この記事では、健康保険における「特定減額特例対象者」の適用除外を解説しています。
なお、他の適用除外(法3条1項各号)は、学習は終えている認識で解説しています。
あいまいな場合は下記のリンクをご参照ください。
記事中の略語はそれぞれ次の意味で使用しています。
- 法 ⇒ 健康保険法
- 令 ⇒ 健康保険法施行令
- 則 ⇒ 健康保険法施行規則
- 平成24年改正法 ⇒ 平成24年8月22日法律62号
- 令和7年改正法 ⇒ 令和7年6月20日法律74号
- 保険者等 ⇒ 協会管掌の健康保険は厚生労働大臣、組合管掌の健康保険は各健康保険組合
- 機構 ⇒ 日本年金機構
当記事は条文等の趣旨に反するような極端な意訳には注意しております。ただし、厳密な表現と異なる部分もございます。
詳しくは免責事項をご確認ください。
概要
「特定減額特例対象者」に関する制度は、令和8年10月1日施行です。
具体的な取扱いの前に、制度の趣旨、用語の定義を解説します。

はじめに結論です。
「特定減額特例対象者」に対しては、次の取扱いが定められています。
- 原則(適用除外)
「特定適用事業所」に勤めている「特定減額特例対象者」は、被保険者とならない。 - 例外(申出による取得)
「特定適用事業所」に勤めている「特定減額特例対象者」であっても、申出により、被保険者になれる。
短時間労働者に係る適用除外の要件のうち「報酬の月額が88,000円未満である」は、令和8年10月1日から撤廃されました。
(最低賃金の上昇により、労働時間が週20時間以上であれば基本的には「報酬月額8万8千円以上」を満たすため、法律上も撤廃されました)
とはいえ、最低賃金の減額の特例(最低賃金法7条)が適用される労働者は、報酬(賃金)に対する保険料負担の割合が特に大きいため、法附則により、当該労働者に係る適用除外が設けられています。
なお、特定減額特例対象者が「1週間の所定労働時間が20時間以上」かつ「学生でない」場合でも、特定適用事業所以外の事業所(*1)に勤めているならば、「特定4分の3未満短時間労働者」としても適用除外です。
(*1)国又は地方公共団体の適用事業所を除く。

法附則8条の3の2における短時間労働者とは、次の①又は②に該当する者(つまり4分の3未満短時間労働者)であって、③を満たすものをいいます(法附則8条の3の2第9項)
- 通常の労働者と比較すると、1週間の所定労働時間が4分の3未満
- 通常の労働者と比較すると、1か月間の所定労働日数が4分の3未満
- 適用除外の各要件(法3条1項各号)のいずれにも該当しない
より直感的にいうと、「1週間の所定労働時間が20時間以上」「学生でない」「特定適用事業所に勤めている」を全て満たすならば、被保険者となる短時間労働者です。
以降の「短時間労働者」は、「法附則8条の3の2における短時間労働者」をいいます。
なお、これから解説する「最低賃金の減額の特例の適用を受ける労働者」であっても、上記①及び②に該当しない者は、そもそも短時間労働者ではありません(法3条1項1号~8号に該当しないなら、被保険者です)

「特定減額特例対象者」とは、適用事業所に使用される、次のいずれも満たす者をいいます(法附則8条の3の2第1項)
- 短時間労働者である(つまり4分の3未満短時間労働者であって、他の適用除外に該当しない)
- 最低賃金の減額の特例(最低賃金法7条)の適用を受ける労働者である。
- 報酬(最低賃金法4条3項各号に掲げる賃金に相当するものを除く)の月額が88,000円未満である。
ちなみに、最低賃金法における「労働者」とは、労基法9条における労働者をいいます(最低賃金法2条)
(最低賃金の減額の特例はこちらで解説しています)
報酬月額88,000円の判定の際に、含めない賃金
特定減額特例対象者の要件の一つ「報酬の月額が88,000円未満」か否かは、下記①~⑥の賃金は含めないで判断します(則24条の5)
- 臨時に支払われる賃金
- 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金
- 所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金
