
「一部負担金等年間世帯合算額」とは、計算期間において、基準日被保険者又はその被扶養者がそれぞれ当該保険者の被保険者又はその被扶養者として受けた療養に係る次に掲げる額の合計額をいいます。
- 一部負担金等の額(*5)を合算した額
- 特定給付対象療養について、なお負担すべき額(*5)を合算した額
(*5)70歳未満の人は21,000円以上、75歳到達時特例対象療養に係るものは10,500円以上に限ります。
①は「特定給付対象療養」以外の療養(厳密には令41条8項の療養も除く)について、一部負担金等の額を合算します。
なお、計算期間に複数の医療保険に加入していた場合でも、70歳以上の外来療養に係る年間の高額療養費にあるような按分計算はありません(前述のとおり、資格喪失日の前日を基準日とみなします)
補足
当該保険者の被保険者又はその被扶養者として受けた療養には、被保険者が日雇労働者又はその被扶養者となった場合における、特別療養給付(法98条1項)に係る療養(以下、継続給付に係る療養)を含みます。
(特別療養給付はこちらで解説しています)
また、次に掲げる額がある場合には、上記①の額と②の額の合計額からそれらの額を差し引きます。
- ①②についての付加給付の額
- 70歳未満の高額療養費の支給額
- 70歳以上の高額療養費(世帯単位)の支給額
- 70歳以上の外来(月間)の高額療養費の支給額
- 70歳以上の外来(年間)の高額療養費の支給額
- 75歳到達時特例対象療養に係る高額療養費の支給額
- 70歳以上年間世帯支給総額
1年間における自己負担の合計額からすでに支給が確定した高額療養費を差し引いて、年間の上限額(年間上限の高額療養費についての高額療養費算定基準額)と比較します。
70歳以上の期間に係る年間上限の高額療養費(令41条の3第2項)
- 上記①の額と②の額のうち、70歳以上に受けた療養(継続給付に係る療養を含む)に係る額を合計した額(補足で掲げた額のうち、70歳以上年間世帯支給総額以外は差し引きます)を「70歳以上一部負担金等年間世帯合算額」といいます。
- 70歳以上の期間に係る年間上限の高額療養費については、高額療養費算定基準額を「70歳以上年間高額療養費算定基準額」といいます。
70歳以上一部負担金等年間世帯合算額が70歳以上年間高額療養費算定基準額を超える場合は、それらの差額(この差額が補足における「70歳以上年間世帯支給総額」です)が、70歳以上の期間に係る年間上限の高額療養費として基準日被保険者に支給されます。
健康保険法施行令
第四十一条の三
1 高額療養費は、計算期間において、基準日被保険者又はその被扶養者がそれぞれ当該保険者の被保険者又はその被扶養者として受けた療養(法第九十八条第一項(法第百十条第七項及び第百十一条第三項において準用する場合を含む。)の規定による保険給付に係る療養(次項及び第四十三条の二において「継続給付に係る療養」という。)を含む。)に係る次に掲げる額の合算額(第四十一条第一項から第五項まで又は前条の規定により高額療養費が支給される場合にあっては、当該支給額を控除した額とし、法第五十三条に規定するその他の給付として次に掲げる額に係る負担を軽減するための金品が支給される場合にあっては、当該金品に相当する額を控除した額とする。)から七十歳以上年間世帯支給総額(次項に規定する七十歳以上一部負担金等年間世帯合算額から同項の七十歳以上年間高額療養費算定基準額を控除した額(当該額が零を下回る場合には、零とする。)をいう。)を控除した額(以下この項において「一部負担金等年間世帯合算額」という。)が高額療養費算定基準額を超える場合に基準日被保険者に支給するものとし、その額は、一部負担金等年間世帯合算額から高額療養費算定基準額を控除した額とする。
一 当該療養(特定給付対象療養を除く。)に係る第四十一条第一項第一号イからヘまでに掲げる額(七十歳に達する日の属する月以前の当該療養に係るものにあっては、同一の月にそれぞれ一の病院等から受けた当該療養について二万千円(同条第四項各号に掲げる療養(以下「七十五歳到達時特例対象療養」という。)に係るものにあっては、一万五百円)以上のものに限る。)を合算した額
二 当該療養(特定給付対象療養に限る。)について、当該療養を受けた者がなお負担すべき額(七十歳に達する日の属する月以前の特定給付対象療養に係るものにあっては、当該特定給付対象療養に係る第四十一条第一項第一号イからヘまでに掲げる額が同一の月にそれぞれ一の病院等から受けた当該特定給付対象療養について二万千円(七十五歳到達時特例対象療養に係るものにあっては、一万五百円)以上のものに限る。)を合算した額
2 前項各号に掲げる額のうち、七十歳に達する日の属する月の翌月以後に受けた療養(継続給付に係る療養を含む。)に係る額を合算した額(第四十一条第一項から第五項まで又は前条の規定により高額療養費が支給される場合にあっては、当該支給額を控除した額とし、法第五十三条に規定するその他の給付として前項各号に掲げる額に係る負担を軽減するための金品が支給される場合にあっては、当該金品に相当する額を控除した額とする。以下この項において「七十歳以上一部負担金等年間世帯合算額」という。)が七十歳以上年間高額療養費算定基準額を超える場合は、七十歳以上一部負担金等年間世帯合算額から七十歳以上年間高額療養費算定基準額を控除した額を高額療養費として基準日被保険者に支給する。
第四十三条
(1項~8項、11項、13項省略)
9 歯科診療及び歯科診療以外の診療を併せ行う保険医療機関は、第四十一条及び第四十一条の三の規定の適用については、歯科診療及び歯科診療以外の診療につきそれぞれ別個の保険医療機関とみなす。
