社労士試験の独学|健康保険法|保険医療機関等の指定、保険医等の登録

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まえがき

この記事では、健康保険法における次の事項を解説しています。

  • 保険医療機関又は保険薬局の指定
  • 保険医又は保険薬剤師の登録

記事中の略語は、それぞれ次の意味で使用しています。

  • 法、この法律 ⇒ 健康保険法
  • 令 ⇒ 健康保険法施行令
  • 則 ⇒ 健康保険法施行規則
  • 薬機法 ⇒ 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律
  • 指定・登録省令 ⇒ 保険医療機関及び保険薬局の指定並びに保険医及び保険薬剤師の登録に関する省令
  • 療養担当規則 ⇒ 保険医療機関及び保険医療養担当規則
  • 薬担規則 ⇒ 保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則

当記事は、条文等の趣旨に反するような極端な意訳には注意しておりますが、厳密な表現と異なる部分もございます。

詳しくは免責事項をご確認ください。

用語の定義

はじめに用語の定義です。


病院、診療、薬局

病院、診療所、薬局
  • 病院」とは、医師又は歯科医師が、公衆又は特定多数人のため医業又は歯科医業を行う場所で、20人以上の患者を入院させるための施設を有するものをいいます(医療法1条の5第1項)
  • 「診療所」とは、医師又は歯科医師が、公衆又は特定多数人のため医業又は歯科医業を行う場所で、患者を入院させるための施設を有しないもの(*1)又は19人以下の患者を入院させるための施設を有するものをいいます(医療法1条の5第2項)
  • 薬局」とは、薬剤師が販売又は授与の目的で調剤の業務並びに薬剤及び医薬品の適正な使用に必要な情報の提供及び薬学的知見に基づく指導の業務を行う場所(その開設者が併せ行う医薬品の販売業に必要な場所を含む)をいいます。ただし、病院又は診療所の調剤所は除きます(薬機法2条12項)

(*1)患者がオンライン診療を受けられるよう、公共施設などに設置された専用のスペース(オンライン診療受診施設は除きます

ごくごく単純化すると、病床(患者用のベッド)の数が20以上は「病院」、0〜19は「診療所(クリニック)」です。

また、病床の種別は、次の①~⑤に分類されています(医療法7条2項)

  • 精神病床(精神疾患を有する者を入院させるための病床)
  • 感染症病床(一類感染症、二類感染症、新型インフルエンザ等感染症及び指定感染症の患者並びに新感染症の所見がある者を入院させるための病床。③を除く)
  • 結核病床(結核の患者を入院させるための病床)
  • 療養病床(①〜③以外で、主として長期にわたり療養を必要とする患者を入院させるための病床)
  • 一般病床(①~④以外の病床)

(①~③は病院の病床、④⑤は病院又は診療所の病床です)


保険医療機関、保険薬局

  • 保険医療機関」とは、厚生労働大臣の指定を受けた病院又は診療所をいいます(法63条3項1号)
  • 保険薬局」とは、厚生労働大臣の指定を受けた薬局をいいます(法63条3項1号)

この記事では保険医療機関、保険薬局を総称して、保険医療機関等と表記しています。

法令に「保険医療機関」又は「保険薬局」とあれば、厚生労働大臣の指定を受けた病院、診療所、薬局を指します。

例えば、「療養の給付」を受けようとする者は、次の①〜③のうち、自己の選定するものから、電子資格確認等により資格の確認を受け、給付を受けることになっています(法63条3項)

  • 保険医療機関又は保険薬局(一般に開放されていて、健康保険が適用される病院、診療所、薬局です)
  • 特定の保険者が管掌する被保険者に対して診療又は調剤を行う病院若しくは診療所又は薬局であって、当該保険者が指定したもの(健康保険組合を設立した企業が自ら開設者となる病院、診療所、薬局が該当します。以下、事業主医療機関等と表記します)
  • 健康保険組合が開設する病院若しくは診療所又は薬局(健康保険組合が自ら開設者となる病院、診療所、薬局が該当します。以下、組合開設病院等と表記します)

②及び③の趣旨

保健医療機関、保険薬局

次のいずれかの場合は、②事業主医療機関等又は③組合開設病院等であっても、保険医療機関等の指定を受ける必要があります(昭和32年9月2日保険発123号)

  • ②の事業主医療機関等が、当該組合の被保険者(組合員以外に対して診療等を行う
  • ③の組合開設病院等が、当該組合の被保険者(組合員以外に対して診療等を行う

なお、②においても、「特定の保険者が管掌する被保険者」に対して平等に診療等を行う必要があります(前掲通達)

そのため、協会管掌の事業主がその従業員のために診療所(又は病院、薬局)を開設しても、②の事業主医療機関等とはなりません(前掲通達)

(保険者が〇〇健保組合であれば、当該〇〇健保の組合員である従業員に限定しても、平等に診療等を行えます。一方、保険者としての協会けんぽは一つしかないため、全てに対して平等と当該従業員に限定とは両立できません)

また、保険医療機関等は、全ての被保険者及び被扶養者の診療等を行う必要があります(前掲通達)

そのため、②又は③が保険医療機関等の指定を受けた場合は、診療等の範囲を一部の被保険者及び被扶養者に限定はできません(前掲通達)