- 所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金
- 午後10時から午前5時まで(*2)の間の労働に対して支払われる賃金のうち通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分
- 最低賃金において算入しないことを定める賃金(最低賃金法4条3項3号に掲げる賃金)
(*2)規定上は、労基法37条4項により厚生労働大臣が定める地域又は期間については、午後11時から午前6時までとなります。ただし、この地域及び期間は定められていません。
「報酬の月額が88,000円未満」か否かを判定する際には、上記①~⑥の賃金を含めないで、資格取得時の決定(法42条1項)と同じ方法で月額を算定します(則24条の6)
(資格取得時の決定による報酬月額の算定方法はこちらで解説しています)
なお、①〜⑥の賃金を除く取扱いは、あくまで「報酬の月額が88,000円未満」を判定する際に適用されます。
申出により被保険者となる場合(後述)に、資格取得時の決定における「標準報酬月額の決定の特例」を定めたものではありません。
ちなみに、労働者の賃金が「最低賃金以上」か否かを判定する際にも、①~⑥の賃金は含めないで賃金額を算定します(最低賃金法4条3項、同法施行規則1条)
①〜⑥の賃金の例としては、①結婚祝金、②賞与、③時間外労働の割増賃金、④休日労働の割増賃金、⑤深夜の割増賃金、⑥精皆勤手当、通勤手当、家族手当があります。
参考|厚生労働省(外部サイトへのリンク)|最低賃金の対象となる賃金
制度の趣旨、用語の解説は以上です。
制度の解説
ここからは、特定減額特例対象者について、具体的な取扱いを解説します。

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当分の間、「特定減額特例対象者」は、被保険者になれません(法附則8条の3の2第1項)
(なれるケースは後述します)
具体的には、次の①及び②を満たす場合は、特定減額特例対象者に係る適用除外として、被保険者となりません(法附則8条の3の2第1項、平成24年改正法附則46条1項)
- 特定減額特例対象者である(つまり4分の3未満短時間労働者であって、他の適用除外に該当せず、最低賃金の減額の特例の適用を受け、報酬の月額が88,000円未満である)
- 特定適用事業所に勤めている
健康保険法
附則第八条の三の二(適用除外の特例)
1 当分の間、適用事業所に使用される、短時間労働者のうち、最低賃金法(昭和三十四年法律第百三十七号)第七条の規定の適用を受ける同条各号に掲げる労働者であって、その者の報酬(同法第四条第三項各号に掲げる賃金に相当するものとして厚生労働省令で定めるものを除く。)について、厚生労働省令で定めるところにより、第四十二条第一項の規定の例により算定した額が、八万八千円未満であるもの(以下この条において「特定減額特例対象者」という。)については、第三条第一項(ただし書を除く。)の規定にかかわらず、被保険者となることができない。
9 第一項において「短時間労働者」とは、次の各号のいずれかに該当する者であって、第三条第一項各号のいずれにも該当しないものをいう。
一 一週間の所定労働時間が同一の事業所に使用される通常の労働者(第三条第一項第九号に規定する通常の労働者をいう。次号において同じ。)の一週間の所定労働時間の四分の三未満である短時間労働者(同項第九号に規定する短時間労働者をいう。次号において同じ。)
二 一月間の所定労働日数が同一の事業所に使用される通常の労働者の一月間の所定労働日数の四分の三未満である短時間労働者
健康保険法施行規則
第二十四条の五(法附則第八条の三の二第一項に規定する厚生労働省令で定める賃金に相当するもの)
法附則第八条の三の二第一項に規定する最低賃金法(昭和三十四年法律第百三十七号)第四条第三項各号に掲げる賃金に相当するものとして厚生労働省令で定めるものは、次の各号に掲げるものとする。
一 臨時に支払われる賃金
二 一月を超える期間ごとに支払われる賃金
三 所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金