12 被保険者(基準日被保険者を除く。)が計算期間において当該被保険者の資格を喪失した場合における第四十一条の三の規定による高額療養費の支給については、当該資格を喪失した日(計算期間において当該資格を喪失した日が複数ある場合にあっては、当該資格を喪失した日のうち最も遅い日)の前日を基準日とみなして、同条並びに前条第十一項及び第十二項の規定を適用する。
令和8年7月29日改正令
附則第十七条
1 新健康保険法施行令第四十三条第十二項に規定する資格を喪失した日が令和八年八月一日である場合における同項の規定の適用については、同項中「当該資格を喪失した日(計算期間において当該資格を喪失した日が複数ある場合にあっては、当該資格を喪失した日のうち最も遅い日)の前日」とあるのは、「当該資格を喪失した日」とする。
(2項省略)
付加給付はない前提で、計算の流れをより直接的な表現で整理しておきます。
- 70歳以上の人の一部負担金等のみで70歳以上の期間に係る年間上限の高額療養費(令41条の3第2項)が支給されるかを先に計算します。
- 「70歳以上一部負担金等年間世帯合算額」が「70歳以上年間高額療養費算定基準額」を超える場合は、それらの差額が①の高額療養費として確定します。
- 世帯に70歳未満の人がいる場合は、70歳未満の期間を含めた年間上限の高額療養費(令41条の3第1項)が支給されるかを計算します。
- 70歳未満の人の一部負担金等と70歳以上の人の一部負担金等とを合算し、②により確定した支給額があれば、その額(及び②以外に確定している高額療養費の支給額)を差し引きます。この差し引き後の額が「一部負担金等年間世帯合算額」です。
- 「一部負担金等年間世帯合算額」が「高額療養費算定基準額」を超える場合は、それらの差額が③の高額療養費として確定します。
- 初回の計算期間は令和8年8月1日から令和9年7月31日までです。
- 標月は「基準日の属する月の標準報酬月額」をいいます。
- ア~オの区分は70歳未満、70歳以上で共通です。一方、カの区分は70歳以上にのみ適用されます。
年間上限の高額療養費の高額療養費算定基準額は、次表のとおりです(令42条11項、12項)
(70歳以上に受けた療養に係る年間上限の名称は、70歳以上年間高額療養費算定基準額となります)
| 所得区分 | 高額療養費算定基準額(年間上限) | |
| ア | 標月83万円以上 | 168万円 |
| イ | 標月53万円以上83万円未満 | 111万円 |
| ウ | 標月28万円以上53万円未満 | 53万円 |
| エ | 標月28万円未満 | 53万円(*6) |
| オ | 低所得者① | 29万円 |
| カ | 低所得者② | 18万円 |
(*6)令和9年8月1日からは、標準報酬月額が16万円未満の被保険者(低所得者①及び②を除く)は41万円となります(令和9年8月1日施行の改正令42条11項4号、12項4号)。ただし、令和8年8月1日から令和9年7月31日までにおいても、基準日の属する月(令和9年7月)の標準報酬月額が16万円未満であると保険者が確認した者については、年間上限41万円が適用されます(令和8年7月29日改正令 附則19条、令和8年7月29日改正則 附則3条)
ちなみに、「計算期間において月単位の高額療養費が一度でも支給されていること」は、年間上限の高額療養費の支給要件ではありません。
また、長期療養者を考慮し、それぞれの所得区分における年間上限は、それぞれの所得区分における「多数回該当の月額 × 12か月」を下回るよう設定されています。
(例えば、各月の自己負担額が月単位の算定基準額85,800円を一度も超えなくとも、自己負担額50,000円 × 12か月のケースは年間上限53万円を超え、新たに高額療養費の支給対象となります)
(このタブ内は試験勉強に直接関係ありません)
厚生労働省のウェブサイトでは、「1,488万円について、見直し前(令和8年7月以前)の自己負担は57.3万円、見直し後(令和8年8月以降)は53.0万円となり、年間で約4.3万円の負担減」と説明されています。

「どういうこと?」と思われた方のために上記の理屈を解説します。
まず、「1,488万円 ÷ 0.3」は、4,960万円です。この4,960万円が総医療費となります。
見直し前(令和8年7月以前)の「70歳未満の高額療養費についての高額療養費算定基準額」は、標月28万円以上53万円未満の区分は「80,100円+(総医療費-267,000円)×1%」となっていました。
- 「80,100円+(49,600,000-267,000円)×1% = 573,430円」となるため、見直し前は約57.3万円の自己負担が生じました。
- 一方、見直し後(令和8年8月以降)は、標月28万円以上53万円未満の高額療養費算定基準額(年間上限)は53万円に設定されます。
①②により、自己負担は、見直しの前後で「年間で約4.3万円の負担減」となります。
特定給付対象療養についての高額療養費
ここからは、特定給付対象療養に係る高額療養費を解説します。
特定給付対象療養に係る一部負担金等の額についても、病院等ごとに医科、歯科に区分して、入院と通院も区別して、1か月単位で合計します。
特定給付対象療養に係る高額療養費は、下記のように、ここまで解説してきた高額療養費とは性質が異なります。
- 公費負担医療を受ける場合は、(限度額適用認定証がなくとも)保険医療機関等が被保険者に代って、当該療養についての高額療養費を保険者に請求します(昭和48年10月30日保発42号)
- 保険者は上記の請求に係る高額療養費を保険医療機関等に支払います(令43条5項から8項まで)
(特定給付対象療養の範囲と、公費負担医療の範囲はおおむね一致します)
なお、公費負担を受ける手続き(例えば、難病の患者に対する特定医療費についての申請)は、それぞれ公費負担医療の定めによります。
公費負担医療

総医療費のうち7割(又は8割)の部分は健康保険による保険給付です。残り3割(又は2割)の部分は患者の自己負担の対象となります。