(厳密には、平成28年3月4日保医発0304第16号により、②又は③に限らず病床の無い診療所のうち一定のものは、在宅医療のみを実施する場合でも、保険医療機関の指定が認められています)

この記事は、①保険医療機関等(②かつ①、③かつ①を含む)の解説となります。


保険医、保険薬剤師

保険医、保険薬剤師
  • 保険医」とは、厚生労働大臣の登録を受けた医師又は歯科医師をいいます(法64条)
  • 保険薬剤師」とは、厚生労働大臣の登録を受けた薬剤師をいいます(法64条)

以降の解説では、次の①②が前提となります(法64条)

  • 保険医療機関において健康保険の診療に従事する医師又は歯科医師は、「保険医」でなければならない。
  • 保険薬局において健康保険の調剤に従事する薬剤師は、「保険薬剤師」でなければならない。

保険医療機関の管理者

保健医療機関の管理者

保険医療機関の管理者」は、次の①②いずれにも該当する必要があります(法70条の2第1項)

  • 保険医である。
  • 医師法による臨床研修又は歯科医師法による臨床研修の修了後に、保険医療機関(医師の場合は、病院に限る)において保険医として3年以上診療に従事した経験があるなど厚生労働省令で定める要件を備えている。

(いわゆる院長先生になるには、令和8年4月1日以降は一定の要件が課されます)

ちなみに、病院又は診療所の管理者は医療法に、薬局の管理者は薬機法に規定されています。

なお、保険薬局の管理者ついては、保険医療機関の管理者のような健康保険法による要件は課されていません。

②の要件の範囲、①②への経過措置は、それぞれ下のタブに格納しておきます。

直前の②の要件(保険医であることの他に必要な要件)は、医師法による臨床研修又は歯科医師法による臨床研修を修了した者であって、次のいずれかに該当すること となります(療養担当規則11条の4)

(法63条3項2号の病院等は「事業主医療機関等」です。また、3号の病院等は「組合開設病院等」です)

  • 保険医療機関(医師の場合は、病院に限る)において保険医として3年以上診療に従事した経験のある者
  • 法63条3項2号又は3号に掲げる病院又は診療所(医師の場合は、病院に限る)において3年以上診療に従事した経験のある者
  • 医療法30条の23第2項1号に規定する計画(医師の確保に関する計画)の適用を受け、現に当該計画に基づき診療に従事している者又は当該計画の適用後3年以内の者
  • 一般社団法人日本専門医機構が認定する基本領域の専門医の資格を持つ者その他これに準ずる者
  • 矯正医官、医師又は歯科医師である自衛官その他の公務員として5年以上勤務した経験のある者
  • ①、②又は⑤の要件のうちいずれかの要件に係る期間の合計が5年を超える者
  • 緊急に保険医療機関の管理者の地位を承継する者その他やむを得ない事由がある者

⑤の公務員の例として、法務省の矯正医官(刑務所などの矯正施設で診療をする医師)、医科・歯科幹部自衛官、外務省の在外公館医務官、厚生労働省の医系技官・検疫医官、各自治体の公衆衛生医師、特別職の国家・地方公務員などと示されています(令和8年3月19日保医発0319第4号)


令和7年法律87号(以下、改正法)附則により、次の経過措置が設けられています(規定は要約です)

  • 施行日(令和8年4月1日。以下同じ)において現に保険医療機関の管理者である者は、施行日から3年間(引き続き管理者である間に限る)は直前の①及び②を満たさなくとも、保険医療機関の管理者であり続けることが可能です(改正法附則7条)
  • 施行日において臨床研修等修了医師又は臨床研修等修了歯科医師である者には、「3年以上診療」を「3年以上診療その他管理及び運営に関する業務」と読み替えます(改正法附則8条)

下段の「診療その他管理及び運営に関する業務」とは、あくまで診療を基本として行われる、保険医療機関の管理及び運営等の幅広い業務を指すと示されています(令和8年3月19日保医発0319第4号)


法律の総称

具体的な範囲は下のタブに格納しておきます。必要に応じて開閉してください。

主に「指定」や「登録」の欠格事由を定めた規定で使用される用語です。

次の①~④の法律を総称して「この法律以外の医療保険各法」といいます(法70条2項)

  • 船員保険法
  • 国民健康保険法
  • 国家公務員共済組合法
  • 地方公務員等共済組合法

次の①~⑭の法律を総称して「その他国民の保健医療に関する法律で政令で定めるもの」といいます(令33条の3)

  • 船員保険法
  • 国民健康保険法
  • 高齢者の医療の確保に関する法律
  • 国家公務員共済組合法
  • 地方公務員等共済組合法
  • 私立学校教職員共済法
  • 医師法
  • 歯科医師法
  • 保健師助産師看護師法
  • 薬剤師法
  • 医療法
  • 薬機法
  • 再生医療等の安全性の確保等に関する法律
  • 臨床研究法

用語の定義は以上です。


保険医療機関、保険薬局

病床の種別ごとの申請

ここからは、保険医療機関又は保険薬局として、厚生労働大臣の指定を受ける場面を解説します。


指定

  • 保険医療機関又は保険薬局の指定は、「病院若しくは診療所」又は「薬局」の開設者の申請により行う(法65条1項)
  • 病院又は病床を有する診療所に係る上記の申請は、病床の種別ごとにその数を定めて行う(法65条2項)