四 所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金
五 午後十時から午前五時まで(労働基準法第三十七条第四項の規定により厚生労働大臣が定める地域又は期間については、午後十一時から午前六時まで)の間の労働に対して支払われる賃金のうち通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分
六 最低賃金において算入しないことを定める賃金(最低賃金法第四条第三項第三号に掲げる賃金をいう。)
第二十四条の六(法附則第八条の三の二第一項に規定する額)
法附則第八条の三の二第一項に規定する額は、次の各号に掲げるものとする。
一 月、週その他一定期間によって報酬が定められる場合には、被保険者の資格を取得した日の現在の報酬(法附則第八条の三の二第一項に規定する報酬をいう。以下この条において同じ。)の額をその期間の総日数で除して得た額の三十倍に相当する額
二 日、時間、出来高又は請負によって報酬が定められる場合には、被保険者の資格を取得した月前一月間に当該事業所で、同様の業務に従事し、かつ、同様の報酬を受ける者が受けた報酬の額を平均した額
三 前二号の規定によって算定することが困難であるものについては、被保険者の資格を取得した月前一月間に、その地方で、同様の業務に従事し、かつ、同様の報酬を受ける者が受けた報酬の額
四 前三号のうち二以上に該当する報酬を受ける場合には、それぞれについて、前三号の規定によって算定した額の合算額
平成24年改正法(平成24年8月22日法律62号)
附則第四十六条
1 当分の間、特定適用事業所以外の適用事業所(健康保険法第三条第三項に規定する適用事業所をいい、国又は地方公共団体の当該適用事業所を除く。以下この条において同じ。)に使用される第一号又は第二号に掲げる者であって同法第三条第一項各号のいずれにも該当しないもの(前条の規定により同項(第九号に係る部分に限る。)の規定が適用されない者を除く。以下この条において「特定四分の三未満短時間労働者」という。)については、同項並びに同法附則第八条の三の二第二項及び第四項の規定にかかわらず、健康保険の被保険者としない。
一 その一週間の所定労働時間が同一の事業所に使用される通常の労働者(健康保険法第三条第一項第九号に規定する通常の労働者をいう。次号において同じ。)の一週間の所定労働時間の四分の三未満である短時間労働者(同項第九号に規定する短時間労働者をいう。次号において同じ。)
二 その一月間の所定労働日数が同一の事業所に使用される通常の労働者の一月間の所定労働日数の四分の三未満である短時間労働者
(2項以下省略)
令和7年改正法(令和7年6月20日法律74号)
附則第三十八条
平成二十四年機能強化法附則第四十五条の規定により第九号改正後健保法第三条第一項(第九号に係る部分に限る。)の規定を適用しないこととされた者であって、第九号施行日まで引き続き健康保険の被保険者の資格を有するものについては、第九号改正後健保法附則第八条の三の二の規定は、第九号施行日以後引き続き年金機能強化法第五号施行日において使用されていた事業所に使用されている間は、適用しない。
ちなみに、「特定減額特例対象者」に対しても、企業規模による適用除外の経過措置(令和9年9月30日までは51人以上の事業所に限り被保険者とし、以降は段階的に適用する企業規模を小さくする措置)は適用されます(平成24年改正法附則46条1項)
そのため、特定減額特例対象者が「1週間の所定労働時間が20時間以上」かつ「学生でない」場合でも、特定適用事業所以外の事業所(国又は地方公共団体の事業所を除く)に勤めているならば、以降の解説(取得の申出、取得みなし)にかかわらず、特定4分の3未満短時間労働者として適用除外です。
特定4分の3未満短時間労働者は、(特定減額特例対象者としての取得の申出ではなく)任意特定適用事業所の申出により被保険者となる選択肢が設けられています(平成24年改正法附則46条5項)
以降の「特定減額特例対象者」は、特定適用事業所に勤めている特定減額特例対象者(直前の①及び②を満たす者)をいいます。