患者の自己負担の対象額(3割又は2割の部分)のうち、高額療養費算定基準額を超える範囲には、さらに保険給付(高額療養費)が支給されます。
- 患者の自己負担額に対して全額公費負担が行われる場合は、患者の負担額はゼロです。
- 公費負担が一部行われる場合は、受ける医療によって異なりますが、例えば、「患者の自己負担額に相当する額に〇%を乗じた額」のように患者の負担額を計算します。
(原則論としては、高額療養費を含めた保険給付が優先され、保険給付を支給してもなお残る自己負担額に対して公費負担が行われます)
つまり、公費負担医療の対象外であったり、公費負担が一部の場合には「特定給付対象療養に係る一部負担金等の額」を支払うことになります。
この「特定給付対象療養に係る一部負担金等の額」が、ここまで解説してきた高額療養費における「特定給付対象療養について、なお負担すべき額」です。
特定給付対象療養については、「高額療養費算定基準額までは公費負担の対象範囲となり、当該基準額を超える部分は保険給付の範囲となる」と考えると学習しやすいでしょう。
特定給付対象療養
次の療養を合わせて特定給付対象療養といいます(令41条1項2号)
- 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律による一般疾病医療費(原爆一般疾病医療費)の支給その他厚生労働省令で定める医療に関する給付が行われるべき療養
- 被保険者又はその被扶養者が令41条9項の規定による保険者の認定を受けた場合における同項に規定する療養
特定給付対象療養に係る高額療養費としては、次の①②③に分かれます。
- 特定給付対象療養のうち、②及び③を除いた範囲の療養を受けた場合(令41条6項の高額療養費)
- 保険者の認定を受けて、特定疾病給付対象療養を受けた場合(令41条7項の高額療養費)
- 保険者の認定を受けて、長期高額疾病に係る療養を受けた場合(令41条9項の高額療養費)
③の高額療養費は、人工腎臓(人工透析)を実施している慢性腎不全についての一部負担金等の額の軽減が該当します。
当記事では③の高額療養費を「長期高額疾病に係る負担軽減」と表記しています。
試験対策としては、③の勉強を優先してください。
「特定疾病給付対象療養」の範囲に「長期高額疾病に係る負担軽減」は含まれません(令41条7項)
(いずれも特定給付対象療養には含まれます)
マイナ保険証を利用していない場合は、長期高額疾病に係る負担軽減(直前の③)を受けるために「特定疾病療養受療証」が必要となります(保険者の認定を受けて交付されます。いわゆるマル長です)
(マイナ保険証を利用している場合は、長期高額疾病に係る負担軽減を受けるため保険者から認定を受ける必要はありますが、特定疾病療養受療証は必要ありません)
ややこしいことに、特定疾病給付対象療養(直前の②)には「特定疾病療養受療証」は交付されません。
例えば、難病の患者に対する特定医療費(特定疾病給付対象療養に含まれます)については、特定医療費の支給の可否は自治体から認定を受け、高額療養費算定基準額に係る所得区分については保険者から認定を受けるイメージです。
「特定疾病」の文字は「特定疾病給付対象療養」「特定疾病療養受療証」両方にかかるため、その意味は文脈に応じて判断してください。
なお、「特定疾病」の定義は保険制度によっても異なるため、やはり文脈に応じて判断してください。
(例えば、労働保険徴収法における特定疾病、介護保険法における特定疾病、高額療養費における特定疾病はそれぞれ定義が異なります)
令41条6項の対象となる療養は、「原爆一般疾病医療費」のほか「厚生労働省令で定める医療に関する給付」が定められています。
「厚生労働省令で定める医療に関する給付」の範囲は、下のタブに格納しておきます。
令41条1項2号の厚生労働省令で定める医療に関する給付は、次のとおりです(則98条)
一 児童福祉法19条の2第1項の小児慢性特定疾病医療費の支給、同法20条2項の医療に係る療育の給付又は同法21条の5の29第1項の肢体不自由児通所医療費若しくは同法24条の20第1項(同法24条の24第3項において適用する場合を含む。)の障害児入所医療費の支給
二 予防接種法16条1項1号又は2項1号(新型インフルエンザ等対策特別措置法28条5項から7項までの規定により適用される場合を含む。)の医療費の支給
三 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律58条1項の自立支援医療費、同法70条1項の療養介護医療費又は同法71条1項の基準該当療養介護医療費の支給
四 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律30条1項の規定により費用の負担が行われる医療に関する給付
五 削除
六 麻薬及び向精神薬取締法58条の17第1項の規定により費用の負担が行われる医療に関する給付
七 母子保健法20条の養育医療の給付又は養育医療に要する費用の支給
八 独立行政法人医薬品医療機器総合機構法16条1項1号又は20条1項1号の医療費の支給
九 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律37条1項(同法44条の9第1項の規定に基づく政令によって準用される場合を含む。)、第37条の2第1項又は44条の3の2第1項(同法44条の9第1項の規定に基づく政令によって準用される場合を含む。)の規定により費用の負担が行われる医療に関する給付又は当該医療に要する費用の支給
九の二 石綿による健康被害の救済に関する法律4条1項の医療費の支給
九の三 新型インフルエンザ予防接種による健康被害の救済に関する特別措置法4条1号の医療費の支給