以降、病院、診療所を総称する場合に「病院等」と表記します。

厚生労働大臣による保険医療機関等の指定の権限は、管轄の地方厚生局長等(地方厚生局長又は地方厚生支局長)に委任されています(則159条、指定・登録省令2条)

指定の拒否事由

厚生労働大臣は、保険医療機関等の指定の申請があった場合において、次のいずれかに該当するときは、指定をしないことができます(法65条3項)

  • 当該申請に係る病院等又は薬局が、この法律の規定により保険医療機関等の指定を取り消され、その取消しの日から5年を経過していない
  • 当該申請に係る病院等又は薬局が、保険給付に関し診療又は調剤の内容の適切さを欠くおそれがあるとして重ねて厚生労働大臣の指導後述)を受けた。
  • 当該申請に係る病院等又は薬局の「開設者又は管理者」が、この法律その他国民の保健医療に関する法律で政令で定めるものの規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者に該当する。
  • 当該申請に係る病院等又は薬局の「開設者又は管理者」が、拘禁刑以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者に該当する。
  • 当該申請に係る病院等又は薬局の「開設者又は管理者」が、社会保険料について、当該申請をした日の前日までに滞納処分を受け、かつ、当該処分を受けた日から正当な理由なく3か月以上の期間にわたり、当該処分を受けた日以降に納期限の到来した社会保険料の全て(当該処分に係る法律による社会保険料に限る)を引き続き滞納している。
  • ①〜⑤のほか、当該申請に係る病院等又は薬局が、保険医療機関又は保険薬局として著しく不適当と認められる。

なお、①に該当しても5年を待たずに再指定されるケース(後述)はあります。

③④は「刑の執行が終る」に至っていない者や、「刑の執行を受けることがなくなる(確定した刑の消滅時効が完成するなど)」に至っていない者が該当します。

⑤の社会保険料とは、社会保険各法(詳細は下記のタブを参照)の定めにより納付義務を負う保険料、負担金又は掛金(国保税を含む)をいいます。

(健康保険法における)社会保険各法の範囲は、下記になります(法65条3項5号)

  • 健康保険法
  • 船員保険法
  • 国民健康保険法
  • 高齢者の医療の確保に関する法律
  • 地方公務員等共済組合法
  • 私立学校教職員共済法
  • 厚生年金保険法
  • 国民年金法

指定に係る病床の除外

厚生労働大臣は、「病院」又は「病床を有する診療所」について保険医療機関の指定の申請があった場合において、次のいずれかに該当するときは、その申請に係る「病床」の全部又は一部を除いて指定することができます(法65条4項)

  • 当該病院等の医師、歯科医師、看護師その他の従業者の人員が、一定の員数(医療法施行規則19条、平成10年7月27日厚生省告示210号)を満たしていない。
  • 当該申請に係る病床の種別に応じ、一定の地域(医療法7条の2)における保険医療機関の病床数が、当該申請に係る指定により、基準病床数を勘案して定めた方法(平成10年7月27日厚生省告示211号)により算定した数を超えると認める場合(既に超えている場合を含む)であって、当該病院等の開設者又は管理者が都道府県知事の勧告(医療法30条の11第1項)を受け、これに従わない
  • 構想区域における保険医療機関の病床数が、当該申請に係る指定により、医療計画において定める将来の病床数の必要量を勘案して定めた方法(平成30年7月25日厚生労働省告示281号)により算定した数を超えると認める場合(既に超えている場合を含む)であって、当該病院等の開設者又は管理者が都道府県知事の勧告(医療法30条の11第1項)を受け、これに従わない
  • その他適正な医療の効率的な提供を図る観点から、当該病院等の病床の利用に関し、保険医療機関として著しく不適当と認められる。
指定に係る病床の除外

制度の趣旨を含め、②③を補足します。

  • 地域における病床の機能の分化及び連携(病床の役割を分けるだけでなく、状況に応じて連携させる)を推進するため、一定の基準に従い定められた区域を「構想区域」といいます(医療法30条の4)
  • 都道府県は、当該都道府県における医療提供体制の確保を図るための計画(医療計画)を定めます(同条)
  • 「医療計画」では、②の基準病床数に関する事項や、構想区域における将来の医療提供体制に関する構想(地域医療構想)に関する事項などを定めます(同条)
  • 「地域医療構想」には、③の構想区域における病床の機能区分ごとの「将来の病床数の必要量」が含まれます(同条)
  • 都道府県知事は、医療計画の達成の推進のため特に必要がある場合には、病院等の開設者又は管理者に対して、病院等の病床数の増加や、病院の病床の種別の変更等に関して勧告できます(医療法30条の11第1項)。この勧告を受け、従わなかった場合が②③です。

構想区域においては、病床の機能の区分(医療法施行規則30条の33の2の5に基づき、高度急性期、急性期、回復期、慢性期に区分されています)ごとに病床の必要量を推計する(計画を立てる)のがポイントです。

参考|厚生労働省(外部サイトへのリンク)|地域医療構想の基本的な進め方について(PDF)