特定減額特例対象者であった者の被保険者資格の取得時期
特定減額特例対象者であった者が、次のいずれも満たす場合(つまり特定減額特例対象者でなくなったと同時に、被保険者の資格を取得する場合)における「資格取得日」は、「特定減額特例対象者に該当しなくなった日のうち直近の日」となります(令73条の2)
- 特定減額特例対象者に該当しなくなった日前から引き続き同一の事業所に使用される
- 同日において適用除外の各規定(法第3条1項各号)のいずれにも該当しない
特定減額特例対象者が「被保険者」となるケースは、次の二つに大別されます。
- 特定減額特例対象者として適用除外となるが、資格取得の申出をする。
- すでに「被保険者」である者が「特定減額特例対象者」に該当する場合は、被保険者とみなされる。
取得の申出

- 特定減額特例対象者は、その事業所に使用される被保険者の保険を管掌する者(当該者が協会の場合は、厚生労働大臣)に申出をしたときは、被保険者となれる(法附則8条の3の2第2項)
- ①の申出は、健康保険と厚生年金保険の双方で申出ができる場合は、双方の申出を同時に行わなければならない(同条7項)
- ①についての申出書は、事業主を経由して、機構又は健康保険組合に提出する必要がある(則37条の4)
- 事業主は、③の申出を受けたときは、速やかに、申出書に資格取得届を添えて(被扶養者を有するときは、被扶養者届も添付して)、機構又は健康保険組合に提出しなければならない(則24条の7)
①の申出をした者は、①の申出が受理された日から、被保険者の資格を取得する(法附則8条の3の2第3項)
健康保険法
附則第八条の三の二
2 特定減額特例対象者は、厚生労働省令で定めるところによりその事業所に使用される被保険者の保険を管掌する者(当該者が協会である場合にあっては、厚生労働大臣)に申出をしたときは、その者は、前項の規定にかかわらず、被保険者となることができる。
3 前項の申出をした者は、その申出が受理されたときは、その日から、同項の規定による被保険者の資格を取得する。
7 第二項の申出は、厚生年金保険法附則第四条の六第二項の申出をすることができる特定減額特例対象者にあっては同項の申出と、第五項の申出は、同条第五項の申出をすることができる特定減額特例対象者にあっては同項の申出と、それぞれ同時に行わなければならない。
健康保険法施行規則
第三十七条の四
法附則第八条の三の二第二項の申出は、次に掲げる事項を記載した申出書を事業主を経由して、機構又は健康保険組合(第三号において「保険者等」という。)に提出することによって行うものとする。この場合において、協会が管掌する健康保険の被保険者の資格取得の申出をしようとする者が同時に厚生年金保険法施行規則第五条の十の規定による厚生年金保険の被保険者の資格取得の申出を行うときは、これに併記して行うものとする。
一 申出に係る被保険者の氏名、住所及び生年月日
二 事業所の名称及び所在地並びに事業主の氏名又は名称
三 その他保険者等が必要と認める情報
第二十四条の七
1 事業主は、第三十七条の四の規定による申出を受けたときは、速やかに、申出書に健康保険被保険者資格取得届(様式第三号又は様式第三号の二)を添えて機構又は健康保険組合に提出しなければならない。この場合において、協会が管掌する健康保険の被保険者の資格取得に係る当該申出をしようとする者が同時に厚生年金保険法施行規則第五条の十の規定による厚生年金保険の被保険者の資格取得の申出を行うときは、これに併記するものとする。
2 前項の場合において、申出をしようとする者が被扶養者を有するときは、前項の申出書に被扶養者届を添付しなければならない。
3 第一項の届出は、機構又は健康保険組合が支障がないと認めた場合に限り、健康保険被保険者資格取得届に記載すべき事項を記録した光ディスク及び次に掲げる事項を記載した書類を提出することによって行うことができる。
一 事業主の氏名又は名称
二 事業所の名称及び所在地
三 届出の件数
以降、被保険者の区分(一般、¾未満短時間、特定減額特例)を区別するため、「被保険者」を次のように分類して解説しています。
- 一般被保険者等
一般被保険者及び\(\frac{3}{4}\)未満短時間労働者 - 一般被保険者