九の四 特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法12条1項の定期検査費、同法13条1項の母子感染防止医療費又は同法14条1項の世帯内感染防止医療費の支給
九の五 難病の患者に対する医療等に関する法律5条1項の特定医療費の支給
十 沖縄の復帰に伴う厚生省関係法令の適用の特別措置等に関する政令3条又は4条の医療費の支給
十一 前各号に掲げる医療に関する給付に準ずるものとして厚生労働大臣が定める医療に関する給付
施行規則98条11号の規定に基づき厚生労働大臣が定める医療に関する給付は、次のように定められています(昭和59年9月28日厚告155号)
一 児童福祉法21条の6の措置(同法6条の2の2第2項に規定する児童発達支援のうち、同項に規定する治療を行う施設への措置に限る。)、同法22条1項の助産の実施、同法27条1項3号の措置、同条2項の指定発達支援医療機関への委託措置又は同法33条の一時保護に係る医療の給付
二 削除
三 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律5条6項の主務省令で定める施設又は指定医療機関における医療の給付
四 昭和48年4月17日衛発242号厚生省公衆衛生局長通知「特定疾患治療研究事業について」による治療研究に係る医療の給付
五 昭和59年4月10日衛発266号厚生省公衆衛生局長通知「毒ガス障害者救済対策事業の実施について」による医療費の支給
六 平成元年7月24日健医発896号厚生省保健医療局長通知「先天性血液凝固因子障害等治療研究事業について」による治療研究に係る医療の給付
七 平成4年4月30日環保業227号環境事務次官通知「水俣病総合対策費の国庫補助について」による療養費及び研究治療費の支給
八 平成15年6月6日環保企発030606004号環境事務次官通知「「茨城県神栖町における有機ヒ素化合物による環境汚染及び健康被害に係る緊急措置事業要綱」について」による医療費の支給
九 平成17年5月24日環保企発050524001号環境事務次官通知「メチル水銀の健康影響に係る調査研究事業について」による研究治療費の支給
十 平成20年2月21日保発0221003号厚生労働省保険局長通知「70歳代前半の被保険者等に係る一部負担金等の軽減特例措置の取扱いについて」による医療費の支給
十一 平成20年3月31日健発0331001号厚生労働省健康局長通知「感染症対策特別促進事業について」による肝炎治療特別促進事業に係る医療の給付
十二 平成30年6月27日健発0627第1号厚生労働省健康局長通知「肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業について」による高療該当肝がん・重度肝硬変入院関係医療に係る医療費の支給
十三 新型コロナウイルス感染症(病原体がベータコロナウイルス属のコロナウイルス(令和2年1月に、中華人民共和国から世界保健機関に対して、人に伝染する能力を有することが新たに報告されたものに限る。)であるものに限る。)に係る医療費の支給(検査に要する費用に係る自己負担額に相当する金額に対する給付を含む。)であって、厚生労働省保険局長が定めるもの
十四 都道府県又は市町村(以下「都道府県等」という。)が行う医療に関する給付であつて、前各号に掲げる医療に関する給付に準ずるもの
十五 都道府県等が行う医療に関する給付であつて、社会保険診療報酬支払基金法15条2項に規定する法律による医療に関する給付に準ずるもの
上記タブ内の給付に原爆一般疾病医療費、生活保護法の医療扶助(高額療養費としては令41条8項の対象です)を加えると、公費負担医療の範囲とおおむね一致します。
具体的には、下記通達における「別紙」をご参照ください。
参考|厚生労働省(外部サイトへのリンク)|「公費負担医療が行われる療養に係る高額療養費の支給について」の一部改正について
参考|高額療養費算定基準額
令41条6項の高額療養費に係る高額療養費算定基準額は、次表のとおりです(令42条6項)
なお、75歳到達時特例対象療養については、それぞれ\(\frac{1}{2}\)となります。
| 区分 | 高額療養費算定基準額 | 多数回該当 |
| 70歳未満 | 85,800円+(総医療費-286,000円)×1% | - |
| 70歳以上かつ入院 | 61,500円 | - |
| 70歳以上かつ外来 | 22,000円 | - |
標準報酬月額ではなく年齢で区分されています。
(仮に公費負担がゼロならば、特定給付対象療養に係る患者の自己負担の上限額は、上表の基準額となります)
被保険者又はその被扶養者が生活保護法6条1項の被保護者(現に保護を受けている者をいいます)に該当する場合には、被保護者に係る高額療養費(令41条8項)が適用されます。
被保護者に係る高額療養費には、高額療養費算定基準額として、70歳未満は36,900円、70歳以上かつ入院は15,700円、70歳以上かつ外来療養は8,000円(いずれも多数回該当なし、75歳到達時特例対象療養は\(\frac{1}{2}\))が設定されています(令42条8項)
混乱を招きそうなため補足しておきます。
- 厚生労働省令で定める要保護者は、ここまで解説してきた低所得者①又は②の区分に該当します。一方、被保護者は、令41条8項の高額療養費が個別に適用されますが、高額療養費算定基準額は70歳未満は低所得者①、70歳以上は低所得者②の区分と同額となります。
- また、生活保護法の医療扶助は特定給付対象療養(令41条6項、7項、9項の範囲)に含まれませんが、公費負担医療には含まれます。
「特定疾病給付対象療養」の定義は次のとおりです(令41条7項)