病床数の増加、病床数の種別の変更(指定の変更)

  • 「病院」又は「病床を有する診療所」の開設者は、保険医療機関の指定に係る病床数の増加又は病床の種別の変更をしようとするときは、指定の変更を申請しなければならない(法66条1項)
  • 指定に係る病床の除外(法65条4項)は、指定の変更の申請について準用する(法66条2項)

指定の更新の申請

更新の申請
  • 保険医療機関等の指定は、指定の日から起算して6年を経過したときは、その効力を失う(法68条1項)
  • 保険医療機関(病院及び病床を有する診療所除く)又は保険薬局であって厚生労働省令で定めるものは、①によりその指定の効力を失う日前6か月から同日前3か月までの間に、別段の申出がないときは、保険医療機関等の指定の申請があったとみなす(法68条2項)

②の保険医療機関又は保険薬局とは、「保険医の開設する診療所である保険医療機関」又は「保険薬剤師の開設する保険薬局」であって、次のいずれかに該当するものをいいます(指定・登録省令9条)

  • その指定を受けた日からおおむね引き続き「開設者である保険医又は保険薬剤師」のみが診療又は調剤に従事している。
  • その指定を受けた日からおおむね引き続き「開設者である保険医又は保険薬剤師」及び「その者と同一の世帯に属する配偶者、直系血族、兄弟姉妹のいずれかである保険医又は保険薬剤師」のみが診療又は調剤に従事している。

簡単にいうと、②は個人経営の病床がない診療所」又は「薬局」を対象とした制度です。

②(後述の期限付指定を受けた診療所を除く)に該当する場合は、指定の申請(管轄地方厚生局長等に対し、保険医療機関等の指定について申請書を提出する手続)をしなくとも、更新の申請があったとみなされます

一方、②に該当せず、引き続き保険医療機関等の指定を受けようとするときは、更新の申請が必要です(初回の指定と同じような申請をします)


期限付指定

診療所への期限付指定

厚生労働大臣は、診療所の開設者又は管理者が次の①~③いずれかに該当するときは、保険医療機関の指定に3年以内の期限を付すことができます(法68条の2第1項)

  • 都道府県知事から地域外来医療の提供をすべき旨の要請を受け、これに応じなかった場合
  • 都道府県知事から地域外来医療の提供をすべき旨の勧告を受けた場合
  • ②の勧告に従わなかった場合

(指定・登録省令9条の2に基づき、一律に3年ではなく、①~③に応じて3年又は2年の期限が付されます)

なお、期限付指定を受けた診療所は、更新の申請があったとみなす取扱い(前述)は適用されません(法68条の2第2項)

制度の趣旨を中心に、上記①~③における都道府県知事による「要請」「勧告」を補足します。

  • 地域において特に必要とされる外来医療を「地域外来医療」といいます(医療法30条の18の5第1項)
  • 都道府県知事は、特に地域外来医療の確保を必要とする区域があるときは、当該区域(外来医師過多区域)を指定します(医療法30条の18の6第1項、同法施行規則1条の14)
  • 都道府県知事は、上記の区域において、診療所(医業を行う場所で入院施設を有しないものに限る)を開設しようとする者が当該区域における「地域外来医療」の提供をしない意向を示しているときは、当該者に対し、理由等を説明をするよう求めることができます(同条4項)
  • 都道府県知事は、上記の理由等がやむを得ないものと認められないときは、当該者に対し、期限を定めて、外来医師過多区域における「地域外来医療」の提供をすべきことを要請できます(同条6項)。この要請を受け、応じなかった場合が①です。
  • 都道府県知事は、上記の要請を受けた者が、要請に係る地域外来医療の提供をしていないと認めるときは、当該者に対し、理由等を説明をするよう求めることができます(同条7項)
  • 都道府県知事は、上記の理由等がやむを得ないものと認められないときは、当該者に対し、要請に係る「地域外来医療」の提供をすべきことを勧告できます(同条9項)。この勧告を受けた場合が②、勧告に従わなかった場合が③です。

(遠回しな表現を避けていうと、医師の偏在を是正するため、新規開業に規制を加える制度です)


みなし指定

保健医療機関等のみなし指定

次のいずれにも該当する場合、当該医師若しくは歯科医師又は薬剤師について保険医又は保険薬剤師の登録があったときは、当該診療所又は薬局について、保険医療機関等の指定があったとみなします(法69条)

  • 医師若しくは歯科医師又は薬剤師の開設した診療所又は薬局である。
  • 開設者(*2)である医師若しくは歯科医師又は薬剤師のみが診療又は調剤に従事している

(*2)都道府県知事から地域外来医療の提供をすべき旨の要請(直前の①の要請を受け、これに応じなかった者を除きます

ただし、当該診療所又は薬局が「指定の拒否事由」又は「指定に係る病床の除外」に該当し、厚生労働大臣が不適当と認めるときは、みなし指定は行われません(同条ただし書)

(上記ただし書の最後は、厳密には「この限りでない」です)


指定の辞退、指定の取消

辞退

保険医療機関又は保険薬局は、1か月以上の予告期間を設けて、その指定を辞退できます(法79条1項)