下記いずれにも該当しない被保険者 - \(\frac{3}{4}\)未満短時間労働者
特定4分の3未満短時間労働者である被保険者 - 減額特例被保険者
特定減額特例対象者である被保険者
取得みなし

「被保険者」が、次のいずれにも該当する場合には、特定減額特例対象者に該当するに至った日から、「減額特例被保険者」となったものとみなす(法附則8条の3の2第4項)
- 特定減額特例対象者に該当する。
- 同一の事業所に引き続き使用される。
健康保険法
附則第八条の三の二
4 被保険者が、特定減額特例対象者に該当するに至り、かつ、同一の事業所に引き続き使用される場合には、第一項及び第二項の規定にかかわらず、その該当するに至った日から、同項の規定による被保険者となったものとみなす。
上記の取扱いは、「減額特例被保険者」とみなされるため、取得の申出は必要ありません。
ただし、後述する「被保険者区分変更届」の提出は必要です。
(特定減額特例対象者となる前から被保険者であった者は、被保険者の「区分」は変更になっても、被保険者としての「資格」は継続します)
留意事項
賃金要件の撤廃及び当該撤廃に伴う適用除外等の特例に係る事務の取扱いに係るQ&Aについて(以下、事務連絡)より、留意事項を整理しておきます。
- 特定減額特例対象者が被保険者となる申出について、事業主の同意は必要ありません(事業主に拒否権はありません)
- 国保組合の被保険者である特定減額特例対象者であっても、厚生年金保険については被保険者となる申出を行えます。
- 特定減額特例対象者が厚生年金保険の被保険者となる場合は、一般被保険者等と同様に、在職老齢年金の対象となります。
- 特定減額特例対象者であっても、被保険者となる場合は、標準報酬月額の決定は一般被保険者等と同様に基本給及び諸手当等を基に決定します。
- 定時決定及び随時改定における支払基礎日数等は、\(\frac{3}{4}\)未満短時間労働者と同じ取扱いです。
- 特定減額特例対象者であっても、被保険者となった場合の保険料は、一般被保険者等と同様です(*3)
(*3)短時間被保険者の保険料に係る経過措置(令和7年改正法附則24条)の対象にはなり得ます。なお、この経過措置(保険料調整制度)は、別の記事で解説します。

特定減額特例対象者が「資格取得の申出をした場合」「被保険者とみなされた場合」いずれも、「資格喪失の申出」が可能です。
- 減額特例被保険者(当該被保険者とみなされた者を含む)は、いつでも、保険者等に申出をし、当該被保険者の資格を喪失できる(法附則8条の3の2第5項)
- ①の申出は、健康保険と厚生年金保険の双方で申出ができる場合は、双方の申出を同時に行わなければならない(同条7項)
- ①についての申出書は、事業主を経由して、機構又は健康保険組合に提出する必要がある(則37条の5)
- 事業主は、③の申出を受けたときは、速やかに、申出書に資格喪失届を添えて、機構又は健康保険組合に提出しなければならない(則29条の3)
減額特例被保険者(当該被保険者とみなされた者を含む)は、下記いずれかの日の翌日(その事実があった日に更に被保険者の資格を取得したときは、その日)から、当該被保険者の資格を喪失する(法附則8条の3の2第6項)
- 法36条各号(死亡したとき、他の適用除外に該当したときなど、資格喪失の事由)のいずれかに該当するに至った日
- ①の申出が受理されたときに至った日(受理された日)
- 特定減額特例対象者でなくなったときに至った日
健康保険法
附則第八条の三の二
5 第二項の規定による被保険者(前項の規定により当該被保険者とみなされた者を含む。次項において同じ。)は、いつでも、厚生労働省令で定めるところにより保険者等に申出をし、当該被保険者の資格を喪失することができる。
6 第二項の規定による被保険者は、第三十六条各号のいずれかに該当するに至った日又は次の各号のいずれかに該当するに至った日の翌日(その事実があった日に更に被保険者の資格を取得したときは、その日)から、当該被保険者の資格を喪失する。
一 前項の申出が受理されたとき。
二 特定減額特例対象者でなくなったとき。