- 特定給付対象療養(当該被保険者又はその被扶養者が令41条9項の規定による保険者の認定を受けた場合における同項に規定する療養を除く。)のうち、治療方法が確立していない疾病その他の疾病であって、当該疾病にかかることにより長期にわたり療養を必要とすることとなるものの当該療養に必要な費用の負担を軽減するための医療に関する給付として厚生労働大臣が定めるものが行われるべきものをいう。
具体的には、下のタブに格納しておきます。
令41条7項の規定に基づき厚生労働大臣が定める医療に関する給付は、次のとおりです(平成21年4月30日厚労告290号)
一号 児童福祉法19条の2第1項の小児慢性特定疾病医療費の支給
二号 難病の患者に対する医療等に関する法律5条1項の特定医療費の支給
三号 昭和48年4月17日衛発242号厚生省公衆衛生局長通知「特定疾患治療研究事業について」による治療研究に係る医療の給付
四号 平成30年6月27日健発0627第1号厚生労働省健康局長通知「肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業について」による高療該当肝がん・重度肝硬変入院関係医療に係る医療費の支給
ちなみに、上記一号から四号までは、いずれも令41条1項2号の厚生労働省令で定める医療に関する給付(令41条6項の解説を参照)に含まれています。
特定疾病給付対象療養に係る高額療養費の対象は、則98条の2による保険者の認定(限度額適用認定として行われます)を受けた(又は受けたとみなされた)被保険者又はその被扶養者です。
特定疾病給付対象療養を受けた場合の高額療養費についても、保険医療機関等が被保険者に代って保険者に請求します(昭和48年10月30日保発42号)
特定疾病給付対象療養も特定給付対象療養に含まれるため、公費負担が一部の場合は「特定給付対象療養について、なお負担すべき額」を負担します。
参考|高額療養費算定基準額
特定疾病給付対象療養に係る高額療養費算定基準額は次表のとおりです(令42条7項)
当記事で解説した70歳未満、70歳以上、75歳到達時特例対象療養を受けた場合それぞれの高額療養費算定基準額と同じです。ここまでの復習を兼ねて読んでみてください。
(仮に公費負担がゼロならば、特定疾病給付対象療養に係る自己負担額の上限は、下記の基準額になります)
70歳未満
| 所得区分 | 高額療養費算定基準額 | 多数回該当 | 75歳到達時 |
| 標月83万円以上 | 270,300円+(総医療費-901,000円)×1% | 140,100円 | 各\(\frac{1}{2}\) |
| 標月53万円以上83万円未満 | 179,100円+(総医療費-597,000円)×1% | 93,000円 | 各\(\frac{1}{2}\) |
| 標月28万円以上53万円未満 | 85,800円+(総医療費-286,000円)×1% | 44,400円 | 各\(\frac{1}{2}\) |
| 標月28万円未満 | 61,500円 | 44,400円 | 各\(\frac{1}{2}\) |
| 低所得者① | 36,900円 | 24,600円 | 各\(\frac{1}{2}\) |
「75歳到達時」は「75歳到達時特例対象療養を受けた場合」の略です。以下同じ。
ちなみに、特定疾病給付対象療養に係る多数回該当は「特定疾病給付対象療養高額療養費多数回該当」といいます(令42条7項)
70歳以上かつ入院
| 所得区分 | 高額療養費算定基準額 | 多数回該当 | 75歳到達時 |
| (負担割合が3割に限る) 標月83万円以上 標月53万円以上83万円未満 標月28万円以上53万円未満 | (注1) | (注1) | (注1) |
| 標月28万円未満 | (注1) | (注1) | (注1) |
| 低所得者① | 25,700円 | (注1) | (注1) |
| 低所得者② | 15,700円 | - | \(\frac{1}{2}\) |
(注1)70歳未満の高額療養費算定基準額と同額です(令42条7項2号)
70歳以上かつ外来
| 所得区分 | 月単位 | 年単位 | 75歳到達時 | |
| (負担割合が3割に限る) 標月83万円以上 標月53万円以上83万円未満 標月28万円以上53万円未満 | (注2) | - | - | |
| 標月28万円未満 | 22,000円 | (注3) | \(\frac{1}{2}\) | |
| 低所得者① | 11,000円 | (注3) | \(\frac{1}{2}\) | |
| 低所得者② | 8,000円 | - | \(\frac{1}{2}\) |
(注2)70歳未満の高額療養費算定基準額と同額です(令42条7項1号)
(注3)特定疾病給付対象療養に係る年単位の基準額はありません。計算期間に支払った外来療養(特定給付対象療養を除く)に係る一部負担金等の額と、外来療養(特定給付対象療養に限る)に係る「なお負担すべき額」とを合計して216,000円又は96,000円を超えるか判断します。
費用が著しく高額な治療を著しく長期間にわたり継続しなければならない疾病として、次の①②③の治療及び疾病が定められています(昭和59年9月28日厚告156号)
- 人工腎臓を実施している慢性腎不全
- 血漿分画製剤(けっしょうぶんかくせいざい)を投与している血友病(先天性血液凝固第Ⅷ因子障害又は先天性血液凝固第Ⅸ因子障害)
- 抗ウイルス剤を投与している後天性免疫不全症候群(HIV感染を含み、厚生労働大臣の定める者に係るものに限る)
③の「厚生労働大臣の定める者」とは、血液凝固因子製剤の投与に起因するHIV感染症に関する医療を受けている者をいいます(平成元年7月31日保険発78号より)
長期高額疾病に係る高額療養費(負担軽減)の対象は、保険者の認定(則99条により、保険者に申請書を提出します)を受けた被保険者又はその被扶養者です。
保険者の認定を受けると、特定疾病療養受療証が交付されます(則99条4項)