何かしらの制約を課す規定ではなく、(診療・調剤は行っても)もう保険診療・保険調剤を行わない場合には、指定を辞退します。

取消

保健医療機関等の指定の取消事由

厚生労働大臣は、次のいずれかに該当する場合においては、保険医療機関等の指定を取り消すことができます(法80条)

  • 保険医療機関において診療に従事する保険医又は保険薬局において調剤に従事する保険薬剤師が、保険医又は保険薬剤師の責務(法72条1項。後述に違反したとき(*3)
  • 保険医療機関の管理者が、保険医療機関の管理者の責務(法70条の2第2項。後述に違反したとき(*3)
  • ①②のほか、保険医療機関又は保険薬局が、保険医療機関又は保険薬局の責務(法70条1項。後述に違反したとき。
  • 療養の給付等に関する費用の請求について不正があったとき。
  • 保険医療機関又は保険薬局が、厚生労働大臣による質問検査等(法78条1項。後述)により報告若しくは診療録その他の帳簿書類の提出若しくは提示を命ぜられてこれに従わず、又は虚偽の報告をしたとき。
  • 保険医療機関又は保険薬局の開設者又は従業者が、厚生労働大臣による質問検査等(法78条1項。後述)により出頭を求められてこれに応ぜず、質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の答弁をし、又は検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき(*3)
  • この法律以外の医療保険各法による療養の給付若しくは被保険者若しくは被扶養者の療養又は高齢者の医療の確保に関する法律による療養の給付、入院時食事療養費に係る療養、入院時生活療養費に係る療養若しくは保険外併用療養費に係る療養に関し、①~⑥のいずれかに相当する事由があったとき。
  • 保険医療機関又は保険薬局の開設者又は管理者が、この法律その他国民の保健医療に関する法律で政令で定めるものの規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者に該当するに至ったとき。
  • 保険医療機関又は保険薬局の開設者又は管理者が、拘禁刑以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者に該当するに至ったとき。
  • ①~⑨のほか、保険医療機関又は保険薬局の開設者が、この法律その他国民の保健医療に関する法律で政令で定めるもの又はこれらの法律に基づく命令若しくは処分に違反したとき。

(*3)①は保険医療機関又は保険薬局が、②は保険医療機関の管理者が、⑥はその行為をした者が従業者の場合における当該保険医療機関又は保険薬局が、それぞれ当該違反を防止するため、相当の注意及び監督を尽くしたときを除きます。

再指定

健康保険法の規定により保険医療機関等の指定を取り消され、その取消しの日から5年を経過していない場合は、指定の拒否事由(前述)になります。

ただし、通達にて、次のような取扱いが定められています。

  • 地域医療の確保を図るため特に必要で、不正又は著しい不当に関わった診療科が相当の期間保険診療を行わない場合には、指定の取消処分と同時に又は一定期間経過後に、保険医療機関等として再指定をすることができる(平成7年12月22日保発117号)
  • 病院等又は薬局が、離島過疎地域を含む市町村(人口5万人以上を除く)にある場合や、地域医療の確保を図るために指定をしないと支障が生じる場合には、2年未満で再指定をすることができる(平成10年7月27日老発485号)
  • 療養の給付等に関する費用の請求について不正を行ったが、その不正が軽微だと認められる場合は、2年以上5年未満で再指定をすることができる(前掲通達)

(保険医又は保険薬剤師の再登録については、前掲通達により中段及び下段と同旨の取扱いが定められています)


諮問等

指定に係る地医協への諮問・議決

(保険医又は保険薬剤師の登録は後述します)

厚生労働大臣は、次のいずれかの場合には、(事前に)地方社会保険医療協議会議を経る必要があります(法67条)

  • 保険医療機関又は保険薬局の指定をしない
  • 指定の申請に係る病床の全部又は一部を除いて指定(指定の変更を含む)する。

上記①②を行おうとするときは、厚生労働大臣は、当該医療機関又は薬局の開設者に対し、あらかじめ書面で日時、場所及びその事由を通知し、弁明の機会を与える必要があります(法83条)

一方、次のいずれかの場合には、厚生労働大臣は、政令で定めるところにより、(事前に)地方社会保険医療協議会諮問することになっています(法82条2項)

  • 保険医療機関等の指定を行う
  • 保険医療機関等の指定を取り消す

上記の諮問は、政令(更に指定・登録省令に委任)により、所在地を管轄する地方厚生局長等が行います(指定・登録省令4条)

保険医療機関、保険薬局の指定は以上です。


保険医、保険薬剤師

保険医等の登録

ここからは、保険医又は保険薬剤師の登録を受ける場面に移ります。


登録

  • 保険医又は保険薬剤師の登録は、医師若しくは歯科医師又は薬剤師の申請により行います(法71条1項)
  • 保険医及び保険薬剤師の登録に有効期間はありません(登録の抹消又は取消が無い限り有効です)

厚生労働大臣による保険医及び保険薬剤師の登録の権限は、管轄の地方厚生局長等に委任されています(則159条、指定・登録省令11条)

登録の拒否事由

登録拒否事由(罰金、拘禁刑)

厚生労働大臣は、保険医又は保険薬剤師の登録の申請があった場合において、次のいずれかに該当するときは、登録をしないことができます(法71条2項)