7 第二項の申出は、厚生年金保険法附則第四条の六第二項の申出をすることができる特定減額特例対象者にあっては同項の申出と、第五項の申出は、同条第五項の申出をすることができる特定減額特例対象者にあっては同項の申出と、それぞれ同時に行わなければならない。
健康保険法施行規則
第三十七条の五(法附則第八条の三の二第二項被保険者の資格喪失の申出)
法附則第八条の三の二第二項の規定による被保険者(同条第四項の規定により当該被保険者とみなされた者を含む。)の同条第五項の規定による資格喪失の申出は、次に掲げる事項を記載した申出書を事業主を経由して、機構又は健康保険組合に提出することによって行うものとする。この場合において、協会が管掌する健康保険の被保険者が同時に厚生年金保険法施行規則第五条の十一の規定による厚生年金保険の被保険者の資格喪失の申出を行うときは、これに併記して行うものとする。
一 申出に係る被保険者の氏名、住所及び生年月日
二 事業主の氏名又は名称
三 事業所の名称及び所在地
第二十九条の三(法附則第八条の三の二第二項被保険者の資格喪失の届出)
1 事業主は、第三十七条の五の規定による申出を受けたときは、速やかに、申出書に健康保険被保険者資格喪失届(様式第八号又は様式第八号の二)又は当該届書に記載すべき事項を記録した光ディスクを添えて機構又は健康保険組合に提出しなければならない。この場合において、協会が管掌する健康保険の被保険者が同時に厚生年金保険法施行規則第五条の十一の規定による厚生年金保険の被保険者の資格喪失の申出を行うときは、これに併記又は記録するものとする。
2 前項の規定により光ディスクで届出を行う場合には、次の各号に掲げる事項を記載した書類を添えなければならない。
一 事業主の氏名又は名称
二 事業所の名称及び所在地
三 届出の件数
ちなみに、喪失の申出により自ら被保険者でなくなった場合でも、特定減額特例対象者に該当していれば、再度の資格取得の申出により減額特例被保険者になれます(事務連絡)
被保険者として、一般、\(\frac{3}{4}\)未満短時間、特定減額特例の区分に変更があった場合は、区分変更の届出が必要となります。
(一般とそれ以外とでは、定時決定、随時改定における支払基礎日数の取扱いが異なるため、区分を把握する必要があります)
事業主は、次の①及び②の場合は、当該事実があった日から5日以内に、届書(被保険者区分変更届)を厚生労働大臣又は健康保険組合に提出しなければならない(則28条の3第2項)
- 減額特例被保険者(当該被保険者とみなされた者を含む)であった者が、特定減額特例対象者に該当しなくなった日前から引き続き同一の事業所に使用され、被保険者となった場合
- 被保険者が、減額特例被保険者とみなされた場合
健康保険法施行規則
第二十八条の三(被保険者の区別変更の届出)
1(省略)
2 事業主は、法附則第八条の三の二第二項被保険者(法附則第八条の三の二第五項に規定する同条第二項の規定による被保険者をいう。以下同じ。)であった者が、特定減額特例対象者(法附則第八条の三の二第一項に規定する特定減額特例対象者をいう。)に該当しなくなった日前から引き続き同一の事業所に使用され被保険者となった場合及び被保険者が、法附則第八条の三の二第四項の規定により同条第二項の規定による被保険者とみなされた場合は、当該事実があった日から五日以内に、次に掲げる事項を記載した届書を厚生労働大臣又は健康保険組合に提出しなければならない。この場合において、協会が管掌する健康保険の被保険者が同時に厚生年金保険の被保険者であることにより、厚生年金保険法施行規則第二十一条の三第三項の規定によって届書を提出するときは、これに併記して行うものとする。
一 事業所整理記号及び被保険者整理番号(健康保険組合が管掌する健康保険の被保険者にあっては、被保険者等記号・番号)
二 被保険者の氏名及び生年月日
三 被保険者の住所(当該被保険者が協会が管掌する健康保険の被保険者であって、厚生労働大臣が当該被保険者に係る機構保存本人確認情報の提供を受けることができるとき及び当該被保険者が健康保険組合が管掌する健康保険の被保険者であって、当該健康保険組合が当該被保険者に係る機構保存本人確認情報の提供を受けることができるとき(当該健康保険組合が、事業主に対し、当該被保険者の住所に係る情報の提供を求めないときに限る。)を除く。)