特定疾病療養受療証を保険医療機関等の窓口に提示することで、自己負担額が下記の高額療養費算定基準額に軽減されます。
高額療養費算定基準額
(令和8年8月1日施行、令和9年8月1日施行ともに改正はありません)
- 長期高額疾病に係る高額療養費算定基準額は、被保険者又はその被扶養者が同一の月にそれぞれ一つの病院等から受けた療養について、1万円です(令42条9項)
- ただし、70歳未満かつ標準報酬月額が53万円以上の場合は2万円となります(同項)
- なお、直前の②及び③については、国が費用を負担すべき療養に係る疾病(平成18年9月8日厚労告489号)に該当するため、70歳未満かつ標準報酬月額が53万円以上の場合でも高額療養費算定基準額は1万円です(同項)
(75歳到達時特例対象療養については、1万円又は2万円に\(\frac{1}{2}\)を乗じます)
(②及び③は、1万円(又はその\(\frac{1}{2}\))の部分が公費負担の対象です)
なお、長期高額疾病に係る高額療養費については、他の傷病に係る高額療養費と世帯合算された場合を除き支給回数は通算されません(昭和59年9月29日保険発74号)
参考|高額療養費の計算

最後に「70歳未満の人」と「70歳以上の人」がいる世帯で高額療養費の計算手順を解説します。
ここまでの総復習として読んでみてください。
月単位の高額療養費(令41条1項~5項)
月単位の高額療養費は支給基準がより低いものから計算を確定させます。
最終的に令41条1項の高額療養費(75歳到達ではない70歳未満の高額療養費)の計算が必要な場合でも、自己負担額の合計額(世帯単位)から令41条2項~5項により支給される高額療養費を控除することで、一部負担金等世帯合算額を令41条1項の高額療養費の計算に対応させています。
70歳以上の外来年間の高額療養費(令41条の2)
70歳以上の外来(年間)の高額療養費は二重給付とならないように計算されます。
令41条1項~5項の高額療養費による支給額があれば、自己負担額を合算した額から個人に係る支給額(按分及び端数処理の方法は平成29年12月4日保保発1204第2号)を控除します。
言い換えると、月単位の高額療養費を支給しても「なお残る外来に係る自己負担額」を計算期間を通して個人単位で合算し、当該合算した額と高額療養費算定基準額を比較します。
年間上限の高額療養費(令41条の3)
年間上限の高額療養費(令41条の3)も二重給付とならないように計算されます。
- 令41条1項~5項及び令41条の2の高額療養費による支給額があれば、自己負担額の合計額(世帯単位)から当該支給額を控除します。
- 70歳以上の人と70歳未満の人が混在する世帯については、70歳以上の人に係る年間上限の高額療養費(令41条の3第2項)を先に計算し、当該高額療養費による支給額があれば、①の自己負担額の合計額(世帯単位)から追加で控除します。
計算順序のまとめ
情報を整理すると、高額療養費はここまで解説してきたルールに則って、次の①~⑤の順序で計算します(令41条1項~5項、令41条の2)
- 70歳以上の外来(月間)に係る高額療養費を70歳以上の人それぞれ個人単位で計算する(令41条5項)。なお、75歳到達時かつ70歳以上の人については、高額療養費算定基準額を\(\frac{1}{2}\)とする。
- 70歳以上の外来+入院(月間)の高額療養費を70歳以上の人のみの世帯単位(1人の場合は1人世帯)で計算する。なお、75歳到達時の人がいる場合は、当該者に係る高額療養費(令41条4項)を先に確定させる(令41条3項)
- 75歳到達時特例対象療養を受けかつ70歳未満の被扶養者であった者がいる場合は、当該者に係る70歳未満の高額療養費を計算する(令41条2項)
- 70歳以上の人を含めた世帯単位で70歳未満の高額療養費を計算する(令41条1項)
- 70歳以上の外来(年間)に係る高額療養費を70歳以上の人それぞれ個人単位で計算する(令41条の2)
- ①~⑤の計算を終えてから、年間上限の高額療養費を世帯単位で計算する。なお、⑥においても70歳以上の人に係る高額療養費を先にする(令41条の3)
- 「被保険者又はその被扶養者」を単に「人」と表記しています。
- 「一部負担金等の額」と「特定給付対象療養について、なお負担すべき額」を総称して単に「自己負担額」と表記しています。
規定に沿うと、高額療養費は次の①②③の順で計算します。
- 70歳以上の人について、70歳以上の外来療養に係る高額療養費を個人単位で計算します
- 70歳以上の人について、70歳以上の療養(入院を含む)に係る高額療養費を世帯単位で計算します
- 70歳未満の人を含めた同一世帯について、70歳未満の高額療養費を計算します
次の条件で、いずれも多数回該当なし、同一の月(6月)にそれぞれ一つの病院等から受けた療養(すべて歯科診療以外)を前提に解説します。
- 被保険者73歳|標準報酬月額22万円(低所得者①及び②に該当しない)
自己負担額|当月の外来30,000円(年間合計:195,000円)、当月の入院50,000円(入院は当月のみ) - 被扶養者68歳
自己負担額|当月の外来18,000円(年間合計:150,000円)、当月の入院100,000円(入院は当月のみ) - 高額療養費算定基準額(以下「基準額」)
70歳以上(外来)22,000円
70歳以上(世帯単位)61,500円
70歳未満 61,500円
①の計算(令41条5項)
70歳以上の外来に係る自己負担が年間合計195,000円より(216,000円を超えないため)、外来療養についての年間の高額療養費は該当しません。
なお、超えた場合は、基準日(7月31日)にて所得区分を判断します。
①の高額療養費
= 70歳以上(外来)の自己負担 - 70歳以上(外来)の基準額
= 30,000円 ー 22,000円
= 8,000円