  • 申請者が、健康保険法の規定により保険医又は保険薬剤師の登録を取り消され、その取消しの日から5年を経過していない
  • 申請者が、この法律その他国民の保健医療に関する法律で政令で定めるものの規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者に該当する。
  • 申請者が、拘禁刑以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者に該当する。
  • ①〜③のほか、申請者が、保険医又は保険薬剤師として著しく不適当と認められる。

登録の抹消、登録の取消

抹消

保険医又は保険薬剤師は、1か月以上の予告期間を設けて、その登録の抹消を求めることができる(法79条2項)

何かしらの制約を課す規定ではなく、(診療・調剤は行っても)もう保険診療・保険調剤を行わない場合には、登録を抹消します。

取消

保険医等の登録の取消事由

厚生労働大臣は、次のいずれかに該当する場合においては、当該保険医又は保険薬剤師の登録(②の場合は、保険医療機関の管理者の保険医に係る登録)を取り消すことができます(法81条)

  • 保険医又は保険薬剤師が、保険医又は保険薬剤師の責務(法72条1項。後述に違反したとき。
  • 保険医療機関の管理者が、保険医療機関の管理者の責務(法70条の2第2項。後述に違反したとき(当該違反を防止するため、管理者として、相当の注意及び監督を尽くしたときを除く)
  • 保険医又は保険薬剤師が、厚生労働大臣による質問検査等(法78条1項。後述)に対し、出頭を求められてこれに応ぜず、質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の答弁をし、又は検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。
  • この法律以外の医療保険各法又は高齢者の医療の確保に関する法律による診療又は調剤に関し、①〜③のいずれかに相当する事由があったとき。
  • 保険医又は保険薬剤師が、この法律その他国民の保健医療に関する法律で政令で定めるものの規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者に該当するに至ったとき。
  • 保険医又は保険薬剤師が、拘禁刑以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者に該当するに至ったとき。
  • ①~⑥のほか、保険医又は保険薬剤師が、この法律その他国民の保健医療に関する法律で政令で定めるもの又はこれらの法律に基づく命令若しくは処分に違反したとき。

前述のとおり、健康保険法の規定により保険医又は保険薬剤師の登録を取り消され、その取消しの日から5年を経過していない場合は、登録の拒否事由になります。

(離島や過疎地域において医師がいなくなる場合など、通達(再指定の解説を参照)により2年又は3年で再登録されるケースはあり得ます)


諮問等

登録に係る地医協への諮問・議決

(保険医療機関、保険薬局の指定は、前述の解説をご参照ください)

  • 厚生労働大臣は、保険医又は保険薬剤師の登録をしないこととするときは、地方社会保険医療協議会議を経なければならない(法71条3項)
  • 厚生労働大臣は、保険医又は保険薬剤師の登録を取り消そうとするときは、政令で定めるところにより、地方社会保険医療協議会諮問するものとする(法82条2項)

厚生労働大臣は、①の登録拒否をするときには、当該保険医又は保険薬剤師に対し、あらかじめ書面で日時、場所及びその事由を通知し、弁明の機会を与える必要があります(法83条)

②における登録の取消をするときの諮問は、政令(更に指定・登録省令に委任)により、登録に関する管轄地方厚生局長等が行います。

保険医又は保険薬剤師の登録は以上です。


責務等

中医協への諮問

以降の「厚生労働省令」は、次の二つの規則を指します。

  • 療養担当規則(保険医療機関及び保険医療養担当規則)
  • 薬担規則(保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則)

厚生労働大臣は、以降の厚生労働省令を定めようとするときは、中央社会保険医療協議会諮問することになっています(法82条1項)


保険医療機関又は保険薬局の責務

保険医療機関又は保険薬局の責務は下記になります(法70条)

  • 保険医療機関又は保険薬局は、当該保険医療機関において診療に従事する保険医又は当該保険薬局において調剤に従事する保険薬剤師に、厚生労働省令の定めにより、診療又は調剤に当たらせるほか、厚生労働省令の定めにより、療養の給付を担当しなければならない。
  • 保険医療機関又は保険薬局は、①のほか、この法律以外の医療保険各法による療養の給付並びに被保険者及び被扶養者の療養並びに高齢者の医療の確保に関する法律による療養の給付、入院時食事療養費に係る療養、入院時生活療養費に係る療養及び保険外併用療養費に係る療養を担当するものとする。
  • 保険医療機関のうち特定機能病院等(*4)は、保険医療機関相互間の機能の分担及び業務の連携のため厚生労働省令で定める措置(*5)を講ずるものとする。
  • 保険医療機関又は保険薬局は、新型インフルエンザ等感染症その他の感染症に関する医療その他必要な医療の実施について、国又は地方公共団体が講ずる措置に協力するものとする。

(*4)特定機能病院(特定機能病院であれば、病床数は400以上です)のほか、地域医療支援病院(一般病床の数が200未満の病院を除く)、一定の外来機能報告対象病院等(一般病床の数が200未満の病院を除く)が含まれます(療養担当規則5条3項、医療法施行規則6条の5)

(*5)患者の事情に応じた適切な他の保険医療機関を紹介すること(いわゆる逆紹介)、一定の選定療養に関し追加の金額の支払を求めることをいいます(療養担当規則5条3項)