四 変更の年月日
五 事業所の名称及び所在地並びに事業主の氏名又は名称
健康保険法施行令
第七十三条の二(特定減額特例対象者であった者の被保険者資格の取得の時期に関する読替え)
特定減額特例対象者(法附則第八条の三の二第一項に規定する特定減額特例対象者をいう。以下この条において同じ。)であった者が特定減額特例対象者に該当しなくなった日前から引き続き同一の事業所に使用され、かつ、同日において法第三条第一項各号のいずれにも該当しない場合における法第三十五条の規定の適用については、同条中「適用事業所に使用されるに至った日若しくはその使用される事業所が適用事業所となった日又は第三条第一項ただし書の規定に該当しなくなった日」とあるのは、「附則第八条の三の二第一項に規定する特定減額特例対象者に該当しなくなった日のうち直近の日」とする。
第七十三条の三(法附則第八条の三の二第二項被保険者の被保険者資格の取得及び喪失についての取扱い)
1 法附則第八条の三の二第二項被保険者(法附則第八条の三の二第五項に規定する同条第二項の規定による被保険者をいう。次項において同じ。)が同条第六項第二号に該当するに至った日前から引き続き同一の事業所に使用され、かつ、同日において法第三条第一項各号のいずれにも該当しない場合においては、法第三十九条第一項本文、第四十一条第三項及び第四十二条第一項の規定その他厚生労働省令で定める規定(他の法令において、引用し、準用し、又はその例による場合を含む。)は、適用しない。
2 法附則第八条の三の二第二項被保険者が法附則第八条の三の二第六項第二号に該当するに至った日前から引き続き同一の事業所に使用され、かつ、同日において法第三条第一項各号のいずれにも該当しない場合における法第四十八条、第百四条、第百五条第一項、第百六条、第百五十六条第三項及び第百五十八条本文の規定その他厚生労働省令で定める規定(他の法令において、引用し、準用し、又はその例による場合を含む。)の適用については、法附則第八条の三の二第六項第二号に該当するに至った日に被保険者の資格を取得し、又は喪失しなかったものとみなす。

- ①は、「減額特例被保険者」でなくなったと同時に「一般被保険者等(一般又は\(\frac{3}{4}\)未満短時間)」となったケースです。
- ②は、「一般被保険者等」でなくなったと同時に「減額特例被保険者」とみなされたケースです。
- ①のケースは、「特定減額特例対象者に該当しなくなった日のうち直近の日」に一般被保険者等の資格を取得します(令73条の2)。なお、このケースにおいては、保険者等による資格の得喪の確認(法39条1項本文)は適用されません(令73条の3第1項)
- ②のケースは、(法律上)減額特例被保険者とみなされるため、被保険者としての資格は継続します。
- ①②いずれも「被保険者資格取得届・喪失届」の提出は必要ありません(①については令73条の3第2項)。ただし、①②いずれも「被保険者区分変更届」の提出は必要です。
ちなみに、協会管掌の事業主が厚生労働大臣に提出すべき書類は、機構を経由する必要があります(則158条1項)
補足
①のケースは、被保険者でなかった特定減額特例対象者(取得の申出をせず適用除外となっていた者)が、特定減額特例対象者に該当しなくなったため、一般被保険者等となった場合とは異なります。
被保険者でなかった者が、何かしらの理由で被保険者となった場合は、区分変更届ではなく、資格取得届を提出します。
被保険者区分変更届は、あくまで「被保険者」から「他の区分の被保険者」となった場合の届出です。
ちなみに、「一般」と「\(\frac{3}{4}\)未満短時間」との間の変更においても、被保険者区分変更届の提出は必要です(則28条の3第1項)
「減額特例被保険者」でなくなったと同時に「一般被保険者等」となった場合は、次の規定は適用されません(令73条の3第1項)
- 法39条1項本文(資格の得喪の確認)
被保険者の資格の取得及び喪失は、保険者等の確認によって、その効力を生ずる。 - 法41条3項(定時決定)