①の高額療養費として8,000円の支給が確定します。
②の計算(令41条3項)
①により支給が確定している8,000円は自己負担額から差し引きます。
②の高額療養費
= 70歳以上(外来+入院)の自己負担額 - 70歳以上(世帯単位)の基準額
=外来(30,000円-8,000円) + 入院50,000円 - 61,500円
= 10,500円
②の高額療養費として10,500円の支給が確定します。
参考|70歳以上の高額療養費(外来 + 入院)
= ① + ②
= 8,000円 + 10,500円
= 18,500円
③の計算(令41条1項)
被扶養者(70歳未満)の外来に係る自己負担額は18,000円(21,000円未満)のため、被扶養者の外来に係る自己負担額は高額療養費の計算に算入しません。
①②により支給が確定している18,500円は自己負担額から差し引きます。
③の高額療養費
= 70歳以上の人の自己負担額 + 70歳未満の人の自己負担額 - 70歳未満の基準額
= (80,000円-18,500円)+ 100,000円- 61,500円
= 100,000円
③の高額療養費として100,000円の支給が確定します。
高額療養費の合計額(世帯合計)
= ①+②+③
= 8,000円 + 10,500円 + 100,000円
= 118,500円
118,500円が被保険者に支給されます。
参考|結果論
高額療養費の計算に含める自己負担額の合計(被扶養者の外来18,000円は計上できない)
= 30,000円 + 50,000円 + 100,000円
= 180,000円
上記の合計額 - 70歳未満の基準額
= 180,000円 - 61,500円
= 118,500円
高額療養費の合計額(世帯合計)
= 118,500円
なお、所得区分が低所得者①又は②の場合や、70歳以上の外来療養に係る高額療養費が適用される場合は、高額療養費基準額が70歳未満と70歳以上とで異なるため、結果論で正しく計算できるとは限りません。
参考|年間上限
7月(基準日の属する月)は、7月に係る月単位の高額療養費、70歳以上の外来に係る年単位の高額療養費の支給の有無を確認します。
そして、「8月~7月の自己負担額の合計」から「8月~7月にすでに支給された高額療養費」を差し引いた額を求め、当該差し引き後の額が年間の上限額(先の例では、7月の標準報酬月額に変更がなければ53万円)を超えれば、当該超えた額が年間上限の高額療養費として基準日被保険者に支給されます。

高額療養費の計算順序は令41条1項~5項、41条の2、41条の3を通して示されているため複雑な制度です。
試験勉強においては過去問(事例形式の問題)を中心に勉強してみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
このタブ内は、例年の取扱い(令和9年4月に試験日を公示)であれば令和9年の社労士試験の対象外となります。ご留意ください。
令和9年8月1日からの高額療養費算定基準額は下表となります。
なお、75歳到達時特例対象療養、特定給付対象療養は省略します。
(長期高額疾病に係る負担軽減は、1万円または2万円で変更ありません)
70歳未満
- 所得区分は「83万円以上」「53万円以上83万円未満」「28万円以上53万円未満」「28万円未満」の4区分をそれぞれ3つの区分に細分化(低所得者①を含めると計13区分)
- 多数回該当は、新設された標月16万円未満(44,400円から34,500円に引き下げ)を除き、全て据え置き
| (旧区分:単位 円) | 所得区分(R9.8~) | 高額療養費算定基準額 | 多数回該当 |
| 標月127万円以上 | 342,000円+(総医療費-1,140,000円)×1% | 140,100円 | |
| 標月103万円以上127万円未満 | 303,000円+(総医療費-1,010,000円)×1% | 140,100円 | |
| 83万以上 | 標月83万円以上103万円未満 | 270,300円+(総医療費-901,000円)×1% | 140,100円 |
| 標月71万円以上83万円未満 | 209,400円+(総医療費-698,000円)×1% | 93,000円 | |
| 標月62万円以上71万円未満 | 194,400円+(総医療費-648,000円)×1% | 93,000円 | |
| 53万以上~83万未満 | 標月53万円以上83万円未満 | 179,100円+(総医療費-597,000円)×1% | 93,000円 |
| 標月44万円以上53万円未満 | 110,400円+(総医療費-368,000円)×1% | 44,400円 | |
| 標月36万円以上44万円未満 | 98,100円+(総医療費-327,000円)×1% | 44,400円 | |
| 28万以上~53万未満 | 標月28万円以上53万円未満 | 85,800円+(総医療費-286,000円)×1% | 44,400円 |
| 28万未満 | 標月20万円以上28万円未満 | 69,600円 | 44,400円 |
| 標月16万円以上20万円未満 | 65,400円 | 44,400円 | |
| 標月16万円未満 | 61,500円 | 34,500円 | |
| 低所得者① | 36,900円 | 24,600円 |
70歳以上の世帯単位
- 所得区分は「83万円以上」「53万円以上83万円未満」「28万円以上53万円未満」「28万円未満」の4区分をそれぞれ3つの区分に細分化(低所得者①及び②を含めると計14区分)
- 下表における「〃」は「70歳未満と同額」の意味
| (旧区分:単位 円) | 所得区分(R9.8~) | 高額療養費算定基準額 | 多数回該当 |
| 標月127万円以上 | 70歳未満と同額 | 70歳未満と同額 | |