①への違反は、指定の取消(前述)の対象です。

書類の保存期間

保険医療機関は、療養の給付の担当に関する帳簿及び書類その他の記録はその完結の日から3年間、患者の診療録はその完結の日から5年間保存しなければなりません(療養担当規則9条)

保険薬局は、患者に対する療養の給付に関する処方箋及び調剤録をその完結の日から3年間保存しなければなりません(薬担規則6条)


保険医又は保険薬剤師の責務

保険医又は保険薬剤師の責務は下記になります(法72条)

  • 保険医療機関において診療に従事する保険医又は保険薬局において調剤に従事する保険薬剤師は、厚生労働省令で定めるところにより、健康保険の診療又は調剤に当たらなければならない。
  • 保険医療機関において診療に従事する保険医又は保険薬局において調剤に従事する保険薬剤師は、①によるほか、この法律以外の医療保険各法又は高齢者の医療の確保に関する法律による診療又は調剤に当たるものとする。

①への違反は、指定の取消(前述)、登録の取消(前述)の対象です。


保険医療機関の管理者の責務

保険医療機関の管理者の責務は下記になります。

  • 保険医療機関の管理者は、適正な医療の効率的な提供を図るため、厚生労働省令で定めるところにより、当該保険医療機関に勤務する医師、歯科医師、薬剤師その他の従業者を監督するとともに、当該保険医療機関の管理及び運営につき、必要な注意をしなければならない(法70条の2第2項)
  • ①のほか、療養の給付に関する費用の請求に係る手続が適正に行われるよう監督すること、記録の保存が適正に行われるよう監督すること等の責務を果たさなければならない(同項、療養担当規則11条の5)

①②への違反は、指定の取消(前述)、登録の取消(前述)の対象です。


厚生労働大臣の指導等

最後に、厚生労働大臣による、指導、調査、質問検査等を解説します。

厚生労働大臣の指導

下記のとおり、厚生労働大臣による指導が規定されています(法73条)

  • 保険医療機関及び保険薬局は療養の給付に関し、保険医及び保険薬剤師は健康保険の診療又は調剤に関し、厚生労働大臣の指導を受けなければならない。
  • 厚生労働大臣は、①の指導をする場合において、必要があると認めるときは、診療又は調剤に関する学識経験者をその関係団体の指定により指導に立ち会わせるものとする。
  • ただし、関係団体が指定を行わない場合又は指定された者が立ち会わない場合は、②の限りでない。

適切さを欠くおそれがあるとして重ねて①の指導を受けた場合は、指定の拒否事由(前述)の一つに該当します。

厚生労働大臣による調査

厚生労働大臣による調査は、下記になります(法77条)

  • 厚生労働大臣は、療養の給付に要する費用の額の算定方法のうち薬剤に関する定めその他厚生労働大臣の定めを適正なものとするため、必要な調査を行うことができる。
  • 厚生労働大臣は、厚生労働大臣が指定する病院に関する「療養の給付に要する費用の額の算定方法」を適正にするため、必要な調査を行う。
  • ②の病院は、当該病院に入院する患者に提供する医療の内容その他の厚生労働大臣が定める情報(診療等関連情報)を厚生労働大臣に報告しなければならない

②の病院は、保険医療機関であって下記のものが該当します(則56条の3)

  • 診療報酬の算定方法(平成20年厚生労働省告示59号)第一号ただし書に規定する厚生労働大臣が指定する病院(*6)
  • その他厚生労働大臣が必要と認める病院

(*6)具体的には、厚生労働大臣が指定する病院の病棟における療養に要する費用の額の算定方法(平成20年厚生労働省告示93号)5項に掲げる基準を満たす病院となります。趣旨としては、急性期(傷病の発症直後や手術直後など、比較的早い時期)の入院医療を提供する一定の病院のうち、詳細な診療データ(診断と治療を組み合わせたデータ。いわゆるDPCデータ)を国に報告できる体制が整っているもの(DPC対象病院)をいいます。

(匿名診療等関連情報はこちらで解説しています)

質問検査等(監査)

厚生労働大臣は、療養の給付に関して必要があると認めるときは、次の①~③を行うことができます(法78条1項)

  • 報告・提出命令
    保険医療機関等又は保険医療機関等の開設者若しくは管理者、保険医、保険薬剤師その他の従業者であった者(開設者であった者等)に対し報告若しくは診療録その他の帳簿書類の提出若しくは提示を命じること。
  • 出頭の求め
    保険医療機関等の開設者又は管理者、保険医、保険薬剤師その他の従業者(開設者であった者等を含む)に対し出頭を求めること。
  • 質問・検査
    当該職員に関係者に対して質問させ、又は保険医療機関等について設備若しくは診療録、帳簿書類その他の物件を検査させること。

学識経験者をその関係団体の指定により立ち会わせる取扱い(団体が指定しない又は指定された者が立ち会わない場合の取扱いを含む)は、③の質問・検査に準用されています(法78条2項)

①~③への違反は指定の取消(前述)、②③への違反は登録の取消(前述)の対象です。


まとめ

解説は以上です。

結構な情報量ですので、まずは過去問の範囲を優先して覚えてみてください。

試験対策として、「議を経る」「諮問する」の区別を下のタブ内に整理しておきます。

健康保険法において「議を経る」もの(議決を経る、協議するとは区別しています)は、下記の①~⑤です(例示でなく限定列挙です)