第1項の規定は、6月1日から7月1日までの間に被保険者の資格を取得した者及び法43条、43条の2又は43条の3の規定により7月から9月までのいずれかの月から標準報酬月額を改定され、又は改定されるべき被保険者については、その年に限り適用しない。 - 法42条1項(被保険者の資格を取得した際の決定)
保険者等は、被保険者の資格を取得した者があるときは、次に掲げる額を報酬月額として、標準報酬月額を決定する(以下省略)
また、次の規定の適用については、特定減額特例対象者でなくなった日に被保険者の資格を取得し、又は喪失しなかったものとみなします(令73条の3第2項)
- 法48条(届出)
適用事業所の事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、被保険者の資格の取得及び喪失並びに報酬月額及び賞与額に関する事項を保険者等に届け出なければならない。 - 法104条(傷病手当金又は出産手当金の継続給付)
被保険者の資格を喪失した日(任意継続被保険者の資格を喪失した者にあっては、その資格を取得した日)の前日まで引き続き1年以上被保険者(任意継続被保険者又は共済組合の組合員である被保険者を除く)であった者であって、その資格を喪失した際に傷病手当金又は出産手当金の支給を受けているものは、被保険者として受けることができるはずであった期間、継続して同一の保険者からその給付を受けることができる。 - 法105条(資格喪失後の死亡に関する給付)
前条の規定により保険給付を受ける者が死亡したとき、同条の規定により保険給付を受けていた者がその給付を受けなくなった日後3か月以内に死亡したとき、又はその他の被保険者であった者が被保険者の資格を喪失した日後3か月以内に死亡したときは、被保険者であった者により生計を維持していた者であって、埋葬を行うものは、その被保険者の最後の保険者から埋葬料の支給を受けることができる。 - 法106条(資格喪失後の出産育児一時金の給付)
1年以上被保険者であった者が被保険者の資格を喪失した日後6か月以内に出産したときは、被保険者として受けることができるはずであった出産育児一時金の支給を最後の保険者から受けることができる。 - 法156条3項(被保険者の保険料額)
前二項の規定にかかわらず、前月から引き続き被保険者である者がその資格を喪失した場合においては、その月分の保険料は、算定しない。 - 法158条1項本文(保険料の徴収の特例)
前月から引き続き被保険者(任意継続被保険者を除く。以下この条において同じ)である者が法118条第1項各号(少年院に収容されたなど)のいずれかに該当するに至った場合はその月以後、被保険者がその資格を取得した月に同項各号のいずれかに該当するに至った場合はその翌月以後、同項各号のいずれかに該当しなくなった月の前月までの期間、保険料を徴収しない。
解説は以上です。
制度の対象範囲を考慮すると、学習の優先度は高い順に①〜③といえます。
- 法3条1項各号の適用除外(本則の適用除外)
- 特定4分の3未満短時間労働者に係る適用除外
- 特定減額特例対象者に係る適用除外
4分の3未満短時間労働者に関する制度は、「経過措置」「未施行の規定」が多々あり複雑です。
(もはや迷路です)
試験対策としては、復習に費やす時間の配分を工夫してみてください。
実務につきましては、Q&Aの追加も想定されるため、最新の情報を確認しながら進めてみてください。
(参考資料等)
厚生労働省|厚生労働省法令等データベースサービスより|https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/kensaku/index.html
- 健康保険法
日本年金機構|リーフレット
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2021/0219.files/tirashi_gengaku.pdf
日本年金機構|賃金要件の撤廃及び当該撤廃に伴う適用除外等の特例に係る事務の取扱いに係るQ&Aについて(令和8年10月施行分)
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2021/0219.files/gengakutokureiQA.pdf