| 標月103万円以上127万円未満 | 〃 | 〃 | |
| 83万以上 | 標月83万円以上103万円未満 | 〃 | 〃 |
| 標月71万円以上83万円未満 | 〃 | 〃 | |
| 標月62万円以上71万円未満 | 〃 | 〃 | |
| 53万以上~83万未満 | 標月53万円以上83万円未満 | 〃 | 〃 |
| 標月44万円以上53万円未満 | 〃 | 〃 | |
| 標月36万円以上44万円未満 | 〃 | 〃 | |
| 28万以上~53万未満 | 標月28万円以上53万円未満 | 〃 | 〃 |
| 28万未満 | 標月20万円以上28万円未満 | 〃 | 〃 |
| 標月16万円以上20万円未満 | 〃 | 〃 | |
| 標月16万円未満 | 〃 | 〃 | |
| 低所得者① | 25,700円 | 〃 | |
| 低所得者② | 15,700円 | - |
70歳以上の外来
- 標月20万円以上28万円未満の区分は、22,000円(R8改正)から28,000円に引き上げ(年単位は据え置き)
- 標月16万円以上20万円未満の区分は、22,000円(R8改正)から28,000円に引き上げ(年単位は据え置き)
- 標月16万円未満の区分は、年単位を含めて据え置き
- 低所得者①の区分は、11,000円(R8改正)から13,000円に引き上げ(年単位は据え置き)
- 低所得者②の区分は、据え置き(8,000円 × 12か月 = 96,000円で変更なし)
| 旧区分 | 所得区分(R9.8~) | 月単位 | 年単位 | |
| (負担割合が3割の者に限る) 標月28万円以上 | 対象外 | 対象外 | ||
| 28万円未満 | 標月20万円以上28万円未満 | 28,000円 | 216,000円 | |
| 標月16万円以上20万円未満 | 28,000円 | 216,000円 | ||
| 標月16万円未満 | 22,000円 | 216,000円 | ||
| 低所得者① | 13,000円 | 96,000円 | ||
| 低所得者② | 8,000円 | - |
年間上限
- 「オ」の区分(住民税非課税ラインを若干上回る年収層「年収200万円未満」に相当)が新設された(それ以外は変更なし)
- 令和8年8月1日から令和9年7月31日まで(R8年8月改正後の初回の計算期間)においても、基準日の属する月(令和9年7月)の標準報酬月額が16万円未満であると保険者が確認した者については、年間上限41万円が適用される(令和8年7月29日改正令附則19条)
| 所得区分(R9.8~) | 高額療養費算定基準額(年間上限) | |
| ア | 標月83万円以上 | 168万円 |
| イ | 標月53万円以上83万円未満 | 111万円 |
| ウ | 標月28万円以上53万円未満 | 53万円 |
| エ | 標月16万円以上28万円未満 | 53万円 |
| オ | 標月16万円未満 | 41万円 |
| カ | 低所得者① | 29万円 |
| キ | 低所得者② | 18万円 |
前述のとおり、それぞれの所得区分における年間上限は、それぞれの所得区分における「多数回該当の月額 × 12か月」を下回るよう設定されています(例えば、44,400円 × 12か月 = 532,800円となります)
また、多数回該当の月額は令和8年7月以前の額から変わらない(標月16万円未満は引き下げる)ため、令和8年7月以前から多数回該当が適用されている人は、その状態が続く限り、令和8年8月改正、令和9年8月改正によっても自己負担額は増えません。
制度改正により月間の高額療養費算定基準額は引き上げられるため、負担減(機能の強化)を切り取るつもりはありませんが、「とりわけ長期にわたって継続的に療養を受ける者の家計に与える影響」は考慮されています。
(参考資料等)
厚生労働省|厚生労働省法令等データベースサービスより|https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/kensaku/index.html
- 健康保険法
- 健康保険法施行令
- 健康保険法施行規則
- 平成21年4月30日厚労告290号(健康保険法施行令第四十一条第七項の規定に基づき厚生労働大臣が定める医療に関する給付)
- 昭和59年9月28日厚生省告示156号(健康保険法施行令第四十一条第九項の規定に基づき厚生労働大臣が定める治療及び疾病)
- 平成18年9月8日厚労告489号(健康保険法施行令第四十二条第九項第二号の規定に基づき厚生労働大臣が定める疾病)
- 昭和59年9月28日厚生省告示155号(健康保険法施行規則第九十八条第十一号及び船員保険法施行規則第八十六条第十二号の規定に基づき厚生労働大臣が定める医療に関する給付)
- 昭和59年9月28日厚生省告示157号(健康保険法施行規則第百六条第一項第八号及び第百七条第十号並びに船員保険法施行規則第九十六条第一項第八号及び第九十七条第十号の規定に基づき厚生労働大臣が定める医療に関する給付)
- 昭和48年4月17日衛発242号(特定疾患治療研究事業について)
- 昭和48年10月30日保発42号(公費負担医療が行われる療養に係る高額療養費の支給について)
- 平成1年7月31日保険発78号(先天性血液凝固因子障害等治療研究事業に係る治療研究費の支給が行われるべき治療を受けた場合の高額療養費の支給について)
- 昭和59年9月29日保険発74号(高額療養費制度の改正に伴う支給事務手続等について)
- 平成29年12月4日保保発1204002号(健康保険における外来療養に係る年間の高額療養費の支給等の事務の取扱いについて)
- 平成30年7月30日事務連絡(「高額療養費制度の見直しに関するQ&A」の更新について)