  • 「定款の変更等」は、(協会の)理事長は、あらかじめ、運営委員会の議を経なければならない(法7条の19)
  • 協会が「都道府県単位保険料率を変更」しようとするときは、あらかじめ、理事長が当該変更に係る都道府県に所在する支部の支部長の意見を聴いた上で、運営委員会の議を経なければならない(法160条6項)
  • 厚生労働大臣は、協会が相当の期間内に「不適当な都道府県単位保険料率」について変更の認可申請をしないときは、社会保障審議会の議を経て、当該都道府県単位保険料率を変更することができる(法160条11項)
  • 厚生労働大臣は、保険医療機関の指定をしないこととするとき、若しくはその申請に係る病床の全部若しくは一部を除いて指定(指定の変更を含む)を行おうとするとき、又は保険薬局の指定をしないこととするときは、地方社会保険医療協議会の議を経なければならない(法67条)
  • 厚生労働大臣は、保険医又は保険薬剤師の登録をしないこととするときは、地方社会保険医療協議会の議を経なければならない(法71条3項)

社会保障審議会

社会保障審議会に対しては、上記③は「議を経る」それ以外は「意見を聴く」です。

次の場合に「意見を聴く」必要があります。

  • 標準報酬月額の最高等級の改定
  • 匿名診療等関連情報の提供

中央社会保険医療協議会(中医協)

中央社会保険医療協議会に対しては、全て「諮問」です。

下記の事項を定める場合に「諮問する」必要があります。

  • 療養の給付等(食事、生活、保険外、指定訪問看護を含む)に要する費用の額の基準
  • 指定訪問看護の事業の運営に関する基準
  • 責務等(前述の解説を参照)における厚生労働省令
  • 評価療養(高度の医療技術に係るものを除く)
  • 選定療養

地方社会保険医療協議会(地医協)

地方社会保険医療協議会に対しては、上記④⑤は「議を経る」です。

一方、次の場合は「諮問」です。

  • 保険医療機関等の指定をするとき
  • 保険医療機関等の指定を取り消すとき
  • 保険医又は保険薬剤師の登録を取り消すとき

指定又は登録の「取消しをする」は、行政庁による許認可等を取り消す「不利益処分」となるため、公益上緊急を要するなどの特別の場合を除き、意見陳述のための手続(聴聞)が執られます(行政手続法13条)。つまり、「議を経るほどのものではない」というより、「行政手続法による聴聞」に加え「健康保険法に基づく諮問」を要します。

一方、直前の④⑤における指定又は登録を「しない(病床の除外を含む)」は、申請の全部又は一部を拒否する処分つまり「申請に対する処分」となるため、権利を制限したり義務を課す処分(不利益処分)に該当しません。

(指定や登録の拒否は不利益ですが、そもそも指定・登録がされていないため「制限される権利」はありません)

とはいえ、④⑤は与える影響が大きいため、「健康保険法に基づいて議を経る」及び「健康保険法に基づく弁明の機会」を要すと整理してみてください。

なお、保険医療機関等の「指定をする」も不利益処分ではありませんが、その地方の実情を考慮するため「健康保険法に基づく諮問」を必要とすると考えてみてください。

ちなみに、保険医又は保険薬剤師の「登録をする」ときは、議を経る、諮問、意見を聴くいずれもありません。

長文にお付き合いいただきありがとうございました。


(参考資料等)

厚生労働省|厚生労働省法令等データベースサービスより|https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/kensaku/index.html

  • 健康保険法
  • 医療法
  • 保険医療機関及び保険薬局の指定並びに保険医及び保険薬剤師の登録に関する省令
  • 保険医療機関及び保険医療養担当規則
  • 保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則
  • 平成10年7月27日厚生省告示210号(健康保険法第六十五条第四項第一号に規定する厚生労働大臣の定める基準)
  • 平成10年7月27日厚生省告示211号(健康保険法第六十五条第四項第二号に規定する厚生労働大臣の定める病床の数の算定方法)
  • 平成30年7月25日厚生労働省告示281号(健康保険法第六十五条第四項第三号に規定する厚生労働大臣の定める病床の数の算定方法)
  • 平成20年3月5日厚生労働省告示59号(診療報酬の算定方法)
  • 平成20年3月19日厚生労働省告示93号(厚生労働大臣が指定する病院の病棟における療養に要する費用の額の算定方法)
  • 平成7年12月22日保発117号(保険医療機関等及び保険医等の指導及び監査について)
  • 平成10年7月27日老発第485号(国民健康保険法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法令の改正について)
  • 昭和32年9月2日保険発123号(健康保険法の一部を改正する法律の疑義について)
  • 平成28年3月4日保医発0304第16号(在宅医療のみを実施する医療機関に係る保険医療機関の指定の取扱いについて)

厚生労働省ホームページ|保険医療機関の管理者の要件・責務についてより|
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_70739.html

  • 医療法等の一部を改正する法律の一部の施行等について(健康保険法関係)(令和8年3月19日保医発第4号)
  • リーフレット